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2003.10.08
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カテゴリ:書籍と雑誌
学生時代の友人が、浅川マキさんのエッセイ集が出たと教えてくれた。

『こんな風に過ぎて行くのなら』浅川マキ
石風社刊 定価2000円+悪税

すぐに届いたのだが、まだ読んでいない。
未読本の山がだんだん高くなっているので、埋もれてしまいそうなのが危険だ。
さらに危険なのは、山が崩れて何がなんだかわからなくなってしまうこと。
でも、ヒナは遊び場ができて喜ぶだろう。

石風社というのは、福岡でがんばっている出版社らしい。
東京以外の地で出版社を続けていくのは大変な苦労があると思う。
友人の御母堂がインドの本を石風社から出してらっしゃる。
アフガニスタンで井戸を掘っていた中村哲医師の本を何冊も出している。
阿部謹也『ヨーロッパを読む』は気になるが、残念なことに品切れ本。
あ、隅田川乱一!

以前毎日新聞の読書欄で隅田川乱一著『穴が開いちゃったりして』を知って、買ったのだ。
あれも石風社だったんだなあ。

「隅田川乱一」というのはいかにもペンネームだが、おそらく山上たつひこのマンガから採ったと思われる。
70年代半ばに『がきデカ』でブレイクする前、ストーリー・マンガからの転身を計っていた山上たつひこさんが、『喜劇新思想大系』というシリーズを発表していた。

主人公はおおむね「逆向春助」という一見普通の青年。
『がきデカ』ではかなりカットされたエロ・グロ的要素、青春のやるせなさなんぞがあって、こちらのシリーズの方が私は好きでした。

そのシリーズに出てくる医者のどら息子が「隅田川乱一」。
顔はほぼ骸骨で、犬猫を切り刻むのが趣味。
両親が病院内での患者殺しで死刑になった跡を継ぐという怪人。
ひどいマンガですなあ。

  喜劇新思想大系

で、こういうキャラクターの名前をペンネームにしたのが「隅田川乱一」さん。
70年代末から80年代初頭に『JAM』『HEAVEN』といった妙なインディーズ雑誌があったのですが、その編集者だった美沢真之助さんと同一人物です。
アングラ文化の怪人といったところでしょうか。
5年前、46歳で亡くなったんだそうです。

私が想像していたより年長。
それでも、なんとなく戦友を一人亡くしたような気になる。
去年ナンシー関さん(享年39)が亡くなった時も、そんな感じがした。
知り合いでもなんでもないし、やっていることや考え方も違うのだが、なんとなく「戦友」と感じるような人である。
えのきどいちろうさんや小田嶋隆さんもそうかな。
友だちにあんなやついなかったっけ、というところ。

穴が開いちゃったりしてロック、ドラッグ、映画、イスラム、禅、神秘学、プロレス等々、絞れない領域に一筋縄ではいかない文章を残している。
それをまとめたのが『穴が開いちゃったりして』です。

短いコラムが多いので、ぼちぼちと拾い読み。
初出のメディアによってだいぶ雰囲気が違うのだが、プロレス系の話はよくわからんのです。
堂々と偽書から引用してみせたりするのも、わかりにくい。
これは前提となる共通知識がないと、通用しないワザなんだよね。
たとえばサルトル「プロレスとは何か」や、ヴィトゲンシュタイン書簡集「或る女性プロレスファンへの手紙」からの引用があったら、それはウソに決まってるとすぐわかる。

でも、それに続けてH・ヘルムホルツJr「ヨルバレ族の宗教儀式と格闘技」や、松岡清文「宇宙模型としてのリキ・スポーツパレス」が出てきたら、あなたどう思います?
私にはウソかマコトか判断できません。

特にその直前まで、些細な事実をコツコツと追い続ける足立巻一『やちまた』なんか読んでいたので、こちらの頭がまったく切り替わらないのでございました。
これは反則ワザだなあ。

ただ、非常に懐かしい文体であるのに気づいた。
もっとメジャーどころだったら、80年代の「週刊漫画アクション」連載コラムが似ているかな。
ああ、あのコラム集も買ったんだけど、どこへ行ってしまったかしらん。

隅田川乱一で思い出したので、「らも」さんが逮捕された時の日録を載せておきます。
らもさんは戦友という感じはしない。
あの人は時々おもしろい小説を書いてくれる、変なおじさん。



