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テン・テン・テレツク・ステテコ・テン・テン・『おもしろ亭』にようこそ

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2017年09月02日
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カテゴリ:創作落語

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テン・テン・ツク・テン・テケ・テン・テン・テケ・ツク・テン

・シャン・テン・の・スッ・テケ・テン・・・


怪談『河童の沼』


え〜、ようこそのお運びでございます。

今夜は動物の怪談噺で、お涼みくださいまし。

え〜、河童の漫画といいますと、よく知られているのが、

昭和の漫画家『清水 昆さん』(ユーモラスな河童を描いた)

『小島 功さん』(お色気たっぷりの河童を描いた)でございますが、

その前といいますと、やっぱりこの人『小川芋銭』画伯

「いもせん」ではありませんよ、「うせん」と発音します。

この人の河童の絵はすざまじい・・

絵が怪談になっちゃってます。ちょっと見てみましょう・・・








いやあ、すごいド迫力ですな。

今夜の噺で出てくる河童は、こういう河童でございます。



え〜、江戸のむかし、

牛久沼のほとりに”田吾作”という男が住んでおりましたが、

ある日、沼に魚を釣りに出かけました。

その日はよく釣れて、鮒(ふな)とか鯉(こい)なども獲れたので、

どれ帰るか、と立ち上がろうとしますと、

釣竿がぐいぐいと沼に引っ張られていくので、

慌てて、エイッとばかり力任せに引っ張りますと、

田吾作どんはおもわず尻餅をついてしまいましたが、

田吾作どんの上に得体の知れない生き物がドシャーッと落ちてきた!

『うひゃあ、何じゃこれ !?』

それは見たこともないこのような不気味な生き物、





恐怖に駆られた田吾作どんは、無我夢中で

その生き物を絞め殺してしまった。

村に帰って村人たちに、このことを話すと、

皆んなでゾロゾロと沼のほとりにやって来た。

『なんだべ?』『見たことねえナ?』『もしかして河童かなあ?』

ガヤガヤ騒ぎながら、気持ち悪いからと土に埋めてしまった。

さて、その晩、田吾作どんは釣ってきた鯉を料理しようと、

鯉をまな板の上に乗せます。

するってえと、鯉がありったけデカイ口を開けて、

ケタケタと笑い出したから、びっくり仰天、

気持ち悪いから、隣の甚兵衛さんちへ持って行った。

『今日釣ってきた鯉だで、鯉こくにでもして食べてくれや』

『それはどうも、ご馳走さん』

田吾作どんは、甚兵衛さんがどうやって鯉を料理するか、

戸の隙間から、そ〜っと中のようすをうかがっていますと、

甚兵衛さん、鯉こくを作って食べ始めた・・・

『なんだ、なんともないや・・』田吾作どんがそう思ったとき・・

甚兵衛さんの顔が、だんだん黒っぽくなり、

やがて絞め殺した河童の顔になった。

『どひゃあ!』田吾作どんは転がるように逃げ帰り、

頭からすっぽり布団を被って、ガタガタ・・・

すると表の戸がスーッと開いて、何者かが入ってきた気配・・

そして、田吾作が被っている布団の上にドサリ・・・

ワーッと田吾作が飛び起きると、

その者は、田吾作に組みついてきた!

田吾作は夢中で組み伏せると、

その者は、浴衣を着た、なんとも色っぽい年増女だった。

田吾作はホッとしながら、『おまえはだれだ?』と問い詰めると、

『あたしは、殺された河童の女房で、今夜は仕返しに来たのさ』と答えた。

しかし、見れば見るほどいい女なので、田吾作は一緒に晩酌をしたくなり、

『熱燗で一杯やろう』と誘った。

女も酒が好きらしく、ぐいぐい飲みだすうちに、

浴衣の裾も乱れ、まことに艶っぽい姿に・・・

田吾作は堪らず、気がつけば男女の関係に・・・





女は『いまから温泉に行きましょう』というので、

『はて、このあたりに温泉などあったっけ?』と思いながらも、

酒の勢いで付いていくことに・・

そのまま二人は暗くなった夜道を沼の方角へ歩き出します・・

このようすを見ていた村人は、

『田吾作のやつ、いつ間にあんな艶っぽい嫁をもらったんだ?』と怪しんで後をつけると、

女は歩きながら浴衣を脱いで裸になった。

『うおーっ!なんて色っぽいんだ!』村人は目を丸くしていると、

こんどは田吾作までが着物を脱ぎ出した。

『こんな夜に、沼で泳ぐのか?』と見ていると、

二人の体はだんだん黒っぽくなり、髪はバサバサ、背中に甲羅までできて、

どこから見ても河童になってしまい、そのまま沼に入ってしまった。

『うわーっ!!』村人は泡を食って逃げ帰り、

他の村人たちに一部始終を語った。

村人たちは、河童の祟(たた)りだと怖れ、

河童を埋めたあたりに石を積んで河童の墓碑として弔った。

さて、それから100年後、牛久沼のほとりに

幼名『不動太郎』と呼ばれた男の子が誕生しました。

長じて絵描きになろうと志し、

やがて横山大観にも認められる立派な日本画家になります。

それが小川芋銭という画伯でございます。

ところがどうしたわけか?中央画壇には身を置かず、

牛久沼のほとりに画室を構えて

俳句を作ったり水辺の生物や河童の絵ばかり描いておりました。

この河童の絵が、ご覧のようにすごかった。

芋銭が70歳で生涯を閉じますと、友人たちが

画室の近くに『河童の碑』を立てたそうでございます。





ここは100年前、河童が埋められて村人たちにより、墓碑が作られた場所では・・?

すると芋銭画伯は、田吾作どんの生まれ変わり・・?

因縁とは、そのようなものでございましょう。




お後がよろしいようで




おもしろや画笑の『きまぐれギャラリー』







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最終更新日  2017年09月11日 12時32分10秒
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