101448 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

クリスマスの夜 9

後一日でイブであり、そして二日後にはクリスマスでもある

そのためもう外には電飾が光り輝き、幻想的な世界を生み出していた

そして、ある家の前にもひとつクリスマスツリーが飾ってあった…

「ただいまぁ~」

「あら、おかえり。今日は仕事遅れたから何か言われたんじゃないの?」と少し笑顔で聞いてくる

「ああ…散々だったよ」と頭を掻く

「ごめんね、流星。あなたがいつもなら自分で起きるのに起きないし、起こそうと思ったけど気持ちよさそうに寝てたからつい…」

「まぁいいさ、結果的に仕事たくさんしたけど時間的にはいつもと変わらなかったんだからね」

「ならよかったわ」と安心した様子だった

「明日はクリスマスイブね」と話しかけてきた

「そうだなぁ…」としみじみ思う

「私達が出会ったのは…3年前のクリスマスイブだったわよね」

「あの日のことは忘れないよ…」

3年前 二人は同じ大学に通う、見知らぬままの大学生であった

クリスマスイブの日だった その日は大学も早く終わりそろそろ流星が帰ろうかと思っていたところだった

「あの~…」と女性の声が聞こえるので振りかえるとそこにいたのは咲夜だった

「年末に募金をして貧しい国の人々を助けたいと思って活動してるのですが…募金してくださいませんか?」

彼女はボランティア部に所属していて、優しくてまじめな生徒だった

そんな咲夜を初めて見た流星はひとめぼれしてしまったのだ

「あ…ああ、よろこんで…」というと財布の中から5000円を取りだし募金箱に突っ込んだ

「え!?こんなにいいんですか!?」と驚いている様子

「え、ええ、い、良いんですよ、ハイ。ひ、人助けはい、良いことですからね」

「は、はぁ…」と言いながらも咲夜は面白い人だなぁ、何か仲良くなれそうだし、ボランティアが好きそうだから…

「あの、ボランティア部入りませんか?」

「へ?」と素っ頓狂な声を上げるがその言葉の意味を理解し

「あ…、じゃぁ入ります」

「今日から私達の仲間入りですね」と喜んでいる様子だった

「あの~…」

「はい?なんですか?」

「携帯電話の番号とか…教えてもらって良いですか?」

「え?」いきなりの事に焦りを見せる咲夜

「ボランティアも好きだけど…あなたといっしょにやるともっと素敵なんだろうなぁって思って…」と、恥ずかしそうに流星は言う

すると咲夜は顔を赤く染めた

「わ、私の番号でよければ…べ、別にいいですけど・・・」 と電話番号を差し出した

「これからよろしくお願いします、えっと、名前は…咲夜さんですね」

「はい、これからよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします、咲夜さん」

そして二人は手を振り別れた

そう、この後の大学生活を通して結婚するなんて誰もが、そして二人も思っていなかったことだろう…


© Rakuten Group, Inc.