はづかしい話
以前載っけたトルコ日記は3日で終わってたので書いてないのだけど、非常に恥ずかしい経験を思い出したのでここに。トルコにはハマムという公衆浴場がある。浴槽はなく、何種類かのスチームサウナで構成されていて、トルコの人々は家に風呂があっても、そこへ出かけていって何時間も話し込んだり垢をこすったりするらしい。本やなんかでハマムの存在を知っていた私は、同じツアーの日本人女性を誘って行ってみることにした。いきなり現地人に溶け込むのは初心者には厳しいだろう、とホテル内のハマムへ。ハマムの中には垢すり係のような人がいて、石でできた台の上に転がされて垢をすられたりするらしい、というのも聞いていたので、彼女と「大丈夫だよね?女風呂なんだから係の人も女だよね?」なんて往生際わるくヒソヒソ言いながら裸になってハマムに突入した。・・・・・・・・・・えー、男でした。石の台の横で満面の笑みを浮かべていたのは、もじゃもじゃヒゲに太鼓腹のおっさん。(ぱんつ一丁)「ど、どうする?」凍りついて隣の彼女と顔を見合わせるも、引き返せない。おっさんは笑顔で手招きしてるのだ。こういう時、人はかなり弱気になるらしい。しかも、ハマムの中には私たち以外、誰もいない。一度に2人は無理なので、交代で垢をすってもらうことにした。最初の犠牲者は私。だいたい、マッパでおっさんの前に横たわる時点で、意識の90%ぐらいをどっかに飛ばしておかなきゃならない。残りの10%で薄目を開けて見ていると、おっさんはタオルで私の体を覆った後、大きな白い布でどこからか石鹸の泡をすくい、ばふっ!ばふっ!とねじって私の上に落とし始めた。(これがけっこう職人技っぽいのだ。ムダに。)そして垢すりグローブでごーしごし。こすっている部分だけタオルをずらしつつ、全身くまなく垢ピーリング。…全身…くまなく…おっさんは容赦なかった。無造作に私の脚を動かし、太腿の付け根までがっつりごしごし。さすがに股まではこすられなかったものの。(この時点で意識は100%死亡)あはは…楽しいな…あはは…目をつぶって遠い世界に逃げ込んでいたら、おっさんが何やら話しかけてきた。トルコ語は分からないけど、ジェスチャーを見る限り「うつぶせになれ」と言っている様子。おとなしくうつぶせになって、裏面もごしごし。ケツもごしごし。嫁入り前の娘、ごしごし。垢すりターイムは延々30~40分続いた。最後にお湯でざぱんざっぱーんと流され(これがまたいちいち体に手を添えたりと、えらく丁寧なのだ)よろよろになって洗い場に向かうと、連れの彼女が不安げな顔で「ど、どお?」と訊いてきた。「あはは…楽しい…よ」することがないので洗い場で体操したりなんかして待っていると、隣の垢すりスペースから時々「ぎゃあああ」だの「うそぉ!」だの悲鳴が聞こえてくる。うっふっふ。道連れ。数十分後、同じく魂の抜けた彼女とともに「いやーあれは…」「死ぬかと思った…」「・・・・・」言葉少なに部屋に戻った。帰国後判明した事実。ハマムには必ずパンツ着用で入るものらしい。思いっきり脱いでいた私たち…毛ぇ丸出しだった私たち…。恥ずかしさ2億倍。