時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

2009/08/09(日)10:06

ピアノの天使

日々の読書(その他小説)(127)

 最近CDでよくピアノの演奏を聞いている。韓国のピアニストであるイ・スミという人の演奏である。このCD、「ピアノの天使 韓国天才少女イ・スミの物語」(コ・ジョンウク/パク・ヨンドン:現文メディア /理論社)という本の付録についていたものだ。私は、音楽の方は、あまり詳しくないので、適切に語る言葉を持たないが、聞いていていい演奏だと思う。何度聞いても聞き飽きない。  実は、この「ピアノの天使 韓国天才少女イ・スミの物語」、先般このブログで紹介した「韓国トップスターウンギョンの夢」と同じく、「夢をかなえる青少年美談シリーズ」のうちの一つである。シリーズの第1作である「韓国トップスターウンギョンの夢」を出版社からいただいたので、このつたないブログで記事として取り上げたところ、丁寧なお礼の手紙と共に、最新作である本書を送ってもらった。  この作品の主人公であるイ・スミは、ドイツでピアノを学び、ついにはドイツ最高のピアノコンクールである「連邦青少年音楽コンクール」で優勝した若き女性ピアニストである。しかし彼女の成功の裏には様々な物語があったのである。  1997年に発生したアジアの通貨危機を記憶している方も多いであろう。アジア各国の通貨が急激に下落し、経済が混乱した。韓国は、その中でも特に経済に大きな打撃を受けた国の一つであった。外貨準備高が底をつき、あわやデフォルト(債務不履行)寸前までとなった韓国は、IMF(国際通貨基金)に支援を仰ぎ、IMFの管理下で様々な改革を余儀なくされたのである。  この一連の流れは、激流となって、多くの人を飲み込んでいった。建築資材の商いを営んでいたイ・スミ一家もその例外ではなかった。不渡りを出し倒産、更には父親の投獄と辛い時代が続く。それでも、明るく前向きなイ・スミは、中学1年生のとき、日本円にして僅か4万円のお金を持っただけでドイツに留学する。  中には、悪い人間もいたが、イ・スミは多くの人の善意に囲まれて、ピアノの勉強を続けていく。人は、いっしょうけんめいに前を向いて進もうとしている者を応援したくなるものだ。それは、国や民族といったものには関係がないのである。イ・スミの物語は、前を向いて進もうとしているたくさんの人に夢や希望を与えることであろう。 ○「韓国トップスターウンギョンの夢」の記事はこちら ○応援クリックお願いします。      「ピアノの天使 韓国天才少女イ・スミの物語」(コ・ジョンウク/パク・ヨンドン:現文メディア /理論社)    風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら

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