月光院璋子の日記 beside you

2007/08/21(火)22:57

DNAが騒ぐとき

眼差し(176)

老親から届いた箱の中に、 こんなものも入っていました。 このお盆中、墓参で泊まりに行った娘が父の書斎で見つけたらしく、 「こんな本があるんだァ---」 と目を輝かせて見ていたので、 送ってくれたとのこと。 上の子と違って、 小さい頃から読書にはあまり関心を示さなかった娘ながら、 居ないと思えば、熱心にお絵かきに嵩じていたものでした。 そのお絵描きが嵩じて、 いつしか絵画にはかなり関心を示すようになった娘--- よくいろいろな賞を受賞しているようですが、 絵画教室だの美術クラブだのといったものとは無縁にきて、 町の絵画教室に行きたがったときも、 行かせなかったわたくし。 そのせいか、 美術に関心が高い生徒たちなら誰でも知っているようなことでも、 娘はほとんど知らないまま、美術に関する専門の知識など皆無に等しく、 デッサンで使う木炭やコンテを実際に使って知ったのも、 油絵を初めて描いて、その魅力に驚愕していたのも、つい最近--- もっと早いうちに、いろいろな体験をさせるという道もあったけれど、 あえて、無知のままの状態を保持させ育てたといえるかもしれないわたくし--- それが、いまや、娘は美大を志すことを口にするようになっている。 いまなお、こういう絵画の教習本があることさえ知らないけれど。 もっとも、そうしたことを教えないできたわたくし---- かつて、わたくしが手にした本や雑誌と同じような本を 同じ高校生となった娘が知らぬ間に手に取るようになり、それはそれで、 感慨深いものがありますけれど、 親としてわたくしはちょっと複雑な心境でいます。 人は自分の道を決めるとき、 親を始めとした誰かの影響を受けはしても、 いかなる道を選ぼうと本来は自由--- わが子に対しても、そういう思いを当然持っていますけれど、 出来ることなら--- 娘には芸術関係の世界には進んで欲しくない、そういう思いがどこかにあるわたくし--- ま、この娘なら、そういう心配はなさそうだと、 わが子を眺めながらそう思って、 半分安心しつつ、どこかで、ちょっと残念な気持ちを抱いてきたわたくし--- 子供の成長と共に、 自分もまた更に成長しなければならないのだとしたら、 親の道は、きつい道です--- けれど、一世代間を置いている老親にとっては、 やっとDNAが騒ぐ孫娘を得たのかもしれません。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る