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幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

花と語りし少女ファイナル

しばらくすると幽香は泣き止んだ 涙は雨によって全くわからなかった

泣き止んだ幽香は透の肩に手をやった 透も同じように肩に手をやる

そして静かにキスをした 雨が降る中、二人は肩を抱き、唇を重ねる

どれだけ時が経ったかわからなかった

二人は唇は離した 「透?」 「なに?幽香」

「私やっとわかった。今まで好きって言う感情がわからなかった。でも今やっとわかったの。私透のことが好き」

「僕もだよ、幽香。大好きだよ」

そしてまた唇を重ねた 雨で濡れた体 冷たくなった体 でも唇はとても温かかった

次第に雨によって火は消えていった

「花が結構焼けてしまったみたいね…」と悲しそうに呟く幽香

「じゃあ明日からは一緒に花を植えようよ。新しい命を育ててあげないとね」

「ええ、そうね。きっと花達も喜ぶわ」

「でも一体どうして火の気のない花畑が火事になったんだろうね」

「きっと犯人を見た花が人に化けて警察に言いに行ったでしょう。明日には新聞に載ってると思うわよ?」

「はは、花はすごいね」 「そうね…」

「今日は雨でびしょ濡れだ…。風邪引かないように暖かくして寝ないとなぁ…。幽香も風邪ひかないように気をつけないといけないよ?」

「わかったわ。それじゃぁね、透」 「うん、バイバイ」と言うと地に落ちた傘を拾い、傘もささずに帰っていった

「あれじゃあ何の為に傘持ってきたかわからないじゃない」と幽香は笑った

「さて…風邪ひかないように暖かい格好して寝ないとなぁ…」と言うと花の中に戻っていった…

翌日…

「おい、透。花畑で昨日火事があったらしいぞ。しかも犯人は隣町の若い男達だったらしい」と帰ってきたいた父が言う

新聞を広げ、見てみるとその犯人は隣町の花畑にいた男達だった

(腹いせにやったんだろうなぁ)そう思いながらも朝食を済ませると着替えて花畑へ向かう

今日は昨日と違い、綺麗に晴れていた

「おはよう、透。花畑の犯人、わかった?」 「うん、隣町のあの男達だったよ」

「予想通りで何だか拍子抜けしちゃうわね…」 「まぁそんなことはいいさ。さぁ、花を植えようか」

「そうね、今日から忙しくなるわよ?」 「そうだね」 二人は顔を見合わせ、笑った

幽香は透と手を繋ぎ、花畑を歩いていく

透に教えてもらった歌を口ずさみながら…

(生きているのって…こんなの楽しいのね)

歌う幽香の顔は今までに無い一番の笑顔だったかもしれない…

―――――花と語りし少女 完


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