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2024.07.22
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テーマ:気候変動(71)
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気候行動に関するアントニオ・グテーレス国連事務総長の特別演説:「真実の時」(ニューヨーク、2024年6月5日)
プレスリリース 24-041-J 2024年06月28日






©UN Photo





地球上の友人の皆様、

今日は「世界環境デー」です。

また今日は、欧州委員会のコペルニクス気候変動サービスが、2024年の5月が観測史上最も暑い5月となったことを正式に報告した日でもあります。

これにより、史上最も暑い月が12カ月連続したことになります。

この一年、カレンダーをめくるたびに、気温上昇が見られました。

私たちの地球は、何かを伝えようとしています。しかし、私たちは耳を傾けていないようです。

友人の皆様、

アメリカ自然史博物館は、そのことを語る上で、理想的な場所です。

この偉大な博物館は、私たちの自然界について、そして数十億年にわたり地球上の生命を形成してきたとてつもない力について、すばらしい物語を伝えています。

人類は、長い歴史の、ほんの一瞬の存在にすぎません。

しかし、恐竜を絶滅させた隕石のように、人類は並外れた影響をもたらしています。

気候についてみれば、私たちは恐竜ではありません。

私たちは、隕石です。

私たちが危険にさらされているだけでなく、

私たちが危険そのものなのです。

しかし私たちは、解決策でもあります。

ですから、友人の皆様、

私たちは今、「真実の時」を迎えています。

真実は、「パリ協定」が採択されてから10年近くが経過し、長期的な地球温暖化を1.5℃に抑えるという目標は、危機に瀕しているということです。

真実は、世界の排出ペースが非常に速く、そのため2030年までには気温上昇がはるかに高くなることは、ほぼ確実だということです。

本日発表された主要な気候科学者たちによる最新データによれば、長期的な温暖化を1.5℃に抑えるために残された炭素予算は、現在約2,000億トンです。

それは、私たちが気温を上限内に抑える僅かなチャンスにかけた場合、地球の大気が受け入れられる二酸化炭素の最大量です。

真実は、私たちが無謀なスピードでこの予算を使い続けており、年間400億トンの二酸化炭素を排出しているということです。

簡単な計算です。

このままでは、2030年になる前に炭素予算全体が尽きてしまうのです。

真実は、1.5℃の上限を維持するためには、2030年まで世界の排出量を毎年9%ずつ削減する必要があるということです。

しかし排出量は、誤った方向に向かっています。

昨年は1%増加しました。

真実は、私たちはすでに1.5℃の領域に侵入する手前にまで来ているということです。

世界気象機関(WMO)の本日の報告によれば、今後5年のうち少なくとも1年は、世界の年間平均気温が1.5℃の上限を超える可能性が80%あります。

2015年には、そうした可能性は、ほぼ0%でした。

そして今後5年間の平均気温が、産業革命以前と比べて1.5℃高くなる可能性は、五分五分です。

私たちは、地球を使いロシアンルーレットをしているのです。

私たちには、気候地獄へ向かう高速道路から降りる、出口が必要です。

そして真実は、そのハンドルを握っているのは私たちだということです。

1.5℃の上限は、まだどうにか達成できるのです。

忘れないでください。これは、数カ月や数年ではなく、数十年の長さで測られる長期的な上限であるということを。

つまり、1.5℃の閾値を短期間超えたとしても、長期的な目標の達成に失敗したということではありません。

私たちは一層努力しなければならないことを示しているのです。

今すぐに。

真実とは、1.5℃をめぐる闘いの勝敗が2020年代のうちに、すなわち今日の指導者たちがその席にいる間に、決着することでしょう。

すべては、今日の指導者が下す決断、あるいは下さなかった決断にかかっています。特に、今後18カ月以内はそうです。

今が、気候の正念場です。

気候行動の必要性は、これまでになく高まっています。同時に、気候問題の解決、経済的繁栄、持続可能な開発をもたらす機会もこれまでになく大きくなっています。

気候行動は、地政学的分断に左右されてはなりません。

世界は、ドイツのボンで気候変動交渉に集います。そしてG7サミット、G20サミット、国連総会、気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)に向け準備を進める中、私たちには、最大限の野心、最大限の加速、最大限の連携、一言で言うと、最大限の行動が必要です。

