さっきの夢
路地裏は地雷が埋まっておって俺は走るがテントとテントとビルの隙間から見上げるとお天気雨だ 逃げ込むテントの薄暗がりで終わりゆく世界に別れ の書類にせっせとサインしておると大嫌いだったおまえの色を持ったけどそれを血の滲むほどきつく地中に埋めたそいつがやらかい首に噛みつくような見たこともないあれを俺に訴えるのだ残念ながら俺はひりひりするほど幸福であるので噛みつかないでください目だけで大法螺ふいて一回転させるとテントに漂うあたたかい粒子がいっそう切なく密度を増してほとんど闇をつくったおまえはありがとうあんなに汚いばかりだった年月の中からたしかに見えない細い細いあれが俺を追いかけてきたのだった路地へ出てテントとテントとビルの隙間から見上げるとやっぱりお天気雨だった