美容師であるところの友達に髪を切ってもらいに行った。渋谷の、すこし静かなところにある古いマンションの一室。入ってみたらえらい格好いい部屋で、今から私ここに住みますと言い張って帰らずにいたいほど格好いい部屋で、築何十年だか知らないが半ば黒光りする床といい外国の家みたいな備え付けオイルヒーターといい、そしてまたインテリアに至るまで全てが私好みに古ぼけていい味出していた。わーすげーわーすげーとあちこち見て回る私に彼女は「でもここ家賃30万だよ」さんじゅうまん!はあー。渋谷ですしね。庶民には手が届きませんわよね。何やらアメリカ人が遠い昔に設計したマンションらしい。普通の日本的古い家とはまた違う味があって興奮。トイレに至るまで全てに興奮。俺たぶんピカピカの新築マンションなんて金もらっても住まねえな。
彼女はフリーの美容師で、出張で髪切ったりそこの渋谷の部屋で髪切ったりする合間に私と同じ店でバイトしているのだ。彼女が店に来た瞬間から私彼女に自分と同じ匂いを感じて、彼女は一般的には嫌われるタイプで皆はわりとあからさまに避けているが私は大好きだ。彼女をただの図々しい変人と思うなんてみんなの目はフシアーナに違いないよ。死ぬほどつらく苦しいとこを乗り越えて乗り越えてものすごく強く明るく図々しくなったであろう感じがムンムンするので私は彼女の強気を尊敬する。最初からあの強気だったらちょっとただのバカかもしれんけど。
そいでもって彼女のシャンプーは過去最高に気持ちよかった。ありゃー誰でも寝るわ。肝心のカットもすこぶるいい具合に終わった。今まで行きつけの美容室というのが無くて、基本的には自分で切ったり手に負えない時はそこらへんの美容室に行ってみたりしていたが、今度から彼女に頼むことに決定した。あー今度からどこで髪切るか考えなくていい。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう