2006.07.31

『「古代日本」誕生の謎』 武光 誠

テーマ:本日の1冊(3537)
「大和朝廷から統一国家へ」という副題。 「古代日本」誕生の謎
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序章 : 古代史を学ぶ意味

1章 : 古代都市「大和」と首長霊信仰
山の辺の道に生まれた新文化
・前方後円墳を作った平和都市「大和」
・天皇の魂が静まる三輪山
・国造作りの巨人、崇神天皇

2章 : 戦乱時代の勝者
・銅鐸を割る時
・桃太郎伝説と前方後円墳
・邪馬台国最期の戦い
・国譲りと出雲神宝
・日本武尊、吾妻国を征す

3章 : 東北の歴史が語るもの  ・
・東の文化を代表する亀ヶ岡遺跡
・奥州日高見国の後退
荒脛巾神を祭る安東氏
・続縄文文化の国と按司の国

終章 : 古代日本文化の3つの流れ
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大きくわけて、3章から成る。

”日本統一の動きは、近畿地方から始まった。しかし、近畿地方が
長い間文化の後進地であったことに注意する必要がある。
縄文文化の中心は東北地方にあり、弥生文化は北九州から広まった。
 そして、3C初頭に、その2種類の文化の先進地からもっとも
離れた奈良盆地で第3の文化が生まれた。”
・・・という書き出しではじまる。

纒向遺跡などを大和朝廷、大和の発祥地、としている。
”古代人は、霊山とされた三輪山の麓の真貴向く纒向(まきむく)を中心する一帯を
大和」と呼んでいた。それは、「飛鳥」「斑鳩」といった奈良盆地の他地域に対応する呼称であった。”と、いう。

 意外なことには、大和朝廷を考える上で、東北と北九州という地域を分析した上で
大和を考えていることだ。他の地域にも重きをおいて、その範囲は現在の日本、全域にわたる。
卑弥呼、出雲、吉備、毛野(北関東)、北海道(アイヌ=縄文人)、沖縄など、日本全体が
お互いに影響しあって日本の歴史が成り立ったことを解説する。

 面白いことは、古代の宗教的な内容に踏みこんで書かれていることだ。
大和朝廷が”首長霊信仰(一部、天皇霊)”という有力豪族の祖先
を祭ることをはじめたとする、宗教感を定義つけたことだ。

 その”首長霊信仰”に対する宗教感として 古代東北にあった宗教を取り上げる。

”古代東北地方の人々は大和朝廷とことなる精霊崇拝(アニミズム)
基ずく文化をもっていた。そのため、かれらは、首長霊信仰の上にたつ朝廷
の文化を受け入れず、頑強に抵抗したのだ。・・・・・・・<続>

 日本の文化は決して単一なものではない。縄文的なものと弥生的なものとが融合した上に、
さまざまな外来文化をとりいれて、形作られたものだ。
・・・・<続>・・・

 弥生的な朝廷は、大王(天皇)を頂点とする身分制を重んじた。
ところが縄文的な東北地方の人は、人間平等の考えをとった。
 「俺たちは皆、平等の仲間だ。よそ者の好き嫌いに基ずく序列をつけられてたまるか」 これが東北王国が朝廷の支配を拒否した最大の理由となる。”

・・・と、解説する。

 こういう考え方には、説得力がある。いまも東北に残る自然崇拝の宗教観を
うまく言いあらわしているからだ。作者は山口県防府市出身の方らしいが、
歴史感として こういう考えを 受け入れられたことには感心する。

 空白の4世紀と言われる時代やその前後の時代を現在の資料とも合う形で
上手に解説している。説得力のある内容であった。

東北文化も重要視し、縄文文化の貴重さを感じされる本でもあった。





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