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夜野 クロコ

夜野 クロコ

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2006年05月24日
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テーマ:たわごと(26617)
カテゴリ:詩・小噺

「何がそんなに悲しいの?」

君の冷たい白い手が、ぬるりと私の頬に触れた。
私の意志とは関係なく流れ続ける涙、その跡を指で辿る。
私を見る目は硝子玉みたいに透き通っていた。

そこには

皮肉も
軽蔑も
悪意も
同情も
困惑も
情愛も

映っていなかった。

純粋な疑問。

「誰にでも優しいって言うのは、誰にでも優しくないって言うのと同じだよ。」

私の言葉に、君は困ったような顔をし、少しの間の後に微笑んだ。
その泣いているような笑っているような君の表情は、雨上がりの空に似ていた。
むせ返るような埃っぽい匂いと、清浄な空気と。
私の涙は留まることを知らず、雨もまだ止まない。





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最終更新日  2006年06月13日 09時19分14秒
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