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ギルド月吼(gekkow)HP

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第2章 出会い


「氷お願い!」
「任せろ!」
~眠れる霜の巨人の吐息よ 全ての灯火を消し去り、命さえ閉じ込める氷の柱
 わが息吹と共に現し世に現れよ アイス・プリズン!!
モンスターの群れのただ中に青白い氷柱が出現し、周囲にダメージを与えた上
冷気によってその動きを遅くした。
 肌を刺す冷気の中、女戦士が突進し その血に宿る力を喉から迸らせる。
「ウェイル!」
魂を引き裂く咆哮にモンスターの動きが止まり、その刹那を逃さず
女戦士の体が宙に舞う。恐るべき火の力を宿したオーラを両の拳に集め
落下を利用して、地面に叩きつける。
「吹き飛べ! クラッシング・フォール!!」
爆風は炎を伴った衝撃波となって、数多のモンスターをなぎ倒した。
 ぷるぷる震えるゼリー状のモンスターが溶けた後には、再びあの武器が光っていた。

ここで私は、この世界で生きる能力を身に付けた。バルキリーの戦い方を
実践で教えてくれたMigさん。町支援と言って狩り中ずっと支援スキルを
かけ続けてくれたtakeマスター。2人とも既に隠棲している。
 師匠もできたわ。不真面目なことしか言わないくせに、繊細で傷付き易く
皆に慕われることを不審に思う不器用なパラディン。
愛していたのかって? もちろんそうよ。いや、今も愛している。
あぁ、死んでないよ(笑) 今は行く道が違い袂を分かっただけ。どこかで
元気にやっているはずよ。他にも有形無形の助力をギルドからいただいて
やっと1人で外界に出れるようになった頃
 あいつと出合った。
あいつは弓バルとして力を付け始めた私の能力を、丸ごと改変しなけば
使えなかった。
 生意気で、気分屋で、里の猫の様なあいつこそは、この世界最強の武器
成長武器の「カーラ」だった。
 最初はめちゃめちゃ弱かったわね。でも1人で冒険する時の話し相手は
あいつだけだった。そして2人で強くなった時、あいつはかけがえの無い
相棒になっていた。
 名前さえ付けてやれなかった「あいつ」
知っての通り、この武器は同種2本を「成長の泉」で合成することで
1本の完全体成長として真の最強武器になる。けれど、この合成は確立が低くてね
結局私は、あいつと他に2本も泉の泡にしているわ。
 しんみりしちゃったわね。そうそう、この時期私はお洒落に目覚めたの(笑)
暗殺者のこの私がね(笑) この時期皆が装備する[カマラシリーズ]
これがすっごく、デブに見えるの! 今も見ないし、当時も全くいなかった
[ブルーシリーズ]を装備した私は、「胸元エロ過ぎ」とギルメンから絶賛され
師匠からは「何か、お前だけ他のバルよりかわいいんだよなぁ」
と全く気付かないお間抜けぶりを発揮されて、とても満足だった。
当時も流行だったカマラ&マヌガンの中、青装備&カーラの私は
目立つ存在だったと思う。暗殺者としては良くないけど、冒険者としては
良いことだったと思う。色々な依頼をこなして実戦経験も増えた頃、私は
ユニオンウォーに参加することになったわ。
 このギルドはコエリス・ワールドの支配ユニオンの参加だった。私を育てた
1つには支配力の強化があったことも確かね。まだ経験の少ない私は
バインダーとして、アークストーンの前の陣に置かれた。
目と勘は良い方だったから、この時は敵方から素晴らしい賞賛を浴びたわ。
「バインドバルうぜぇ!」って、よりにもよってシャウトチャットでね(笑)
 こうして近辺での私は、それなりに名前が売れてきた。
もちろんそれが、悲劇を生むとは知らずに。



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