ですから、友人の皆様、

なぜ1.5℃がこれほど騒がれるのかと言えば、

私たちの地球が、複雑につながり合った巨大なシステムだからです。地球温暖化がわずか1℃の数分の1進むだけでも、無視できないのです。

一部の小島嶼国と沿岸コミュニティーにとっては、(気温上昇の)1.5℃と2℃の差が、滅亡と生存の分かれ目となり得ます。

気候カオス(大混乱)を最小限に抑えるか、あるいは危険な転換点を超えるかの、分かれ目となります。

1.5℃は目標値ではありません。ゴールでもありません。物理的な限界なのです。

科学者たちは、気温がさらに上昇することの意味について、警鐘を鳴らしています。それは、

グリーンランド氷床と西南極氷床の崩壊による、破滅的な海面上昇。

熱帯のサンゴ礁系や3億人の人々の生計の破壊。

ラブラドール海流の崩壊と、それによる欧州での気象パターンのさらなる混乱。

そして、広範囲にわたる永久凍土の融解による、最も強力な温室効果ガスの一つであるメタンの壊滅的濃度での放出。

今でさえ私たちは、地球を瀬戸際に追いやっています。世界の気温の記録を塗り替え、その報いを受けています。

そして、最も貧しい人々、最も脆弱な国々、先住民、女性と女児など、この危機に最も責任のない人々が最も大きな打撃を受けているのは、気候正義の茶番です。

最も裕福な1%の人々が、人類の3分の2の排出量に匹敵する量を排出しているのです。

そして、気候カオスによって加速した異常気象が相次いで発生し、

生活を破壊し、経済に打撃を与え、健康を損なっています。

持続可能な開発を台無しにしています。人々を住処から追いやっています。そして、人々が移住させられ、重要な資源が枯渇する中で、平和と安全の基盤も揺るがします。

すでに今年だけでも、猛烈な熱波が記録的な高温を伴ってアジアを襲い、作物はしなび、学校は閉鎖され、人々は命を落としています。

ニューデリーからバマコ、メキシコシティに至るまで、都市は焼けるような暑さを経験しています。

ここ米国でも、猛烈な暴風雨によって、コミュニティーや生活が破壊されています。

アフリカ南部の各地で、干ばつ災害が宣言されました。

アラビア半島、東アフリカ、ブラジルでは、豪雨による洪水が発生しました。

科学者たちによる最悪の予測を上回る、前例のない海水温の上昇により、世界中で大規模なサンゴの白化が見られました。

こうしたカオスの代償が、人々が最も苦しむことに対して大きな打撃を与えています。

サプライチェーンの寸断から物価の上昇、食料不安の深刻化、保険に加入できない住居や企業まで。

そのツケは、増え続けることになるでしょう。最近の研究によると、たとえ明日、排出量がゼロになったとしても、気候カオスによって2050年までに毎年少なくとも38兆ドルの損失が生じることが明らかになっています。

気候変動は、一般の人々、脆弱な国々やコミュニティーが負担する、いわば「隠れた税金」すべての根源なのです。

その一方で、気候カオスのゴッドファーザーである化石燃料産業は、記録的な利益を上げながら、税金で賄われる補助金から何兆ドルもの恩恵を受けているのです。

友人の皆様、

私たちは、自らを救うために必要なものを持っています。

私たちの森林、湿原、海洋は、大気中の炭素を吸収します。これらは、1.5℃の目標を維持する上で、そして上限を超えた際に私たちを引き戻す上で、不可欠です。私たちは、これらを保護しなければなりません。

そして私たちには、排出量を削減するために必要なテクノロジーも備わっています。

再生可能エネルギーは、コストが急減し、各国政府がよりクリーンな空気、良質な雇用、エネルギー安全保障、電力アクセスの拡大といった恩恵を認識するにつれて、活況を呈しています。

