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カテゴリ:マンガ
東京落語のトリックスターに「よたろう」がいる。
「与太郎」か。 与太郎の愚行そのものを笑うという、見下した笑いが多いのは、東京落語の弱点であると思う。 地域社会が「バカ」と呼ぶ人を包み込んで暮らしていた時代なら、それは温かさをもった笑いだったかもしれない。 でも、今は無理なんじゃないだろうか。 人情紙風船、本当に見下した嘲笑でしかない。 『フォレスト・ガンプ / 一期一会』、笑えました? 泣けました? 私はちょっと不愉快でした。 後味の悪い映画だったなあという印象です。 青林堂から出ている山松ゆうきちさんの自選短編集に、加川良「戦争しましょう」の原作は入っていませんでした。 でも、ひさびさにまとめて濃ゆ~い山松ゆうきちの世界を体験いたしました。 山松さんの作品は「○○バカ」と呼ばれそうな人物が主人公であることが多い。 この自選集にも「走りバカ」と呼べそうな人物が主人公のマンガが一編収められているのだが、それよりももっと「フォレスト・ガンプ」な「走りバカ」のマンガがあった。 妙に背筋を伸ばして、淡々と走りぬく「バカ」の話である。 もちろん山松ゆうきちの方がずっと早い時期に描いたものだ。 戦場を、そして果てしない道路を走り行くフォレスト・ガンプの姿は、山松ゆうきちのマンガの主人公そのものでありました。 ただ、山松ゆうきちさんのマンガにはストーリーがないのです。 いや、あるんですが、常に破綻しているのです。 いきなりチャンチャンとなって、こちらは「え?」と思って終わってしまうのです。 この自選短編集で初めて山松さんの文章を読んだのですが、つまり山松さんはマジメに一所懸命描いているだけらしいのです。 よく商業誌で食べていけたものだなあ。 それぐらいヘンです。 私はヘンなものにはかなり耐性がある方なのですが、山松ゆうきちさんのヘンさかげんにはやはりドギモを抜かれます。 一度お試しあれ。 怒らないでね。 歌の話がなかったので、唐突に加川良さんの名曲「流行歌」。 リフレインの歌詞が ♪君は君のことが好きでありますように♪ ♪僕は僕のことが好きでありますように♪ 優しいおじさんだ。 一番大切なのは自分だと思って暮らしているのに、実は自分のイヤなところしか見えない。 これでは寂しいわな。 一番大切なのが自分じゃないのなら、それが幸せというものだと思うよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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