ふ た こ ぶ

2004/03/22(月)22:47

ハムスターのあれ

ヒーリング系とか(23)

森繁久彌は生きてるみたいですね。うんうん、それだけ分かれば満足。 朝崎郁恵「うたばうたゆん」というアルバムを買った。奄美の島唄にピアノの伴奏がついたもの。何となく、すごいに違いないという予感がして買ってみたら、やっぱりすごかった。 一瞬にして頭上に満点の星空が広がり、地上は濃い闇。目の前は海だ。ピアノを伴奏にすることで民謡色が多少薄まり、神がかった歌声は何故か、ネイティブアメリカンの歌に似ている気がする。そして、いい曲のいい部分で必ず起こる、鳥肌とともに何かが体をずざざざざあっと立ちのぼっていくあの現象、あれが部分部分ではなく、曲を聴いている間じゅうずっと起きているのだ。びっくりした。ずざざざざざざざあ。ずざざざざざざざざあ。止まらない。 部屋でずっと流していたら、背中からどす黒いものがもくもくもくもく流れ出して、私のうしろはその重たいものに完全に覆われた。くさいきたないドロドロを吐き出しながら、私の心の中は大荒れに荒れていた。心臓のとこで、ハムスターがくるくる回して遊ぶあの車輪のようなやつ、あれがぐるぐるぐるぐる回る。そのスピードで、子供の頃からのありとあらゆる恨みつらみ怒り悲しみが、ごんごん回転する。それが背中から出ていくのだ。私は穴を掘って、その穴の底から世界を眺めた。みんな殺したいぐらいに楽しそうに見えた。いちばん殺したいのは、いちばん汚い自分だった。 どす黒い雲を後ろに乗っけたまま、市役所に用事があったもんで出掛けた。まっすぐ前が見られなかった。職員とのやり取りも、ものすごく感じ悪く終えた。よくいる感じの悪い人というのはきっとこんな精神状態なんだ、と自分で思った。その後寄った雑貨屋で、探し求めていたターコイズ色の気泡入りガラスのコップ、を見つけたあたりから雲が晴れてきた。店の人と話しているうちに、完璧に元気になっていた。 朝崎郁恵の声、暴力的なまでの浄化作用があるのかもしれない。普通の気分で聴き始めてこうなったのだから、最低な気分の時に聴いたりするとたぶん危険。いや、全然、暗かったり嫌な感じの曲じゃないんですよ。ものすごく神々しく美しい。おすすめです。

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