gemtongue

私のことです。


ゆうべ、蛇男が帰ってこなかった。
昼間のメールでは、夜は一緒にテレビ観ようねって言ったのに。

初めは忙しくて遅くなっているのかな？って思った。
でも約束したテレビが始まっても来なかった。
連絡もせずにこんなことは初めてで。。。
電話をしたら、蛇男は出なかった。


理由は、わかっていた。

とうとう私といることに疲れちゃったんだ。。。

日付が変わっても蛇男は来なかった。
私は蛇男にメールをした。

今までのことを反省します、
これからは優しくするから戻ってきて。
一人で歩くのが嫌なら迎えにいきます。

メールの後、電話をしてみた。
今度は出た。
蛇男の声は消えそうなほど小さくて
泣いてるみたいだった。
喋れないみたいだった。

今までごめんね。
私はぎゅってしたいけど、
今夜はひとりの方がいい？
それとも顔だけ見にいっていい？
１度抱きしめたら帰るから。

泣いていた蛇男が、本当に本当に小さな声で
「迎えにきて」と言った。

私は走って蛇男の家に向かった。
すでに家の前で待っていた蛇男の姿を見て驚いた。

冷たい小雨が降っていて、寒かったけど
蛇男は薄い部屋着のまま立っていた。
落ち着きのない子供みたいに震えて
唇に手をやったり、目はどこも見ていないようだった。
足取りはふらふらしていた。

私は自分のカーディガンを蛇男の肩にかけて
身体を支えながら歩いた。


部屋に着くと、蛇男は静かに話し始めた。

オレのこと、どうしたいの？

○○はオレに優しくするのは自分が優しくしたいときだけでしょ。
オレだってやらなきゃならないことや、嫌なことや、調子が悪いときだってあるよ。
でも辛いときだって○○には優しくしたいと思ってる。
○○はそう思ってた？

当り散らして気分が晴れた？
オレがご機嫌とって気持ちがよかった？
不機嫌は女の特権とか思ってるの？
それで楽しかったの？

一体、どうしたいのか訳がわからないよ。
○○が気分悪くする原因ってのは
半日２人の時間を潰すほど○○にとって重要なの？
本当にわからないんだ。


もう、疲れたよ。
手におえない。


返す言葉が無かった。

私の不機嫌って、一体何だったんだろう。
ここまで大切な人を追い詰めてまで当たってしまう理由って。


彼を失うことより大切なことなんてあるのかな。
そんなこと、今更考えさせられたりして。


ワガママ聞いてくれる優しい彼氏に甘えすぎた。
結局自分のことしか考えていなかった。
ちゃんと愛せてなかったってことなんだな。
私の方が年上なのに。


旅行に行って、そこで私が不機嫌になったら
きっとこの先ももうダメだと。。。
旅行で不機嫌になったら別れようって、思っているんだって。
そして、きっと私がその時不機嫌になるに違いないとも
思っているんだって。
　旅行は、別れを確認するために行くの？
　そうかもしれない。
　じゃあ、どうして今別れないの？
　わからない。
　私が変わるって期待が少しでもあるから？
　うん。。
　でもダメだろうと想像してるんでしょ？
　うん。。


もう夜中だったし、蛇男はどうしたいのかわからないし
私は心を入れ替えて彼を大切にするしかできないし
眠ることにした。
「今夜は、ここで寝るよ」と蛇男が言った。
とりあえず、か。。。


いつからこうなっちゃったんだろう。



ベッドに入って、私は蛇男を求めた。
離したくないって思って、蛇男が欲しくてたまらなかったから。
好き。愛してる。離したくないってたくさん言った。
戸惑いながら、蛇男も反応した。
私の腕の中で、彼は弱い心を見せた。
　寂しかった、と。
　さっき外で待ってたのは○○のことが好きだから。
　離さないで。
たくさん彼を抱いた。

ずっと冷たくしてしまって、寂しい思いをさせてしまった蛇男に
これからは私がいつも優しくしてあげなきゃ。
そうしたいって思った。
いつも笑顔でいさせてあげたい。


今からで、間に合うのかな。
今までとは違う、本当に本当に大切にするから。
お願い。