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幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

君と眺めた桜 5

「い・・・たい・・・痛いよ・・・海斗・・・つらい・・よ・・」

「桜!!今すぐ救急車呼ぶからな!!」 海斗は急いで救急車を呼んだ

「もう・・・私死んじゃうの・・・か・・な?」 桜が辛そうに笑いながら言った

「死なせねぇよ!!まだ付き合ったばかりじゃねぇか!簡単に死ぬなんていうな!!」

流れ行く血はとまる事を知らない 服から血が地面へと垂れていく

「桜が綺麗だね・・・海斗・・・私たちのために・・・咲いてる・・みたいだね」

「もう喋るな・・・死んだら何もかもが終わりなんだよ・・・」 海斗は必死だった流れる涙で前が良く見えない

「なん・・で・・・泣く・・・の?泣いたら・・・海斗の・・・顔が・・・台無しだよ・・・?」

海斗は涙をぬぐい無理やり笑顔作った

「やっぱり・・・もう私・・・だめなんだね・・・」 桜がポツリと呟いた

「ダメじゃねぇよ・・・まだ俺たち一緒に来年もここに来るって言ったばっかりじゃねぇかよ」

「ごめんね・・・もう・・・その約束は・・・守れ・・・なくなっちゃう・・・ね」

「待ってくれよ・・・俺まだ・・・お前にいわなきゃいけないことがあるんだ」

「な・・・に?」

「お前が好きだ」

「はは・・・私も・・・大好きだよ海斗」

「あっちにも桜はあるのかなぁ?」 海斗にたずねた

「ああ、きっとあるさ、すばらしい桜が。いつまでもお前を見守ってくれるぜ」

笑って海斗は答えた 桜も笑ってこちらを見た

「いままで・・・ありがと・・・ね。大好きだよ・・・か・・・い」

もう言葉が出なかった海斗はもう我慢しきれず涙がこぼれた

血の上に桜の花びらが浮いていた

そして海斗の涙はその血の中へと落ちていった

いつまでも桜が舞い落ちていた春の風に、夜の風に吹かれ

そうして2人の周りを舞っていた・・・今日も月に照らされ桜は綺麗だった 


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