男のお名前を・・・?!

 日曜日の正午から45分間。某国営TVののど自慢タイム。鐘が幾つなるのかを当てるのが私の仕事。このところ的中率は高いが、週によりレベルがひどく違うのも事実。鐘一つくらいの歌唱力で合格する人もあれば、鐘三つは当然の歌唱力なのに、惜しくも鐘二つと云う人もある。週ごとのレベルを加味しての予想がおもしろい。

 その番組で合格した人に、司会者が必ず尋ねるのが「おところお名前」だ。先日、なんでもない時、ふと耕平が呟いた。のど自慢を見ていたのでもなんでもない時にだ。
「お母さん。僕ちょっと前にやっと気が付いたんだよ。のど自慢で女の人が合格した時、どうしてそう答えるのかが、ずっと判らなかったんだけどね。」
 ここまで訊いても何の話かさっぱりだ。
「司会者の人が「男のお名前をどうぞ。」って言うでしょ。あれ、「おところお名前をどうぞ。」だったんだね。」

 小さい時は「意味」よりも「音」が先行するから、こう言うことはありがちだけど、よくぞ告白してくれた。これでまた一つ耕平の心の中が見えてきた。


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