陸上風力と太陽光は、世界のほとんどの地域において、最も安価な新しい電力源であり、過去何年も前からそうあり続けています。

再生可能エネルギーは、すでに世界の電力供給の30%を占めています。

そして昨年、クリーンエネルギーに向けた投資は過去最高を記録し、この10年間でほぼ倍増しています。

風力と太陽光は、今や歴史上最も急速に拡大している電力源となっています。

経済の論理からすれば、化石燃料時代の終焉は、不可避です。

残る問いは、果たしてその終焉は間に合うのか、そしてその移行は公正なものになるのか、ということだけです。

友人の皆様、

私たちは、どちらの問いにも「はい」と答えられるようにしなければなりません。

そして、人々と地球にとって、可能な限り安全な未来を確保しなければなりません。

それは、特に今後18カ月にわたり、緊急行動を起こすことを意味します。

排出量を大幅に削減するために。

異常気象から人々と自然を守るために。

気候変動対策資金を増額するために。

そして、化石燃料産業への締めつけを行うために。

それぞれの要素を、順に説明しましょう。

第一に、排出量の大幅な削減です。これは、大量に排出している国々が主導します。

G20諸国は、世界の排出量の80%を占めており、最前線に立って主導する責任と能力があります。

G20の先進国は、最も速く、最も先に進むべきです。

そしてG20の新興国やその他の開発途上国に対し、技術的・財政的支援を提供することで、気候連帯を示すべきです。

来年、各国政府は、いわゆる「自国が決定する貢献(NDC)」、すなわち国別気候行動計画を提出せねばなりません。これらの計画によって今後の排出量が決まります。

COP28において、各国はこれらの計画を1.5℃の上限に整合させることに合意しました。

これらの国別計画には、2030年と2035年に向けた絶対的な排出量削減目標を盛り込まねばなりません。

それはまた、あらゆる部門、あらゆる温室効果ガス、経済全体を対象としたものでなければなりません。

そして、1.5℃目標の達成に欠かせない世界的な移行に対して各国がどのように貢献するのか、つまり2050年までに世界全体で排出量正味ゼロを達成し、化石燃料を段階的に廃止し、その過程で1年ごとに、そして10年ごとに、世界的な節目を達成するための軌道に乗る方法を示さねばならないのです。

この中には、2030年までに、世界全体のあらゆる化石燃料の生産と消費を少なくとも30%削減するために貢献すること、そしてCOP28での約束、つまり森林破壊に終止符を打ち、エネルギー効率を2倍にし、再生可能エネルギーを3倍にする約束を果たすことも含まれます。

各国は、約束を果たし、正当な役割を担わなければなりません。

それは、G20の首脳たちが、1.5℃の上限に沿った公正な世界的なエネルギー移行を加速させるために、連帯して取り組むことを意味します。首脳たちは、その責任を引き受けねばなりません。

私たちが必要としているのは、非難ではなく協力です。

それはG20諸国が、国別気候行動計画、エネルギー戦略、そして化石燃料生産・消費計画を、「1.5℃の未来」の範囲内で調整することを意味します。

G20諸国が、化石燃料への補助金を、再生可能エネルギー、蓄電、電力網の近代化、そして脆弱なコミュニティーへの支援へ振り向ける誓約をすることを意味します。

G7とその他の経済協力開発機構(OECD)諸国が、2030年までに石炭を廃止し、化石燃料を使用しない電力システムを構築し、2035年までに石油とガスの需給を60%削減すると約束することを意味します。

すべての国々が、新規の石炭プロジェクトを直ちに終了させることを意味します。とりわけ新規の石炭火力発電容量計画の95%を占めているアジアの国々においてです。

OECD非加盟国が、2040年までに石炭火力発電を廃止する軌道に自らを乗せるための気候行動計画を策定することを意味します。

そして、開発途上国が、投資計画を兼ねた国別気候行動計画を策定し、持続可能な開発に拍車をかけ、急増するエネルギー需要を再生可能エネルギーで賄うことを意味します。

国連では、開発途上国が「気候の約束」イニシアチブを通じてこれを達成できるよう、システム全体を動員しています。

あらゆる都市、地域、産業、金融機関、そして企業もまた、解決策の一翼を担わねばなりません。

遅くとも、来年ブラジルで開催されるCOP30までには、強固な移行計画を提示しなければなりません。

1.5℃の上限と、排出量正味ゼロに関する国連ハイレベル専門家グループの提言に沿った計画を。

バリュー・チェーン全体の排出量を対象とした計画を。

中間目標と透明性のある検証プロセスを含めた計画を。

そして、ほとんど、あるいはまったく気候の役には立たないばかりか、人々の信頼を損ねるような、疑わしいカーボン・オフセットを排除した計画を。

私たちは、自然を欺くことはできません。偽りの解決策は、逆効果となるでしょう。私たちに必要なのは、信用でき、温暖化を1.5℃に抑える目標に合致するルールを備えた、信頼性の高い炭素市場です。

私はまた、科学者と技術者たちに対し、二酸化炭素の除去と貯留に早急に焦点を当てて、クリーン化が最も困難な重工業からの最終的な排出に、安全かつ持続可能な形で対応するよう奨励します。

そして、各国政府に対し、彼らを支援するよう要請します。

ですが、はっきり申し上げます。これらのテクノロジーは、特効薬ではありません。抜本的な排出量削減の代わりにも、化石燃料の段階的廃止を遅らせる口実にもなり得ないのです。

