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俺はリングに土足で上がる奴が嫌いだ。
私が舞台で暴れる以外に、昔から格闘技業界の人間というもう一つの顔をもつ事を知る人は少ない。ただしこちらは裏方専門。 今日は総合格闘技団体の老舗パンクラスにて舞台監督。 某選手が試合に勝って喜びを爆発させていた。勝利後のプレスの写真撮影で、観客席に応援に来ていた友人達をリング上に呼びこんだ。大勢の友人達がリング上にかけ上がってきて大はしゃぎしている。 本来リング上に選手と大会関係者以外が上がることは許されないことだ。 しかし苦しい日々の練習に耐えて勝利をつかんだ選手の晴れの舞台だ。野暮は言わず黙認した。 ただ、上がる人々に問いたい。 なぜに土足であがれる? リング上は格闘家が命を賭して戦う場所だ。有利不利が生まれぬよう、選手は裸同然の姿で戦う。 そんな姿を、自分の友人が戦っていた姿を直前まで見ていた筈だ。 なぜそこに何処を歩いたかもしれない靴のまま平気で上がれるのだ。 この日新調した白いキャンバスは、あっという間に無数の靴跡だらけになった。 以降の試合の選手は、何処を歩いたかも分からない靴跡の中、どんなゴミがあるかも分からない中に肌を晒して戦わなければならない。 選手達に安全かつ最高のパフォーマンスをしてもらうべく、リングを設営する人々はキャンバスの張り具合など細心の注意でリングを組んでいる。リングとは神聖な場所だ。 だから俺は土足でリングに上がる奴が大嫌いだ。 自分も選手なのに、他の選手のセコンドにつくといきなり平気で土足で上がる選手も沢山いる。 この日のメインイベントではワンデートーナメントを勝ち上がった川村亮選手が、ミドル級の第11代キングオブパンクラシストとなった。突然振って湧いた社長業に追われ、選手業に専念できない状況が続いていた川村君だが、じつに見事なKO劇で大会自体を見事に打ち上げた。選手としても社長としても最高に嬉しい勝利だと思う。 これでライトヘビーにつぐキングオブパンクラシスト2冠王となった。 その晴れの舞台についた無数の足あとが悔しかったが、その後一人の選手に救われた。 全試合終了後、セミファイナルがこの日のベストバウト賞に選ばれた。清水清隆選手がスーパーフライ級のベルト4度目の防衛に成功したの試合だが、挑戦者小塚誠司選手はフルラウンドの結果ドロー(規定により王座移動せず)と絶対王者と言われる清水選手に一歩も引かない強さを見せた。 その小塚選手が表彰でリングに上がる時、本部席にいる俺にこう聞いてきた「靴脱いだほうがいいですよね」と。 ありがとう!小塚選手。君の一言で救われた気持ちになったよ。 リングは選手が命をかけて輝く場所だ。 キャンバスを汚して良いのは血と汗だけなのだ!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.29 18:09:16
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