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早寝は体のために、早起きは心のために

12)『 空想未来医学小説 』

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  ■ 週刊ハナヤマ通信・第31号 2003/12/24配信  http://www.hnym.jp
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*  ▲▲▲ *    クリスマス特別号『空想未来医学小説』 
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 ※これはフィクションですので、力を抜いてお読みくださいネ。
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 西暦2056年、医大での課外授業風景

 先生:みなさん、ここは国立ガンセンターという建物の跡地です。

    今は医学歴史博物館になっています。
   
    国立ガンセンターというのは、ガン治療を専門に行なった病院で、
    昔はここで臓器を切り取ったり、放射線をかけてガンの治療をして
    いました。

 学生:ヘエー、切り取っちゃうなんて乱暴だけど、その頃から臓器再生法
    が確立していたんですね。

 先生:いえ、切り取るだけです。

 学生:え、切り取るだけって、後は何もしないんですか?

 先生:臓器だけでなく、リンパなども取れるだけ取った後に、放射線をか
    けたり、抗がん剤を使っていました。

 学生:そ、そんなことしたら死んじゃうじゃないですか。
    それって犯罪ですよ。

 先生:もちろん、今の時代なら犯罪ですが、あの時代は他に治療法がなか
    ったんですね。
   
    医学は、後から見ると犯罪としか言いようがないことでも、その時
    代時代での技術でしか治療できないのです。
   
    問題なのは、時代のレベルを超えられないのに権威になってしまう
    ことですね。

 学生:でも、結果として患者が死んじゃったら、医者として矛盾を感じな
    かったんですか。

 先生:たぶん、最初はみんなそうだったと思います。

    しかし、当時の病院では頻繁に患者が死んでいましたので、一々気
    にしてられなかったんでしょうね。
      
    確かに、手術によって助かった人もたくさんいましたので、時代的
    には否定できない部分もあります。

 学生:うーん、でもなんかスッキリしないなー。

    先生、他に本当に治療法はなかったんですか。

 先生:あったことはあったんですけどね・・・。

    当時は医師法という法律があって、当初は患者の権利を守るための
    法律だったのに、いつのまにか医者の権利を守る法律になってしま
    いましてね。
   
    どんなにいい治療方法があっても、すべて規制されてしまって世に
    出るチャンスはなかったんです。
   
 
    さぁ、向こうのコーナーに行ってみましょう。
   
    ここには、昔使った医療器具が並んでいます。

 学生:先生、この仰々しいMRIっていう機械は何に使ったんですか。

 先生:これで人体の断層写真を撮って、病気を探していたんです。

 学生:昔の医者は、何で体を触って病気を調べなかったんですか?

 先生:昔は、感覚というものをあまり重要には思っていなかったんです。

    機械のほうが人間の感覚よりも優秀だと思われていた時代だったん
    ですよ。
     
    それに3分間診療と言って、一人一人の話なんか聞いている暇なん
    かなかったので、全部機械任せだったんですね。
   
 学生:先生、この検査装置による被爆の問題はどうしていたんですか?

