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テーマ:心のままに独り言(9188)
カテゴリ:都会の森
パトカーで連行。
都会の森 最終回「父と子の法廷」 進介らが裁判所に着くと舟本弁護士が待っていた。「非公開法廷だの検事正の証人だとか良い気になっていると爆弾でドカンだ」。そう言い残すと舟本は14年ぶりに宣明を訪ねる。「憲法第82条第2項、非公開法廷は裁判官の全員一致を持って決しなければならない。しかし今回の法廷は全員一致ではない。つまり今日の裁判は憲法違反だと爆弾を落とす気では?」と指摘する。そして爆弾は使わないでほしいと頭を下げる。今回の事件は元をただせば花田医師事件に端を発している。その後始末を進介が担っている。不器用だが良い弁護士だ。その息子を潰さないでほしいと宣明に頼む。「爆弾を使えば検察の面目は保たれるかもしれないが、潰されたあんたの息子は二度と立ち直れないかもしれない。あんたたち親子に一生消さない傷が残るんだよ」。そして法廷が開かれれ、元大阪地検検察官として宣明が証人として入廷する。進介は宣明に事件の全ての発端となった花田医師事件の検察調書を読み上げるよう突きつけるが拒否される。そのため進介自身が読み上げ、事件の真相を解説する。「ここにはあっせんされた赤ちゃんが「誰と誰の子であった」とまで調べ上げられ、それが記録されているが、これは通常「誰の子であった」とだけで事足りるのでは?このようなケースでは子を産ませた男の名前まで調べ上げるのは丁寧過ぎるとはいえないか?あなたの調べはプライバシーを侵していたとは考えられないか?」。それについて宣明は「赤ん坊を売買するなど人道上許されない犯罪であるからです。法には一罰百戒という側面があります。いわゆる世間に対する見せしめです。担当検察官として厳しすぎる調べをしてでも類似事件の続発を防ぐべきだと考えました。そのためには多少のプライバシーを暴いても致し方ないと考えました」。その正義感が当時の裁判記録にまで個人のプライバシーを残させることになったが、宣明は正しいことだったと反論する。「例え世の中がどう移り変わり、社会事情が如何に変化しようと人身の売買はされるべきではない。これは人が人を殺してはならぬのと同様不変の正義であり信義である」。しかし仮にその丁寧過ぎる調べが無かったら被害者の逆上も無く、本件犯行も無かったとは考えられないかと進介は追求する。「本事件の発端は全て検察調書から出ている。14年前、八橋証人の正義感が赤ちゃんの売買という一側面のみに捕らわれず、舟本弁護人が主張した消される命より売られる命をという命の大切さに目を向けられていれば、一罰百戒という検察官の正義より個人のプライバシーを尊重する人権擁護の立場を重んじていれば裁判記録に被告人の名前も草太君の名前も中原さんの名も無く、秘すべき秘密は永遠に保たれ本件犯行は発生し得なかったのではないかということを申し述べたいのです」。しかし才賀は反対尋問をせず、次回に留保するとした。その後、草太の父親と母親が証言台に立つ。草太の母親が子ども産めない身体だったことから草太の父親は花田医師を介して、当時大学生だった野中弥生に男の子を産ませ、野中弥生には死産と告げ、男の子は草太の母親が産んだことにした事実が述べられる。野中弥生は花田医師事件の記録を調べ、死産と告げられた子どもが生きていたことを知るが、その後の草太への関わりについて「私は母ではありません。担任として一教師として接してきたつもりです。母親として何かしたつもりは一度もありません。本当です。私は草太君の母親だと一度たりとも思ったことはありませんでした。本当です・・・本当です」と証言する。そして草太が証言台に立ち、事件の当日、野中弥生とのパソコン通信のやり取りを読み上げ、消された記憶の部分を証言する。「僕は先生が殺されると思い飛び込みました。僕は置物を掴んで旦那さんを殴りつけました。僕は・・・僕はあの人を殺しました」。これで野中弥生の無実はほぼ確定した。後日、進介は最終弁論を行う。「公訴事実は無根であり、被告人が無実であることは以下の事実からも明白であります。本件発生の原因には花田医師の存在があります。闇に葬られる命より売られる命を、花田医師は罰せられました。しかしそうでしょうか?法においては罰せられたとしても情においてはどうでしょうか?一方に子を始末しようとする親がおり、他方に子を欲する親がいて、それが切羽詰まった問題だった場合、そのようなあっせんを誰が責められるでしょうか?さて当時二十で教職を志す学生の身だった被告人は未婚の母になる覚悟を決め、産んで育てようと決心しました。しかし子の父である中原さんは反対しました。それは被告人を未婚の母にして前途ある将来を奪うよりは赤ちゃんを引き取ろうと考えたからです。きよ子さんもそのことで赤ちゃんの命が助かるのならと考えた。いうならば本件犯行の加害者である中原草太君はそういった優しい人たちに育てられたんです。さて草太君は首を絞められ逃げられない状態だった被告人を、今助けなければ殺されると思いとっさにブロンズ像を手に取り本件犯行に及びました。まさに野中先生は急迫不正の侵害を受けていたのであります。急迫不正の侵害に対し、自己または他人の権利を防衛するため止むことを得ざるにいでたるはこれを罰せず、然るに草太君の行為は刑法第36条にいうところの正当防衛にあることは明々白々たる事実なのであります。さらに弁護人が申し上げたいのは全ての事実を知っていながらそのことを隠し、自ら罪を負おうとした被告人野中弥生の取った行為が人の命、そして尊厳を守ろうとした行為に他ならないということなのであります」。これに対し才賀は何も述べなかったことで結審となる。爆弾は落とされなかった。二週間後、野中弥生に無罪の判決が言い渡される。進介は才賀の元を訪れ、頭を下げて礼を述べる。才賀は右手を差し出し敗北を認める。しかし「一つだけ言っておく。君たちが勝てたのは検事正が爆弾を使わなかったからだ」。その夜、進介の祝勝パーティーが開かれるが、検察審査会の追及を受けている宣明のことが気になり帰宅する。宣明はらっきょうを食べながら一人で飲んでいた。「お前に一つ聞きたいことがある。私のらっきょうを盗み食いしていたのはお前か?」。進介は両手をついて詫びる。「好きか?」「は?」「うまいか?」「はい・・・」。宣明はらっきょうが乗った器を進介に差し出す。「よくやった。進介」と言い、笑顔で酒を勧める。「最終弁論も私への尋問も見事だった。よくやった・・・ここまでよくやった。良い弁護士になれ」。号泣する進介。「良い弁護士になれ」。「お父さん・・・俺頑張ります」泣きながららっきょうを食べる。笑顔の宣明。そして進介は今日も法廷で「被告人は無罪!」と弁護する。お・わ・り 本当に感動の最終回だった。長坂秀佳はいつもずるい。本来最終回に持ってくるエピソードやオチを早々にバラしてしまい、そこに至るエピソードを後から緻密に積み上げる。幼少時に『少年探偵団』と『快傑ズバット』でその洗礼を受け今日に至っている。『都会の森』もリアルタイムで観ていた。あれから28年。自分はどれだけ成長できたか。そんなことも考えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年10月14日 09時59分39秒
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