「空飛ぶキノコ」  2003年2月7日(金)日録

中島らもさんがマリファナとマジックマッシュルームで捕まっちゃいましたね。
マリファナは確かに吸ったがキノコは知らない、と言ってるらしいのがおかしいです。
らもさん、アルコールで記憶中枢やられちゃってないか?
マリファナよりアルコールの方が有害だと思います。

マリファナなんて単なる麻なんだから、らもさんにマリファナ解禁に向けて頑張ってもらうと面白いのですが、まあ反省すれば初犯でもありますし(だよね?)情状酌量で実刑くらわんで済むのでしょう。
らもさんに塀の中の様子を書いてもらうと面白そうですが、さすがにそれはかわいそう。

だいたいマリファナというのは、「どぶろく」に似てますね。
いけないと決めたんだからやっちゃいかんということになってるというものです。
地下に潜ると暴力団の資金元になっちゃう。
あ、どぶろくはダメね。
あっという間に酸っぱくなっちゃうから流通できないので、暴力団は扱いません。
誰でも簡単にできるし。

ラスタマンにはマリファナが付き物なのに、Tシャツに描いた絵だけで満足しちゃうレゲエ・ファンはいったい?
いや、吸っちゃいかんのですよ、ハイ。

しかし、マジック・マッシュルームは非合法になったんすね。
近頃そういう事情に疎いので驚きました。
ええ、昔はかなり詳しかったんですよ。
80年代前半、本郷2丁目の交差点に麻が自生してたのも知ってます。
外に下げた鳥籠から鳥の餌の麻の実がこぼれて、大きくなってたんです。

そのころ、ちょい仕事がらみの遊びで、キノコ狩りに行きました。
私は植物の名前なんぞは疎いのですが、そんな私でもすぐに見分けられるキノコを食べに行ったのです。
赤い笠に白い斑点の付いたやつ。
そ、ベニテングダケというキノコです。
マンガなんかで毒キノコの代表みたいに出てくるやつね。
毒は毒なんですが、致死性はなくて幻覚作用があるというので、取材っぽい行楽に出かけたのです。

松茸の場合は花崗岩性の土地でアカマツの根元に生えるそうですね。
ベニテングダケの場合は、もっとわかりやすい。
白樺の根元に生えます。
私でも白樺はわかる。
ベニテングダケもわかる。
幼稚園児がチューリップの絵なら描けるといった水準で、実にわかりやすいのです。

ある年の秋、零細出版社の車を借りて、明日が国民の祝日という日の夜に非国民3人で出かけました。
目指すはラグビーの聖地、菅平高原。
夜中に目的地に到着し、適当なところに車を止めて夜を明かし、早朝からキノコ狩りです。

ところがあんまりないんですな、これが。
というのも、地元の人達がごく普通に食用にしてるから。
目立つところのやつは採りつくした後だったんです。
地元の人はゆでこぼしてから塩蔵しておくようです。
かなり旨味成分の強いキノコなんです。
みかけがどぎついですけど。

一応毒キノコなんで、地元ではゆでている時の湯気に当たって蝿が落ちる(ウソだよなあ)ということで、「ハエトリ」などと呼んでいます。
「あんたら東京からハエトリ採りに来たのか~?」などと驚かれながら、仕方なくコソコソと私有地に入っていきます。
で、まあ、別荘地に勝手に入り込んで適当な量のベニテングダケを採取いたしました。

生で丸ごと食べてみましたが、私はどうということありませんでした。
一人妙にテンションが上がったのがいて、高速走行中にバックギアに入れそうになってヒヤリとしましたが、あんまり寝てないのでキノコのせいかどうかわかりません。
残りは全部ゆでて、スパゲッティなどに混ぜて食べました。
見かけを我慢すればおいしいです。
あれ?
全然トべなかったじゃんというお話でした。

ちなみに手近な合法ドラッグとしては、ナツメグなんぞがあります。
アーモンドのようなやつを丸ごとかじり……そんなにかじれません。
これはカリカリやりながらテンション上がっちゃったやつがいましたが、私はちょっとかじっても口の中がヒリヒリするので、とてもカリカリなんぞできませんでした。
あ、あれはヒリヒリして騒いでたのか。

【追記】
 リーダーズ英和辞典に、「昔これから蠅取り紙に塗る毒を採った」とありました。
 ひえ~!
 よい子はマネしてはいけませんよ。

 fly agaric [amanita]【植】ベニテングタケ (=fly mushroom)
 woodpecker of Mars
    ベニテングダケ

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Last updated  2004.11.04 02:33:15
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