 先生:ある一定量は許容範囲とされていましたが、検査の度に浴びてい
    たって誰も気にしていませんでした。

 学生:ズサンだな~。

    それって、わざわざ病気を作っているようなものじゃないですか。

 先生:そうですね。
    当時は医原病と言って、院内感染など様々な病気が病院で作られま
    した。
   
    ですから、病人は危ないので、病気を治してから病院に行け、なん
    ていう冗談もあったぐらいです。

 学生:うーーん、現代の生まれで良かったな~、ボク。
   
    あ、ここにあるのは、今僕達が使っているのと同じだ。

 先生:そう、聴診器です。
    良い物はちゃんと受け継がれるものなんですね。

 学生:センセー、こっちの保健点数表ってなんですか。

 先生:それは、医者が診療した時の報酬を点数で決めたものです。

 学生:ヘエー昔の医者ってお金をもらっていたんですか。

 先生:そればかりではありません。
    当時は、医者というだけで尊敬されていました。

 学生:え?じゃんじゃん病院で人が死んでた時代ですよね?
    人を殺してもそんなことがあるんですか。

 先生:一応、当時でも医療裁判というものもあったんですが、医者は大し
    た罪にはなりませんでした。
    
    患者の人権を無視したムゴイ時代でしたね。
   

    こっちには昔の薬が並んでいます。
    成分表をよく見てください。

 学生:あれっこれって全部毒薬じゃないですか!
    なんでこんな物を使ったんですか。

 先生:昔は一時的に症状が取れれば、治ったことになったんです。
  
 学生:そ、それってサギじゃないですか。

 先生:まぁサギというより一時しのぎというほうが適切でしょう。
    
    この辺にあるのが抗癌剤というものです。
    その当時は少しでもガンが小さくなれば、効果アリと認められたん
    です。
   
    まぁ後は野となれ山となれ、というのんびりした時代ですね。

 学生:でも、患者の側には不満とかなかったんですか?

 先生:不満なんて言ったら、患者は病院から追い出されてしまいます。

    追い出されたら行くところもありません。

    医者だって、教授や権力者に逆らっては生きて行けない時代です。
   
    この時代はまだ医療封建時代が続いていたんですね。

 学生:でも、確か、政治は民主主義の時代ですよね。
 
 先生:医療の世界は違ってたんです。

    厚生省と医師会と製薬会社というつながりは、大きな利権集団で、
    絶対的な権力を持っていたんです。

 学生:それじゃ、あの有名なエイズ事件のえーーと、思い出せないな。
    えー、あの医者のいた時代ですね。

 先生:歴史上の有名なA級医療犯罪者の名前ぐらい覚えてくださいよ。

    今度試験に出しますよ。
   
    他にも、自分の名誉欲のために心臓移植をした医者の名前なんかも
    一般常識ですからね。

 学生:でも、当時だって良心的な医者とかいたと思うんですけど、そうい
    う人はなぜ立ちあがらなかったんでしょうか。

 先生:さっきも言ったように、教授などの権力者には逆らえません。
 
    良心的な人というのは権力者にはなれないものなんです。
   
    それから、この時代の特徴としては、治験といって新しい薬で人体
    実験をしていました。

 学生:え、人でやってたんですか!
    今では動物実験だって禁止されているのに、野蛮なことをしていた
    んですね。
 
 先生:その当時は、薬や医療行為で将来その人がどうなろうが構わなかっ
    たんです。

    最近になって当時の正確な死亡率が発表されました。
    
    当時の死因はガンが一位とされていたのに、実際は全疾患の死亡者
    数よりも薬の副作用による死亡者のほうが多かったんです。
   
 学生:ええ!当時の薬って毒薬なんだから、副作用なんて使う前からわ
    かってるじゃないですか。
    
    チクショ~~、なんか腹立つな~~。
   
 先生:そうですね。今考えると恐ろしい時代です。
 
    だから、体験的にこれは危険だとわかる人は、病院にできるだけ行
    かないで、薬も摂らないで生活していたようです。
   
    そういう人だけが長生きできた時代なんです。
   
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 先生:こちらには当時の各科の資料が展示されています。
 
 学生:なんでこんなに細分化されてるんですか?

 先生:この頃は、人間の体を独立した部品の寄せ集めだと考えていたんで
    す。

    だから、臓器移殖なんていう発想が出てきたんでしょうね。

 学生:臓器移殖って?

 先生:要するに、他の人の体からとった臓器を患者の臓器と取り替えるの
    です。

 学生:とすると、切り取られたほうの人はどうなるんですか?

 先生:当然亡くなりますね。
    当時は脳死していると死んだことになっていたので、その段階の人
    から臓器を提供してもらっていました。

 学生:ひえ~~、それ自体が殺人じゃないですか!
  