それでも私たちは、あらゆる領域で行動を起こす必要があります。

友人の皆様、

第二の行動分野は、今日と明日の気候カオスからの保護策を強化することです。

最も脆弱な人々が困窮したまま放置され、自分たちが作り出してもいない気候危機に必死に対応させるのは、恥ずべきことです。

私たちは、豊かな人々がエアコンの効いた隔絶された空間で守られ、それ以外の人々が住み続けられない土地で命を脅かす天候に見舞われるような未来を、受け入れることはできません。

私たちは、人々と経済を守らねばなりません。

地球上のすべての人々が、2027年までに早期警報システムによって守られなければなりません。私はすべてのパートナーに対し、国連の「すべての人に早期警報システムを」行動計画への支援を強化するよう要請します。

今年4月、G7は「適応アクセラレーター・ハブ」を発足しました。

開発途上国が適応投資計画を策定し、これを実践するのを支援するためには、COP29までにこのイニシアチブを具体的な行動に移さなければなりません。

私はすべての国々に対し、その適応と投資のニーズを、自国の新たな国別気候計画に明記するよう要請します。

しかし現場での変化は、充てられる資金にかかっています。

異常気象への適応に必要な1ドルに対し、現在得られているのはわずか5セントほどにすぎません。

そのための第一歩として、すべての先進国は、2025年までに適応資金を倍増させて毎年少なくとも400億ドルにする約束を守らねばなりません。

そして、適応資金のギャップを埋める明確な計画を11月のCOP29までに提示しなければならないのです。

しかし、より根本的な改革も必要です。

そこで、第三のポイントである資金に話を移します。

友人の皆様、

もしお金が世界を動かすのならば、今日の不平等な資金の流れは、私たちを災いへと向かわせつつあります。

世界の金融システムは、気候変動の解決策の一端とならなければなりません。

巨額の債務返済によって、気候行動のための資金は干上がりつつあります。

搾取レベルともいうべき資本コストによって、再生可能エネルギーは、ほとんどの開発途上国や新興国にとって、事実上手が届かないものとなっています。

驚くべきことに、近年の再生可能エネルギーの活況にもかかわらず、中国以外の開発途上国および新興国におけるクリーンエネルギー投資は、2015年と同じ水準にとどまっています。

昨年、クリーンエネルギーへ向けた新規投資のうち、中国以外の開発途上国および新興国を対象とした投資は、わずか15%でした。これらの国々を合わせると世界人口の3分の2近くを占めます。

さらに、アフリカは豊富な天然資源を有し、再生可能エネルギーにおいて非常に大きな可能性があるにもかかわらず、昨年の再生可能エネルギー導入量にアフリカが占める割合は、1%にも達しませんでした。

国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、中国以外の開発途上国および新興国へのクリーンエネルギー投資を、2030年代前半までに毎年1.7兆ドルまで伸ばす必要があります。

つまり、野心的な新気候計画を促進し、すべての人々に手ごろな価格のクリーンエネルギーを届けるためには、利用可能な公的・民間資金供与を大幅に増額する必要があるのです。

今年9月の「未来サミット」は、国際金融アーキテクチャの改革、そして債務をめぐる行動を推進する機会です。私は各国に対し、この機会を逃さないよう要請します。

そして、G7サミットとG20サミットに対し、国際開発金融機関の中での自らの影響力を行使して、これらの機関をより良く、より大きく、より大胆なものにし、はるかに多くの民間資金を合理的なコストで利用できるようにすることに尽力するよう要請します。

各国は、新設された「損失と損害基金」に多くの資金を拠出し、これをCOP29までに稼働させなければなりません。

そして各国は、今年のCOPにおいて資金に関する強固な成果、つまり、信用と信頼を築き、必要とされる数兆ドルを促進し、国際金融アーキテクチャの改革への機運を醸成するような成果を、団結して確保しなければなりません。

しかしこれらのいずれも、革新的な新しい資金源がなければ、十分とは言えないのです。

今こそ炭素に効果的な価格付けを行い、化石燃料企業の超過利得に課税する時です。

私たちはCOP29までに、海運、航空、化石燃料採掘などの部門への連帯税について検討段階から実施段階へと進み、気候行動への投資を支援する「アーリー・ムーバー」(早期行動者)を必要としています。

連帯税は、拡張性があり、公平で、徴収や管理が容易なものにすべきです。

これはいずれも、慈善事業ではありません。

啓発された自己利益なのです。

気候変動対策資金は、厚意ではありません。誰もが住み続けられる未来の基礎となる要素なのです。

友人の皆様、

最後に第四として、私たちは、何十年にもわたって前進を妨げることに執拗な熱意を示してきた化石燃料産業の人々に、直接立ち向かわねばなりません。

真実をゆがめ、人々を欺き、疑念を植え付けるために、数十億ドルもの資金が投じられてきました。

個人的に、そして職業的にしばしば大きな危険を冒しつつも、こうした手法を暴露してきた学者や活動家、ジャーナリストや内部告発者たちに私は感謝しています。

私は、化石燃料産業のリーダーたちに対し、あなた自身がクリーンエネルギーへの転換のための追い越し車線に今いないのであれば、自らの事業が行き詰まるだけでなく、私たち全員を道連れにするのだということを理解するよう呼びかけます。

