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時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

2007.10.13
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 水柿君は国立N大学の工学部で建築学を教える助教授である。奇しくも、年齢は33歳、内田康夫のミステリーの主人公浅見光彦と同い年である。ミステリー作家である森氏が、そこを意識して、33歳にしたのか、それとも単なる偶然かは分からない。(たぶん偶然だろう。)

 この水柿君、一口で言えば変わり者である。もっとも、偏屈なという意味ではなく、どこかあっけらかんとした愛すべき変わり者だ。大学人で変わり者といえば、以前紹介した、ツチヤ教授を思い出すが、水柿君は、あれほどくどくはなく、もっとあっさりしている。

 この水柿君の日常に起こった出来事を綴ったのが、「工学部・水柿助教授の日常」(森博嗣:幻冬社)である。森氏は、何回も、作品中で、「これは小説だ。」と断っている。しかし、それにしては、リアリティがありすぎる。森氏の大学教員時代を綴ったノンフィクションらしい香りがぷんぷんしているのだ。

 扱われている出来事は、上司の教授がホテルで講演資料の入ったかばんを盗まれた話だとか、構内でミステリーサークルを発見した話とか、奥さんの須磨子さんとのやりとりなど、どちらかと言えばたあいのない話を、ほのぼのとしたタッチで、ユーモアたっぷりに描いている。読んでいる間、少し幸せな気分にしてくれる作品だ。

 なお、文中で、時折、「四十七人の力士」という表現が出てくるのだが、これは、京極夏彦のパロディ小説集「どすこい」のなかに出てくる「四十七人の刺客」のパロディの中の表現から来ていると思われる。この「どすこい」には、「すべてがFになる」のパロディも収録されていたので、その返礼であろうか。



「工学部・水柿助教授の日常」(森博嗣:幻冬社)
  


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最終更新日  2008.03.21 07:37:00
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