凡又凡

2017/01/21(土)13:14

文系と理系(1)ー今と昔

 文系・理系という区分は日本固有のものです。もともとは明治時代に、学問をするのにお金がかからないのが文系、お金がかかるのが理系と分けたのがその発端だそうですが、今では何となく数学ができない人が文系であり、できる人が理系だというコンセンサスがあります。  昨今は理系の方が文系よりも優秀だという風潮が強くなっていますが、80年代の初めごろまでは逆でした。理系は論理的思考法しか武器をもたない単細胞だと文系からバカにされていました。文系の人がそういえたのは、昔は文系も高度な数学を勉強させられたからです。理系はもちろん数学を使いますが、かつての文系は高度な数学に加えて古典に通じ、複雑多岐なものの見方のできることが強みだったのです。  論理的思考は自律的な思考です。論理の筋を通してゆく思考ですから、他人がどう思おうと関係がありません。しかし文系は、とくに最近では、論理的に「正しい」ことよりも、多数派が「正しい」としていることを「正しい」と考える傾向があるようです。これは他律的思考であり、他律的思考では孤立をまねきがちな論理的思考など必要とされません。そこからは、批判的思考も創造的発想も生まれてくる余地がありません。  最近、ある人が「理系は論理でものを考える、文系はことばでものを考える」といっているのをききましたが、私はこれはまちがっていると思います。論理イコールことばだからです。実際に文章を読ませると指示語がさしているもの、ことばの定義、論理の展開に慎重なのは理系の人の方で、今の文系の人はそんなめんどうくさいことを考えません。というか、耐えられません。はっきりいって、今の文系の人は何も考えておらず、本も読まずに空気を読んでいる、というのが実情だと思います。

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