昨年、石油・ガス産業がクリーンエネルギーに投資した額は、設備投資の総額のわずか2.5%でした。

21世紀において化石燃料に倍賭けすることは、19世紀に馬蹄や馬車の車輪に倍賭けするのと変わりません。

ですから、化石燃料産業の経営者たちに申し上げます。あなた方が手にした巨額の利益は、エネルギー移行を主導する機会をご自身に与えてくれているのです。どうかそれを、逃さないでください。

金融機関もまた、極めて重要です。資金がものを言うからです。

金融機関は、変革の代弁者であらねばなりません。

私は金融機関に対し、化石燃料が引き起こす破壊に融資することを止め、世界的な再生可能エネルギー革命への投資を始めること、

化石燃料からクリーンエネルギーに[資金を]振り向ける、信頼できる詳細な公の計画を、2025年と2030年の明確な目標と併せて提示すること、

そして、物理的なものであれ移行におけるものであれ、そうした気候リスクを株主や規制当局に開示することを要請します。最終的には、そうした開示は義務化すべきです。

友人の皆様、

化石燃料産業の多くの企業は、恥知らずにもグリーンウォッシング(見せかけだけの環境配慮)を行ってきたばかりか、ロビー活動、法的脅迫、大規模な宣伝活動によって気候行動を遅らせようとしてきました。

そうした企業が、さながらテレビシリーズの『マッドメン』のように広告・広報(PR)代理店からの支援や教唆を受け、狂気に拍車をかけているのです。

私は、それらの企業に対し、地球の破壊を助長する行為を止めるよう呼びかけます。

今日から、化石燃料産業の新規顧客の獲得を止めて、この業界の既存顧客との取引を中止する計画を立ててください。

化石燃料は、私たちの地球を汚染しているだけでなく、あなた方のブランドにとっても有害なのです。

あなた方の産業は、すでにこの大義のために結集した創造力のある人たちで溢れています。

そうした人々は、地球を破壊するのでなく、地球のために闘う企業に惹かれているのです。

私はまた、各国に対し、行動を起こすよう呼びかけます。

多くの政府は、例えばたばこのように、人々の健康に害を及ぼす製品の広告を規制または禁止しています。

今、一部の政府では、化石燃料についても同様の措置を講じています。

私はすべての国々に対し、化石燃料企業の広告を禁止するよう要請します。

また、メディアやテクノロジー企業に対し、化石燃料の広告を掲載しないよう求めます。

私たちは皆、需要サイドにも対処しなければなりません。私たち全員が、クリーンなテクノロジーを採用し、自身の生活において化石燃料を段階的に削減し、市民としての力を活用して制度上の変革を推し進めることで、変化をもたらすことができるのです。

住み続けられる未来のための闘いにおいて、あらゆる場所において、人々が政治家よりもはるか先へと進んでいます。

あなた方の声を届け、あなた方の選択を意義あるものにしてください。

友人の皆様、

私たちには選択肢があります。

気候変動で前進を遂げるための転換点を生み出すのか、気候関連災害へ向かう転換点へと突き進むのかです。

どの国も、単独で気候危機を解決することはできません。

今こそ、全力を注ぐ時です。

国連は全力を注いで、信頼を構築し、解決策を見出し、私たちの世界が切実に必要とする協力を促すべく取り組んでいます。

そして私は、より安全でよりクリーンな世界に向けて先頭に立っている若者たち、市民社会、都市、地域、企業などの皆様に、感謝申し上げます。

あなた方は、歴史の正しい側にいます。

あなた方は、多数派の声を代弁しています。

その調子で、続けてください。

勇気を失わないでください。希望を失わないでください。

“われら人民”と、汚染者および利益至上主義者との闘いです。力を合わせれば、私たちは打ち克てます。

しかし指導者たちは、どちらの味方をするのかを決める時です。

明日になってからでは遅すぎるのです。

今こそ動員の時であり、行動の時であり、そして実現の時です。

今こそが、私たちの真実の時なのです。

ありがとうございました。

* *** *

原文(English)はこちらをご覧ください




























































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最終更新日  2024.07.22 08:48:01
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