比例代表制
今回は,「比例代表制」について。これは,投票を政党ごとに集計し,その得票数に比例して議員を選出するという方法です。要するに,多く票を集めた政党からは多くの候補者を当選させて,ちょっとした票を集められなかった政党からはちょっとしか候補者を当選させないというもの。この制度のポイントは,「政党に対して投票する」ということです。「大選挙区制」と「小選挙区制」では,有権者は各候補者に対して投票するんですが,「比例代表制」では,政党に対して投票するわけですね。では,具体的な方法についてみていきましょう。<ドント式>わが国では,比例代表制の議席配分システムに「ドント式」を採用しています。これは,各党の得票数を1,2,3,…という整数で割って,その商の大きい順に議席を割り当てていくというもの。定義だけ説明してもわかりにくいですから,次の具体例を見てください。「ドント式の具体例」議員定数が6人の選挙区で,A~Eの5党の得票数が,それぞれ次のようになったとしましょう。A党:66,000票B党:42,000票C党:33,000票D党:24,000票E党:21,000票このとき,次のような計算を行います。この計算結果を見て,数の多いところから候補者を割り当てていくわけです。そうすると,多い順に次のようになりますね。1位 A党(66,000)2位 B党(42,000)3位 A党,C党(33,000)5位 D党(24,000)6位 A党(22,000)というわけで,この選挙区からの当選者は次のように決まります。A党 3人B党 1人C党 1人D党 1人E党 0人<特徴>最後に,比例代表制の特徴を確認しておきましょう。さっきの具体例を見てください。得票数と当選数は次のようになりましたよね。A党:66,000票 3人B党:42,000票 1人C党:33,000票 1人D党:24,000票 1人E党:21,000票 0人E党に投票した人は,自分の意思を議会に反映させることができませんでしたけど,それ以外の人はそれなりに自分の意見を反映させることができています。つまり,比例代表制には「死票が少ない」という特徴があります。ということは,「小党乱立を招きやすい」という特徴もあるんですね。また,比例代表制独特の特徴として,「多様な民意を議会に反映させることができる」というのがあります。さっきの具体例だと,多くの人から支持された政党からは多くの候補者が当選してますよね。もしこれが,大選挙区制とか小選挙区制だと,ものすごい票差をつけて当選しても,1票差で当選しても同じなわけです。*大選挙区制や小選挙区制だと…Aさん 100万票Bさん 1万票こんな感じで99万票差で当選しても,Aさん 50万1票Bさん 50万票たった1票差で当選しても,「Aさんが当選した」という結果は同じ。行政書士試験のエイプリルカフェ