    ------------------------------------------------------------

 先生:こちらが昔の医師国家試験の問題集です。

    全て当時はペーパー試験ですね。
   
    当時でも、車の免許には実地試験があったのに不思議ですね。

    しかも、いったん取得した医師免許には、更新制度すらありません
    でした。
    
    これじゃ、事故があって当たり前ですね。
   
 学生:うーん、それじゃホントに患者は死んじゃうよな~。

 先生:しかも、人口は減っているのに医者の数は増えていました。

    医者が増えると病人も増えるという、恐ろしい時代です。

    ------------------------------------------------------------
   
 先生:さぁ、ここで休憩してお昼にしましょうか。

    このレストランでは、昔の病院の入院患者の食事を忠実に再現した
    メニューが出されています。
   
    その当時は栄養学というのが主流で、カロリー計算された食事が良
    いとされていました。
   
    さ、みなさん食べてみてください。
   
 学生:ほんとうにこれが食事ですか?

    うわ、マズ~。
   
    計算されているというよりも、単に材料をケチっただけじゃないで
    すか。
   
    毎日こんなもの食べてたら病気になっちゃいますヨ~。
   
 先生:ハハハ。
    人間の思い込みというのはすごいもので、体に良いと言われれば、
    そのつもりになってしまうんですね。
   
    その頃は、サプリメントや健康食品というのものが大流行で、科学
    的な根拠がなくても、体にいいとテレビで言えば、どんどん飲んで
    しまっていたんですね。
   
 学生:あ、そのテレビっての、今は禁止されてる洗脳機械のことですね。

    それじゃ、洗脳されてたんですね。
   
 先生:洗脳されるというよりも、洗脳されたがっていたと言うほうが正し
    いでしょうね。
   
    とにかく当時の人は自分の頭で考えないで、他の人にすべて判断し
    てもらうのが好きだったんですね。
   
 学生:でも、テレビに医師会は抗議しなかったんですか?

 先生:結局のところ、権力というのは、相争うことはしないんです。

    お互いの利益になれば、それでいいんです。
   
    ですから、当時「反体制」と呼ばれていた人達も、自分たちが権力
    をもったら、それで終わりでした。
   
 学生:かわいそうなのはバ…いや、愚かな貧しい民衆だけですね。

 先生:いえ、それほど単純な話でもないんです。

    当時の日本国民は世界で一番お金を持っていたんですが、他の国で
    は貧しくて飢えている人が毎日たくさん死んでいました。
   
    それでも、当時の人は自分のことしか考えないで、食べすぎ飲みす
    ぎで糖尿病の患者が増えていたぐらいなんです。
   
    利己的という意味では、権力者も民衆も同じですね。
   
    ------------------------------------------------------------
   
 学生:前にも出てきた国民健康保険てなんですか?

 先生:国民全員が収入に応じて保険料を支払うんです。

    医療費の3割までは自己負担で、残りをその保険料でまかなってく
    れる制度です。
   
    なんのことはない、朝三暮四の制度にすぎません。
    税金と同じです。
   
 学生:それって体に気をつけてる人も、ムチャクチャな生活してる人も負
    担は同じなんですか?
   
 先生:その通りです。とんでもなく不公平な制度でした。
   
    しかし、そんなことどうでも良かったんですね。
   
    病院と製薬会社が儲かれば、それでいい時代だったんです。
   
 学生:でも、政治の力でそんな制度なんか変えちゃえなかったんですか?

 先生:政治家は製薬会社からお金をもらってましたし、医師会は政治家の
    支援母体ですから、制度を変えるなんてできません。
   
    製薬会社は、制度が変えられないように、お金を各界にばらまいて
    いたんですね。
   
    それに、保険制度自体が負担増で破綻したって、国民から巻き上げ
    た税金で補填するだけですからね。
    
    政治家も痛くもかゆくもないわけなんです。
   
    ------------------------------------------------------------
   
 先生:こちらが整形外科です。
    腰痛用の牽引器具や温熱器具が並んでいます。
   
 学生:センセ、こんなんで治るんですか~?

 先生:な、治るわけないじゃないですかっ。

 学生:それじゃなんでこんなもの使ってたんですか?

