闘魂 サバイバル生活者のブログ

2007/05/12(土)23:04

グローバル経済を学ぶ

本(79)

野口旭「グローバル経済を学ぶ」(ちくま新書)を読む。 野口はリカードを引いて、メディアや財界、政府の論理を否定する。国際競争力という言葉ほど根拠のない、あいまいな言葉はないとする。その上で、われわれがどうしても捉われてしまう、貿易赤字は「悪」という前提を否定する。 われわれは、貿易赤字は「悪」という前提に立ち、米国や中国よりも国際競争力をつけて、国富を蓄積しなければならないと考えてしまうが、それは大昔、新古典派経済学が否定した俗説=重商主義だと切って捨てる。根拠はリカードそしてサミュエルソンであって、メディアや財界、官僚、政治家が間違った政策へ世論を導くのが我慢ならないということらしい。 ということはグローバリゼーションに反対なのかというとそうではない。グローバリゼーションの真の意義を説く。読んでいてなるほどという感じなんだが、グローバリゼーション=国際分業ということで、そして、痛みを伴うのは当然だという。 しかし、痛みに対して、鈍感であってはだめだとのこと。そして、以上のような野口の主張からすると、国際競争力を錦の旗にしている政策、たとえば「労働ビッグバン」などは的はずれのトンデモ政策だということになる。 結局のところ、野口の立場は労働者にとって味方なんだか、敵なんだかよくわからん。強いて言えば、気配り型真理重視派とでもいおうか。単なる学者なんだ。痛みを和らげるための具体的な処方箋はわれわれの手に委ねられている。 とにかく、先を読み進もう。これまで読んだところで、グローバリゼーションが何者なのかがわかったのは大きな福音だ。世論形成に力を発揮すべきメディアが結構あてにならないことも再認識できた。学生時代は自明だったことなんだが、あくせく働いている内に忘れてしまっていた。

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