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カテゴリ:楽しい映画館
一口の水と思いやりを・・・ でも 誰も助けてはくれないさ もう、何年ぶりだろう 甲斐バンドの歌を聞いたのは。 「愛してる」とは言わないけれど 「愛してる」ことが溢れてる歌。 深夜映画に誘われた。 「愛を読むひと」 「主演は『タイタニック』の主演女優さんよ」 ということを教えてもらったくらいで、 全く、何の予備知識もなく 彼女について行った。 「重い内容の映画だから、つまらないかも・・・」 そう言っていたけど、 とても好きなタイプの映画だよ。 観に行って良かった。 15歳の少年マイケルと36歳の女性ハンナの愛日記。 少年は女性に「恋」をして、 彼女は彼に「愛」されたかった。 足りないものを埋めるために 人は誰かに寄り添うのだと思うなら 足りないものが多い、 多すぎる人には、 一体、どう寄り添えばいいのだろうか? 一口の水と思いやりを ああ 誰もが欲しがってる 一口の水と思いやりを・・・ でも 誰も助けてはくれないさ ドイツの路面電車の乗務員として働くハンナは、 厳しい表情をし、機械的な仕事振りで スクリーンに映しだされる。 彼女の表情や仕草が堅いのは ドイツ人気質からではなく、 それまでの人生で削られてきたものが多いからだろう。 「見られる」ことへの「恐怖」と「拒絶」は どれだけ差別されて生きてきたかを物語る。 気分を悪くし街角で嘔吐するマイケルは 弱々しく内向的な印象だ。 家族とも、誰とも心を開いて 打ち解けることのできない少年は 独り雨の街角で苦悶していた。 偶然出逢う二人。 病んだ少年を、事務的に介抱するハンナ。 やさしく抱きしめ「大丈夫よ」と声をかける。 ハンナは、自分の心の穴を埋めるために人に施す。 マイケルは、抱きしめられて心の穴が埋まる。 ハンナは愛が欲しい。 マイケルは恋をした。 花を持ってハンナのアパートに現れたマイケルは、 「あのときのお礼」だと言ったが、 少年の目が、彼女の体を求めている。 ハンナは優しく施す。 多分、それまでのように。 しかし、マイケルは少年だった。 少年であるが故に、少年だからこそ、 それまでの自分を利用しただけの「男」とは違う事を感じる。 世間から堅く心を閉ざしていたハンナの心は 少しずつマイケルによって開いていく。 学生のマイケルは学校で「語学を学んでいる」と、言った。 ハンナの心が大きく揺れる。 彼女の人生に欠落しているもの。 それを少年が補ってくれる。そんな気がした。 愛の欲しいハンナはそれとなく「本」を読んで聞かせてほしいと言い。 恋したマイケルは言われるままに「本」を朗読した。 「朗読」を聞くために「体」を委ねるハンナと、 「体」にいきつくために「朗読」するマイケル。 それでも二人は幸せだった。 しかし、或る日ハンナは姿を消してしまう。 心の穴が、また開いてしまうと思ったから。 8年後に、二人は再会する。 いや、マイケルだけが見てしまう。 そこは、裁判所。 ハンナは被告人として。 マイケルは弁護士の卵として。 ある収容所で看守として働いていたハンナは、 それまでのように「弱いもの」に心から施していた。 それは彼女にとっては当たり前のことであり、 正当な行為であった。 しかし、彼女の欠落した部分が肝心なことを 見えなくしていた。 彼女の仕事は、その収容所にいる「囚人」を アウシュビッツに送り込むことだった。 ハンナは正しい仕事を真面目にしていることを 胸を張って法廷で述べる。 その事の意味も知らないで。 彼女は重罪に処されてしまう。 その欠落したもののために。 法廷でのやりとりの中で、 マイケルは彼女の欠落したモノをみつけてしまう。 そして、二人の過去を振りかえる。 「ああ、あのときも、あのときも、 ・・・そうだったのか・・・」 マイケルは服役中のハンナに カセットテープを差し入れた。 あの頃二人のベッドで朗読した本を 吹き込んで。 そうすることしか、できないからだ。 マイケルは施した。と思い、 ハンナは愛されてる。と思った。 刑務所の図書館で読めない本を借りてきたハンナは カセットから聞こえるマイケルの声を頼りに 独り文字の勉強を始める。 マイケルの愛を支えに夢中で文字を覚え、 でたらめな握り方でもったペンで 書いたヘタくそな文字の手紙を彼に送りつづける。 施したマイケルには、ハンナの愛が重く感じられるが、 彼女とはニ度とあえないのだ。 そう、彼女は刑務所からは出られないのだから。 だから、マイケルは手紙を書く事をせず、 カセットテープだけを送りつづけた。 しかし、人生の予定なんて、あっさりと狂うもんだ。 恋から醒めた男と、 愛を欲しがり続けた女は 儚い夢物語の幕を閉じてしまう。 そして、ハンナの愛は昇華し、 マイケルの心の扉を開いた。 しあわせなエンディングで映画は終わった。 ラストショウだというのに 女性も多く、結構な観客だったが、 泣いてたのは一人だけだった。 今の子には退屈な映画だったんだろうか? 一口の水と思いやりを ああ 誰もが欲しがってる 一口の水と思いやりを・・・ でも 誰も助けてはくれないさ また、深夜映画に誘ってね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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