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2021.07.05
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テーマ:本日のTV番組(35)
秦の始皇帝(BC259ーBC210)の作った秦の都、咸陽(離宮の林光宮)から起点に北にまっすぐに作られた軍用道路。この道は全国にめぐらされた街道とは別に「匈奴」への対策として作られ、秦長城と呼ばれる万里の長城まで、幅30mで長さ700kmにも達するもので「直道」と呼ばれたという。
 番組ではこの直道をいろいろな角度で紹介する。
 始皇帝が匈奴を恐れた理由にはその強さだけではなく、ある日、方術師に「秦を滅ぼすものがいるとすればいったい何者だろう」と尋ねたところ、「秦を滅ぼすのは「胡」なり」と答えた予言にもあるという。
 始皇帝の死の後、皇帝を継いだ子の胡亥が家臣に操られ各地の反乱を抑えられずに秦を滅亡させたことから、後の人々は、予言にいわれたの胡とは北方の遊牧民の胡ではなくこの胡亥のことを意味していたのだと噂しあった、という物語の落ちにも似たような逸話を紹介して終わる。

 予言の胡が遊牧民のことではないと分かっていたならこの軍用道路はできなかったのだろうかとか、方術師は実はもっと詳しく予言していたのではなかっただろうかとか、巨大な権力者相手に方術師も命がけで具体的には言えなかっただろうかとか、とか考えてしまうような余韻のようなものがある内容だった。

 今回、番組の内容で個人的に注目したのは「胡」のことだ。
 以前から「胡」には注目してきたが今回不思議に思ったことは、始皇帝の時代に「胡」は「匈奴」とされていることだ。匈奴は歴史の教科書に出てくる紀元前4C、5C頃から活躍した北方の強大な騎馬民族のことである。中央アジアを東西に広げて支配して、西ではローマを弱体化させたゲルマン人の大移動を引き起こしたフン族でもあるという説もある。シルクロードを通してユーラシアの東西を融合させた古代の国家の1つと言って間違いはないだろう。
 「胡」の由来の文字は多く日本でも身近で、胡瓜(きゅうり)、胡椒(こしょう)、胡桃(くるみ)、胡弓などがあったり、その人たちは日本にも来ていて多胡などの地名があったりもする。日本にも物的にも人的にも歴史的にも影響を与えた国であることも間違いない。匈奴が最盛期に活躍した場所の南側は現在の中国新疆ウィグル自治区にもなるようだ。中国は広く周辺を囲む少数民族も多い。
 「胡」は匈奴(BC5C~2C頃)を指すのか、イラン系ともトルコ系とも言われるソグド人(不明 BC2C~8C)を意味するのか、北方系遊牧民を意味するのか、アレキサンダー大王(BC356ーBC323)に代表される西域からのコーカソイドの部族を意味するのか、時代的によって意味合いが変わるのか、まだまだ不明なことが多いようだ。

 秦の始皇帝の血筋は北方、西域の民族出身だったという説がある。父の名は「異人」。子の胡亥の名前に胡がついているのも匈奴、異民族との関係が疑われる。古代中国、戦国時代の秦の領域は西隣を羌(きょう/現在の新疆ウィグル自治区あたり、チャン族)に接し、北は匈奴と接した。時代的にもギリシャ人(マケドニアなど)の影響があっても不思議ではない。中国を統一するほどの優秀な自分と同じ民族が隣り合っているととらえそれを意識すればするほど、また認めているからこそその表裏でその民族への恐怖が強くなるという心理が生まれるのも当然かもしれない。
 逸話などを取り混ぜてとても工夫された面白いテレビ番組だった。


↑西瓜もシルクロードから伝わった野菜と言われる。






Last updated  2021.10.10 19:52:49
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