花と語りし少女ここはレンガで造られた建物が建ち並び、どこか西洋を感じさせる町並みであるそこから少し離れたところには四季に合わせて咲く花畑があった これはその花畑で出会った二人の少年と少女の物語である… ――――「花と語りし少女」 作:幻竜 「あっついなぁ~」花畑の一角で少年は汗をぬぐった 少年は片手にキャンパスを持ち、もう片手に鉛筆を持っている 現在少年は大きく咲き誇る向日葵の花を一生懸命描いていた 「花畑は近くではここかないし、ここで書くのが一番だな」と微笑んだ 「でもここってよくない噂がたくさんあるんだよなぁ…」と呟きながらも絵を書く すると背後から人の影が伸びているのに気づき、後ろを振り向く 「あら?作業の邪魔だったかしら?ごめんなさいね」と謝る少女は白い日傘をさしていた 「いいえ、邪魔なんかじゃないですよ」と笑ってみせた 「ならよかったわ。あら?向日葵の絵を書いてるの?」と隣に座り込む少女 少女の髪は淡い栗色で、笑顔がとても似合っていた 「はい、向日葵ってなんか明るい感じがして好きなんですよね」 「ふ~ん…。あなた絵がうまいのね。名前は?」と微笑み、顔を覗かせる少女 その顔を見て少年は顔を少し紅く染め、恥ずかしがりながらも答えた 「透(とおる)です。川上(かわかみ)透っていいます」 「透さんね。私は風見幽香(かざみゆうか)っていうの」と微笑む 「幽香さん…ですね。この近くに住んでるんですか?」と尋ねる透 「近くというよりここが家よ」と寂しそうに答える幽香 「え?」 (ここが家って…どういうことだ?)と疑問に思う透 「あ、ごめんなさいね。なんで?って疑問をもったでしょ?」 「あ…はい」 「小さい時に親が死んじゃってね…どこにも住む場所がないからここに住んでるの」 「へぇ…大変なんですね。でも雨とか降ったときってどうする…」 「細かいことはいいのよ?透さん」 「え?」 幽香の言葉はとても冷たく、背筋を凍らせるような声だった 「あ…すみません。今日は日も暮れかかっているので帰ります…」 「あらそう?」 「それじゃ…さようなら、幽香さん」 「さようなら、透さん」と笑顔で見送る幽香 幽香が見えなくなり、家へ帰るとき… 「絶対に何かありそうだな…ちょっと気になるな。明日も行こうかな」と呟いた ジャンル別一覧
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