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幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

桜の姫君9

恵美は高校へ無事進学することとなり、充実した高校生活を送っているらしい

幽々子は高校に入って恵美と会っていないがわかる

忙しいからこっちにこれない。または、彼氏ができたのだろうと思っていた

「部活頑張ってたわよ、恵美ちゃん」と紫が幽々子に言った

「やっぱり忙しい高校生活…まあ言いかえれば充実してるって事ね。いいじゃないの」と扇子を取りだし扇いでいる

「あまりこっちにこないのは部活って言うのもあるけど彼氏ができたって言うのも考えられるわよ?」と幽々子は笑った

「まぁ確かにね。あ、そろそろ部活終わる頃じゃない?」と丘にある時計を見て紫は言った

「現に帰ってくる生徒がいるし…」と言うと紫は自分で持ってきた酒を飲んだ

「でもね、あの子っていつもうわさをすると来るのよ?」とのんきに笑った

「あれって恵美ちゃんじゃない?」紫が指を指す先に恵美がいた 「ほらね…」

「お久しぶりです。幽々子さんに…だれでしたっけ?」 「あら、はじめまして、恵美ちゃん。私は紫っていうのよ」

「はじめまして、紫さん。幽々子さんも紫さんもお酒飲んでるんですか?」 「まぁね」と答える

「それで…どうかしたのかしら?」 「私彼氏ができたんですよ!!」 「あら、予想的中じゃない幽々子」と笑っている

「うまくいってるの?」と幽々子が聞くと 「えっと…多分うまくいってると思います」顔が紅くなっている

「今度の春にこの丘の頂上へ来なさい。彼氏には私が見えないから桜をちょっといじくって幻想的な景色みせてあげるわよ」と幽々子が言うと恵美の顔がぱっと明るくなった

「本当ですか?嬉しいです!でもいじくるって…どういうふうにするんですか?」と興味津々の様子

「幽々子は舞踊の才能に長けてる幽霊なの。そのなかでも特に得意とするのが舞い。舞いは日本で生まれた舞踊であり、桜は日本を代表する木よね?」

「そうですね」とうなずく

「だから舞いと桜の相性はいいの。幽々子が舞うと春風や桜の木が共鳴するの。そうすると桜の木々が舞っている間だけ満開になったり舞い散ったりするのよ」と紫が説明する

「へぇ~すごいんですね、幽々子さん。幽々子さんの舞いって綺麗なんだろうなぁ」と想像しているようだ

「まだ先の話でしょ?楽しみに待ってなさい」と幽々子はにっこり笑った

「じゃあ楽しみに待ってます。春が楽しみだなぁ」 「まだ秋よ?気が早いのね」というと三人とも笑った

「じゃあそろそろ私行きますね。さよなら、幽々子さん、紫さん」 「またね、恵美」 「バイバイ、恵美ちゃん」というと行ってしまった

「元気なのはいいわねぇ」と紫はまた酒を飲み始めた

「恋のおまじないが効いたみたいね」と幽々子は夜の中に光る蝶を数匹出現させた

「霊力使ったの?」 「ちょっとね~。私みたいになる可能性がないとは言いきれないでしょ?」

「まぁね…。あんたも優しいのね」 「特別よ、とくべつ。みんなにやってたら霊力なくなっちゃうんだから」と苦笑する

「人間っていうのは大きくなるのが早いわねぇ」と紫言うと 「あなたも私ももとは人間じゃない」と言うと顔を見合わせて笑った

「実はね、あの子とその彼氏に舞いを見せた後にね、ちょっとやりたいことがあるの」

「なにをしでかすのよ?」と紫が聞く

「あの子の頭の中から私の記憶を消して、私を見えないようにする術を舞いに込めるの」と幽々子は言った

「…あなたはそれで本当にいいの?」 「ええ、あのままだとこれからも私のところに来るようになると思うからね」

「ふ~ん…。まぁあなたがそれでいいって言うんなら反対しないけどね」と答えた

「私と会えるのも後少しってことね。まぁ彼氏がいるし、冬になるからこれからあまりこないだろうと思うけどね」と呟いた

紫には幽々子が少し寂しそうな顔をしたのがわかった

幽々子は銀色のペンダントにさわり、天を仰いだ…


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