「野中の清水」
古来一度も枯れたことのない湧水で、清水は道下の養命寺の近くを流れ、野中川に注がれています。
日本名水百選のひとつにも選ばれています。
県指定文化財の名木「野中の一方杉」の繁る継桜王子の近くにあり、いにしえから、熊野詣の旅人の給水ポイントとなっていたようです。
ここを訪れた旅人の多くが、湧水との縁を歌枕に数々の歌や句を残しています。
「いにしへのすめらみかども中辺路を 越えたまひたりのころう真清水」
歌人 斎藤茂吉もこの清水に魅了され、昭和9年にこの
熊野古道の継桜王子境内に、杉の樹齢800年の巨木があります。南向きだけに枝を伸ばしていることから「野中の一方杉」と呼ばれており、県の天然記念物に指定されています。
老木の空洞は、優に20人の大人が入れるほどの広さがあります。
10本近くあるうち、最大のものは幹の周りがおよそ8mもあります。
みな同じように、南にある熊野那智大社を慕うように枝を伸ばしているので、一方杉と呼ばれているわけです。この不思議な現象は、生物の生態を知る上でも貴重なものと言われています。
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