2100065 ランダム
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● 安心なお米屋さん

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須佐之男命と大国主神 

須佐之男命と大国主神

大穴牟遅神(おほなむぢのかみ)が八十神(やそがみ)の放った赤く焼けた石に押しつぶされて死んでしまったことを知った母神の刺国若比売(さしくにわかひめ)は、大そう嘆き悲しみ、天に昇り、神産巣日之命(かみむすひのみこと)に我が子を助けてくれるように頼みました。

  • 刺国若比売.jpg

 
神産巣日之命は討貝比売(きさがひひめ)と蛤貝比売(うむぎひめ)を地上に遣わし、大穴牟遅神を生き返らせることに成功します。討貝比売は赤貝、蛤貝比売は蛤(はまぐり)を擬人化させた神です。

討貝比売が削り落とした赤貝の粉を集めて、蛤貝比売がそれを待ち受けて蛤の汁に溶いて薬を作りました。この薬は、火傷(やけど)治療に用いる古代療法の一つです。 二柱の女神が作った薬を大穴牟遅神の体に塗ると、たちまち立派な男に戻り、すっかり元気になりました。


死んだはずの大穴牟遅神が元気にしているのを見て不思議に思った八十神は、再び謀(はかりごと)を考え巡らしました。

八十神は大穴牟遅神を山に連れて行き、木に切り込みをれて楔(くさび)を打ち込み、大穴牟遅神をその割れ目に入れさせてから、その楔を引き抜いて、大穴牟遅神を挟み殺してしまったのです。
 
また悲しんだのは母神の刺国若比売です。泣きながら我が子を探し出し、大穴牟遅神を木の間から助け出し、今度は自らの力によって生き返らせました。
 
刺国若比売は生き返った我が子に「あなたがここにいたら、八十神に滅ぼされてしまう」といって聞かせ、木の国(紀伊の国、現在の和歌山県)に逃れさせました。

するとまたしても八十神が現れ、弓に矢をつがえて、大穴牟遅神を引き渡すように迫りました。しかし母神は大穴牟遅神を木の股(また)からこっそりと逃がし 「須佐之男命のいらっしゃる、根堅州国(ねのかたすくに)に行きなさい。必ずその大神が、取り計らってくれることでしょう。」 といって聞かせた。

根堅州国は地下にある死の世界のことで、以前、伊邪那岐神が死んだ伊邪那美神を迎えにいった「黄泉の国」のことです。

大穴牟遅神がいわれた通りに根堅州国にいってみると、須佐之男命の娘の須勢理毘売(すせりひめ)と出会いました。二人は目を見詰め合うとたちまち意気投合し、直ぐに結婚します。
 
須勢理毘売が家に戻って「いと麗(うるわ)しい神がいらっしゃいました」と父・須佐之男命に申し上げたところ、大神が出ていらっしゃり、大穴牟遅神を一目見ると「これは葦原色許男(あしはらしこを)というのだ」いいました。そして、大穴牟遅神を呼び入れて蛇の室(むろや)で寝させようとしました。

須佐之男命は、自分の娘が男を紹介し、しかも既に結婚したということに怒って、いじわるをしたのかもしれません。もしくは、一定の試練を与えることで、自分の娘を嫁にやる人物として十分かどうか見定めようとしたのかもしれません。

大穴牟遅神の妻となった須勢理毘売命は、蛇にやられないための方法を、こっそりと夫に教えます。比礼(ひれ)という、古代の女性が使ったスカーフのような布を授けて「もし蛇が噛み付いてくるなら、この比礼を三回振って打ち払ってください、きっと蛇はおとなしくなります」といいました。「比礼」は振ることによって呪力を発揮するとされていました。
大穴牟遅神がいわれた通りにすると、蛇はすっかり静まり、ぐっすりと眠ることができたのです。

でも須佐之男命の試練はそれだけではありませんでした。また次の日の夜、大穴牟遅神は、今度は百足(むかで)と蜂(はち)の室(むろや)に入れられました。
 
須勢理毘売命が、百足と蜂の比礼を夫に渡し、昨日と同じように使うように教えたので、この日も大穴牟遅神はゆっくりと眠ることができました。

しかし須佐之男命の試練は更にエスカレートしていきました。今度は鳴鏑(なりかぶら)という、鏑の付いた矢を野原に射こみ、それを拾わせました。
 
大穴牟遅神が野原に入ると、なんと須佐之男命は火を放ち、野を火で囲んだのです。ここまでくるといささかやりすぎの気がしますが、大穴牟遅神は結婚を認めてもらおうと必死ですから、この試練も進んで乗り越えようとしました。

ところが、火に囲まれた大穴牟遅神は逃げ場を失って途方に暮れました。絶体絶命のピンチです。しかし、そこに一匹の鼠(ねずみ)が現れ、大穴牟遅神に向かって「内はほらほら、外はずぶずぶ」といって地面を踏むように合図しました。

鼠のいう通りにすると、穴が開いて土の中に落ち込みました。なるほど、外は火が燃えているけども、内は暖かいだけという意味だったのです。穴の中に隠れている間に火は通り過ぎていき、大穴牟遅神は命を繋ぎ止めました。
 
それだけではありません。その鼠が、探していた鳴鏑をくわえて持ってきて、大穴牟遅神に差し出しました。矢の羽を鼠の子どもたちがかじってあそんでいたのです。

火が野原を焼き尽くすのを目の当たりにした須勢理毘売と須佐之男命は、大穴牟遅神は焼け死んだと思いました。
 
須勢理毘売は泣きながら葬式の道具を持って、父・須佐之男命といっしょに焼け跡にやってきました。

ところが、どうしたことでしょう。矢を握り締めた大穴牟遅神に再開しました。
これで二人の結婚が認められたかといえば、そうではありません。

須佐之男命は更なる試練を大穴牟遅神に与えるのです。  

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