 先生:別に何でも良かったようですね、当時は。

    腰痛で死ぬ訳じゃないし、治さないでおいて、患者に頻繁に通って
    もらったほうが、病院経営としては儲かるんです。
   
    まぁ最後には手術して、それでも治らないからまた通ってもらって
    たんですね。
   
    だから、風邪と腰痛は病院のドル箱と言われていました。
   
 学生:当時の医者ってなんでそんなにお金もうけしたかったんですか?

 先生:昔の私立医大に入るのには莫大なお金が必要だったんです。
    だから、医者になってから元をとらなきゃいけなかったんですね。
   
    それに当時は医者とか政治家は世襲制みたいなもので、親の利権を
    子供が受け継ぐようになっていたんです。
   
    国立の医大に入れなくっても、私大にお金を積んでなんとか入学さ
    せるわけです。
   
 学生:ハァ・・・。

 先生:こちらは内科ですね。

    当時、病院に来るのは、風邪の人が一番多かったんです。
   
    ここに当時の風邪の処方箋があります。
   
    随分イロイロとありますが、当時は6種類の薬を一度に処方するの
    も当たり前でした。
   
    患者のほうでも、それをありがたがっていたんです。
   
 学生:風邪はほっといても治りますよね~。

 先生:そりゃそうです。風邪なんて寝てるのが一番です。

    でも、当時は、薬を出さないような良心的な医者は患者から人気が
    なくて、ドッサリ薬を出す医者のほうが人気があったんです。
   
 学生:そもそも、なんで風邪ぐらいで病院に行ったんですか?

 先生:ひょっとしてインフルエンザじゃないかって心配してる人が結構い
    たんです。
   
    当時は、医者ですら風邪とインフルエンザの違いがわからなくて、
    カンで決めてたぐらいですからね。
   
    平成時代初期までは、カンで判定でしたから、庶民がインフルエン
    ザを怖がるのも当然でしょう。
   
    病院としても、どんどん怖がらせて、インフルエンザの予防接種で
    また一儲け、という構図だったわけです。
   
 学生:センセー、どうして当時の患者はそんなにバ…いや、無知だったん
    ですか?
   
 先生:なぜでしょうね~。
    やはり一般の教育制度のせいで、権威とか権力に弱かったんでしょ
    うね。
   
    当時の医者だって、外国の権威には弱くて、論文だって海外で認め
    られなければいけませんでしたしね。
   
 学生:それって、江戸時代の因習の名残ですね。

 先生:そうですね。
    お上の決めたことには疑問を持たず、お上に従っていればいいとい
    う発想も江戸時代の名残ですね。
   
    しかし、この頃には、テレビが大きな権力として台頭してきまして
    ね。
   
    患者は、医者の言うことよりもテレビタレントの言うことを信じる
    ようになってました。
   
    タレントが体にいいとテレビで言うと、何でもかんでも飛びついて
    いたんです。
   
    その後、国民健康保険が破綻して、国家の財政も破綻しました。
   
    国民のトラの子の貯金が、実は国に使い込まれて、スッテンテンだ
    とわかってから、やっと国任せでなく自分の頭で考えるようになっ
    てきたんです。
   
    ここのところ、大事ですよ。
   
    医療制度の転換期として、試験に出しますからね。

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 先生:こちらに当時の医療を批判して、制度の転換に貢献した偉大な医療
    改革者の銅像が並んでいますね。

 学生:近藤、富家、中原…。あ~有名ですね。
  
    ん?こっちにずいぶん小さいのがありますね。
    ずいぶん美形ですね。

 先生:え、なになに・・・何か書いてありますね。

    「 21世紀の医学の基礎を作った天才治療家 花山水清。
   
    地位も権力も金もないのに医学界を批判し、あっさりつぶされる。
   
    建立者スギポン 」
   
    ふーん、スギポンねぇ。どこの国の人でしょうね、こりゃ。
   
    ま、当時たくさんいた泡沫治療家の一人でしょうね。
   
    しかし、こんなところに勝手に置いて…。
   
    後で守衛さんに撤去してもらいましょう。

    -----------------------------------------------------おしまい。
          
         
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  ■ 監修/ハナヤマせんせっ(花山水清)■編集・発行責任/Sugipong
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