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闘魂 サバイバル生活者のブログ

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ネットの議論がリアルに波及

ネットの議論がリアルに波及

ブログ「世に倦む日日」の7/18の記事「影の銀行システム」 - 10年周期の過剰信用恐慌と「資本論」、および7/19の記事「文藝春秋」の小泉・竹中批判 - スティグリッツのインタビュ-記事を読んだ。自分がこの1、2年にネットで形成した見立てが本当にリアルに及びだしたのを見て、こんなこともあるのかと驚いている。メディアがあとを追いかけて来たなんて、はじめての経験である。と同時に少しほっとしている。湯浅誠やスティグリッツが脚光を浴びる時代になって来たんだから。金子勝という強い援軍は頼もしい。金貸し、マファイア、武器商人といった個々のプレーヤーに触れないのは物足りないが、そういうネタは、ネットならではということになるんだろう。

ところで、金子勝「閉塞経済―金融資本主義のゆくえ」(ちくま新書)がいい。前半は、ここ20~30年の金融に振り回される資本主義がいかに狂っているか、ほんとうに見事に料理していた。グローバリゼーションって一体なんだったのか、われわれ企業に勤める者は、大変な思いをしてきたが、ようやく正体を掴んだ。たとえば、次の引用を読めばわかる。金子氏もこの本で年次改革要望書にも言及しているが、とうとう潮目は変わったのだと思う。

(引用はじめ)

…ある意味で、アメリカの住宅バブル崩壊の方が、日本の土地バブルの崩壊より深刻かもしれません…アメリカの場合は、あまりに複雑で高度な手法になっていたために、損失が確定できない状況に陥ってしまったからです。リスクを回避する金融革新の手法が、かえってリスクを深くしてしまったのです。そのために、経営者の不正会計を追及して、損失を確定して公的資金を投入するという措置がとりにくいのです。納税者の負担で、責任の追及もなしに経営者や従業員が高給をとっている金融機関を救うことは政治的にも困難です。

結局…FRBが…異例のノンバンク救済に乗りだしました。それは主流経済学のいう「モラルハザード(倫理の欠如)」そのものです。一般に比べると破格の報酬を出しているアメリカの金融機関が、納税者の負担が見えないFRBの救済を受けているからです。それだけではありません。その背後には、SIVやファンドなどの「影の銀行システム」が存在しています。そこは、(1)銀行や投資銀行の連結対象外になっており、(2)不透明な相対取引が行われており、しかも(3)FRBやSEC(証券取引等監視委員会)の監督規制も及んでおらず、したがって(4)自己資本比率規制が適用されず、(5)短期と長期の利回り差を最大限引き出そうと、猛烈にレバレッジを効かせている世界です。

これまでアメリカの金融機関は、金融自由化を求め、「グローバル・スタンダード」だとして、自己資本比率規制や国際会計基準を押しつけてきました。しかし、よく見てみれば、当のアメリカ自身が守っていなかったのです。「影の銀行システム」を作り上げて自己資本比率規制を免れ、バブル崩壊後は「時価会計主義」や「連結決算」など国際会計基準も守れない状況に陥っています。

また、かつてアメリカは、日本のバブル崩壊後に金融機関を破綻させずに、不良債権処理を先送りしているのはけしからんと言ってきました。結局、アメリカは日本、韓国をはじめ多くの国々でそう主張して、相手国の破綻させた金融機関を安値で買い取ってきました。しかし、いまアメリカは猛烈なモラルハザードを引き起こしてでも、大手金融機関をつぶそうとしていません。「グローバル・スタンダード」など、所詮そういうものです

(引用おわり)

政治家、官僚、メディアは意識的または無意識に米国の国益に沿う形でこの国の国益を損なうようなことをして来たと思っています。大学をはじめ教育機関も同様です。

そもそも日本は戦後、米国のカネで復興した。冷戦構造がそうさせたと理解してきましたが、それさえ怪しい。ソ連だって、金融資本の融資がなければ成立しなかったのだから。

結局、政治だけを見てたらだめで、経済をあわせて見なければ、見誤る。カネをめぐって、金貸し、武器商人、マフィアが動く。共同体の論理を無視して。

勇気をもって、そういった真実を伝える努力をしないと知らず知らずのうちに国益に反する行為に加担してしまう。共同体の破壊に無頓着になる。一旦破壊された共同体は簡単には修復できない。戦後の日本を見ればわかるし、いまの日本を見ればわかるだろう。

魂を外国に売る奴はどうしてもなくならないし、外国の工作機関からのアプローチもなくならない。それが現実だ。しかし、幸いこの国では、進路を決めるのは国民である。だからみんなに真実を広めよう。ブロガーたちの熱い闘いだ。


2008年7月21日  根賀源三


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