幻泉館日録@楽天

2005/02/09(水)03:34

加川良「戦争しましょう」(1971年)

音楽(1438)

【追記】 ところで加川良さんの1st『教訓』(1971年)はA面の最後に「働くな」という曲が入っていました。 これは初回のプレスだけ。 作詞作曲が加川良と書いてあるのだけど、実際は他の人の作詞だったからです。 代わりに入ったのが「その朝」。 この曲はNitty Gritty Dirt Bandで有名な「永遠の絆(Will the Circle Be Unbroken)」です。 とてもいい曲で、武蔵野タンポポ団の演奏では若林純夫さんが歌っているし、なぎら健壱さんはライブ盤のアルバムタイトルにまでしました。 怪我の功名みたいなものですが、当然ファンは「働くな」も聴きたいですね。 かなり売れたので比較的容易に中古で探せますが、収録曲をちゃんと確認した方がよろしいです。 我が心の師高田渡大人が最初に有名になったのは、「自衛隊に入ろう」という逆説的反戦歌であります。 「ポーラ婦人ニュース」という番組で歌ったところ、防衛庁から自衛隊の宣伝用に使えないかと問い合わせがあったという、ウソみたいな実話が残る名曲です。 番組がいつのことかは知りませんが、このレコードが当時のインディーズ・レーベルURC(アングラ・レコード・クラブ)から発売されたのが1969年。 中坊時代の幻泉館主人が初めてレコードを買ったころですが、レコード屋さんでもらえる新譜情報などには載らないので、すぐには気づきません。 「自衛隊に入ろう」はマルビナ・レイノルズの曲に渡さんが歌詞を付けたものです。 つまり替え歌。 さらに歌詞を替えて「機動隊に入ろう」などと歌っていた不届き者たちもいたそうですね。 さて、渡師匠がさらに師匠と仰いでいるのがウッディ・ガスリー。 輸入盤で安く買えるので、一度騙されたと思ってお試しあれ。 ゆめゆめWinMXなどで試聴してはいけません。 あ、「Woody Guthrie」です。MXなんかで検索するときは、違う、amazonなんかで検索する時は。 アメリカのフォーク・ソングのお父さんのような人なので、ガスリーズ・チルドレンと呼ばれる人がたくさんいます。 アーロ・ガスリーは実の息子です。 渡師匠も知り合いをステージで歌わせてデビューさせてしまう達人なので、ワタル・チルドレンと呼ばれた歌い手さんたちがいます。 その中の一人が、URCで社員をしていた加川良さん。 本名でコサイ君と呼ばれてましたが、加山雄三と池辺良ともう一人誰だかから芸名を考えたそうです。 大川橋蔵さんだったかな。 1971年の第三回全日本フォークジャンボりー(いわゆる中津川フォークジャンボりー)では、ものすごい人気者となります。 そのライブ盤を当時の私はなんとか購入しました。 高い買い物なので、各社から何種類も出ていた「実況盤」をレコード屋さんに通って何日も検討した結果、大レコード会社ビクターが作ったSFレーベルから出たものを買いました。 URCの人気を見て、メジャー各社がフォーク用レーベルを作っていたのですね。 その中で今も評価が高いのは、キングが作った「ベルウッド」なんですが、それはまたいつか。 ビクターSFのライブ盤は第1集と第2集に分かれていて、私は第1集だけ買いました。 それが限界だったのです。 これは今CDで出ています。 1800円の廉価版なんでお薦めです。 吉田拓郎さんの「人間なんて」はものすごい迫力です。 友人の父親(当時小学校教頭)がこの「人間なんて」を聴いて「キチガイか?」などという差別的発言してしまったくらいです。 第2集は岡林信康、六文銭、五つの赤い風船なんかが入ってまして、少し前に中古レコードを入手しました。 これが「五つの赤い風船」を名乗っていますが、実際は「トン&フー子」でして、看板に偽りあり。 明らかに第1集の方が濃ゆ~い内容なんですが、それもまたいつか。 加川良さんは「ゼニの効用力について」「教訓 I」という歌が入っていました。 「教訓 I」はとても女々しい反戦歌で、いいなと思いました。 「恐いから逃げよう」という厭戦姿勢はまったく正しいと思います。  > ♪青くなって 尻ごみなさい♪  > ♪逃げなさい 隠れなさい♪ 「良心的兵役拒否」という言葉があります。 言葉だけじゃない、好戦的大統領がいる国の実際の制度です。 宗教的良心に従って戦いを拒否してもよいけど、他の活動をしなさいという制度。 これ、実は「良心」的兵役拒否ではないと思います。 この宗派セクトの者は戦場に行かなくていいから、後方支援に専念して戦争に協力しなさいという、国家からの妥協です。 国家に反逆はするなよという恫喝みたいなものです。 国家なんぞに自分の良心を決められてたまるかよ、と思います。 加川良さんには他にも逆説的反戦歌がありまして、やっと本題。 「戦争しましょう」というタイトルです。 第二次大戦中に一途な男が憎いアメリカをやっつけようと太平洋を泳いで渡ったら戦争が終わっていて、また泳いで帰ってきたら交通事故で頓死してしまうお話。  > ♪国会議事堂前にして♪  > ♪ギョロ目出てこいと叫んだが♪ 「ギョロ目」というのは佐藤栄作という、当時の総理大臣のことです。 1964年~1972年という激動期に長期政権を維持したのだからすごいですね。 後にノーベル平和賞を受賞してしまうと、日本中がしらけました。 さて、この歌はずいぶんめちゃくちゃでマンガみたいなんですが、実は本当にマンガだったんです。 「山松ゆうきち」さんという風変わりなマンガを描く作家さんがいて、私はこのマンガを読んだ記憶があります。 どの雑誌にいつ載ったものなのか、覚えていません。 「ガロ」だったのかなあ? その作品どおりの歌です。 最近ふと思い出して、山松さんの原作(って言うのか?)が読みたくなりました。 これが見つからない。 ただでさえ入手困難なマンガ家さんなのに、タイトルも覚えてないんで。 古本を何冊か買ってみましたが、どれも違う。 青林堂から短編集が2冊出たのですが、入っていません。 どなたか、ご存知でしたら教えてくださいませ。 渡師匠の心の師匠ウッディ・ガスリー大師匠のお言葉。 「ええ、私ゃアカですよ。通帳はずっと赤字続きでね…… 」

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