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時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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日々の読書(ホラー)

2010.11.27
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 あまりにも有名な、人間の善悪の二面性を描いた、もう古典といっていいような作品である。初めて読んだが、思っていたのとはだいぶ違い、ハイド氏は、あきれた小悪党だった。

 レビューは、「本の宇宙」に掲載


○こちらはDVD



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最終更新日  2010.11.27 11:06:09
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2010.11.03

「ぼっけえ、きょおてえ」などにより、ホラー小説に新たな境地を開いた岩井志麻子の「魔羅節」(新潮社)。




 ちょっと書くのがためらわれるような表題で、ほとんど反則といってもいいくらいだ。まあ、最近はあまり使わない言葉なので、かろうじてセーフということか?現代語に直したら、とても書店で大っぴらに並べる訳にはいかないだろう(笑)。

 しかし、表題で驚くなど、まだ甘かった。実はこの作品は全部で8編の短編から構成されているのだが、一つ一つの作品に付けられているタイトルの方は、とても紹介できないようなすごいものだ。これは、自粛しておかないと、このブログの品位にも関わりそうなくらいである。

 内容の方であるが、どの短編を読んでも、どろどろとした淫猥な世界が広がる。淫猥だが、決して軽薄なエロ小説ではない。ずっしりと、体にまとわりついて来るような重苦しさだが、確かにこれは文学だ。帯に「よくぞ魑魅魍魎の世界へ」と書かれているが、まさにそんな感じである。使われているのはもちろん岡山弁。岡山弁は、他県の者が聴くと、ちょっときつい感じを受けるかもしれないが、それが、この独特の作品世界にはよく似あっている。


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最終更新日  2010.11.03 09:27:16
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2010.10.20

 冒頭にいきなり

 「天城さんは鷺森神社の近くに住んでいた。」
というフレーズがあり、思わず買ってしまった「きつねのはなし」(森見登美彦:新潮社)。鷺森神社は、修学院の近くににある古い神社で、私も学生時代にこの近くに住んでいた。




 読んでいくうちに、自分の学生時代の行動範囲と重なる部分が出てくるためか、どんどんと話に引き込まれていく。なにしろ、作品中に出てくる骨董屋・芳蓮堂のある一乗寺は、私の学生時代住んでいたところだし、出てくる大学は森見氏の経歴からも、私の通っていた京都大学がモデルであることが推測できるからだ。京都大学のすぐそばにある吉田神社も重要な役割を果たしている。

 作品は、芳蓮堂とケモノを主なキーワードとした連作短編になっている。また、この他にも、狐の面、からくり幻燈や龍などもサブ的なキーワードとなっているように思える。収録されているのは、以下の4編。

・きつねの話
 芳蓮堂でアルバイトをしていた学生が体験した恐ろしくも不思議な話。

・果実の中の龍
 先輩の語る、ほら話。しかし、ほら話ながら、内容は、他の話とリンクしている。

・魔
 ケモノにとり憑かれた男の話

・水神
 実業家の葬式で起こった不思議な出来事の話

 いずれも、かなり不気味な話だが、京都という舞台には、よく似合っているように思える。風水には四神相応という考え方がある。「東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武」という結界をはるというものだ。京都は、この考え方に基づいて、鴨川、巨椋池、山陰道、船岡山が四神に見立てられていると言われている。1200年以上の歴史を誇る古き都。その古さゆえに、どんな魔が潜んでいても不思議ではない。そんな京都の一面をよく描いた作品だろう。

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最終更新日  2010.10.20 07:07:38
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2010.10.05


  「彼岸」と「此岸」の境目はどこにあるのだろうか。そもそも、そんな境などあるのか。珍しくそんな哲学的な事を考えながら読んでいたのが、「幽式」(一肇:小学館)である。といっても、この本は、哲学書なんかではなく、オカルトミステリーを扱ったラノベなのだが。

○「幽式」(一肇:小学館)


 この作品を一言で言うと、「彼岸」と「此岸」の境に横たわる「異界ヶ淵」を除いた高校生男女2人の物語だ。主人公は渡崎トキオという高1の少年。オカルトマニアだが、なぜか「鉄塔」に恐怖心を持っている。ある日彼のクラスに神野江ユイという美少女が転校してくる。ところがこの美少女、いわゆるデンパ系の人であり、誰もがひくような奇妙な行動を繰り返すのである。おまけに、所構わずに、すぐゲロを吐く。ヒロインがこれだけゲロを吐いていると言う作品は珍しい。いくらデンパの人でも、美少女だったら、多少の行動は許せるが、さすがにゲロはだめだろう(笑)。ユイは霊だけでなく悪意も見えるのだが、「怖い」という感覚が欠如している。しかし、それでも、霊や悪意と向かい合うと、神経は摩耗しており、それに耐えられなくなったときにゲロという形で現れるようだ。一方トキオの前に、暴力癖のため母親と離婚した父親とユイよりさらにデンパな愛人が現れ、物語は思いもよらないような方向に進んでいく。

 かってデカルトは言った。「我思う。故に我あり」。思索する自分自身の存在は疑いようはないが、周りを取り巻く世界は本当に実在するのか。それとも、マトリックスの世界のように、全て脳内の虚構なのだろうか。そこまで極端でなくても、自分の眼に映っているものが、全て真実とは限らない。

 「見ようと思うから、見えるのだわ」

 これは、ユイのセリフであるが、人は見えるものを自分の脳で選んでいるのではないだろうか。もっともこれは、テツオがユイに「パンツ見えるぞ」と注意した時の反応なのだが(笑)。

 テツオは、ユイのデンパ的な行動に巻き込まれていると思っていた。しかし巻き込んでいたのは実はテツオの方だった。この作品は、ユイの助けにより、心に鍵を掛けてしまっていたトキオがそのカギを開け、過去に囚われていたユイもまたテツオにより、その過去から決別できるといった一種の相互救済の物語だろう。本作では、テツオとユイの物語はちょっと奇妙な関係だったが、これから二人のラブコメが始まるんだぞという予感を感じさせるエンディングはなかなかよかった。


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最終更新日  2010.10.05 07:07:57
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2010.09.27


 私も昔、倉敷市民だった時期もあり、岡山弁を聞くと懐かしい思いがする。「ぼっけえ、きょうてえ」(岩井志麻子:角川書店)は、岡山を舞台にしたホラー短編集である。



 「ぼっけえ、きょうてえ」は岡山弁で「とても、怖い」という意味。表題に岡山弁を持ってくるだけあって、作品の語り口も岡山弁であり、退廃的な内容とも相まって、この作品に独特のどろどろとした雰囲気を与えている。掲載されているのは、次の4作品。

○ぼっけえ、きょうてえ
 岡山の遊郭で、遊女が問わず語りに客に語る壮絶な身の上話。彼女の「姉」の身の毛もよだつような正体とは。

○密告箱
 虎列刺(コレラ)蔓延を防ぐために村役場裏に備え付けられた、感染者を密告するための「密告箱」の管理を押し付けられた役人の悲劇。

○あまぞわい
 岡山市から、辺鄙な漁村に嫁いだ女の禁じられた恋の悲劇。

○依って件の如し
 村人たちに虐げられていた兄妹の秘密と復讐劇。

 どの作品もゾクゾクッと来るような怖さを秘めている。しかし、通常のホラー小説のようなオカルティックな怖さではない。本当に怖いのは、幽霊や妖怪ではなく人間の情念、怨念だ。そんなことを思わせてくれる一冊だった。

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最終更新日  2010.09.27 07:08:33
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2010.07.26

 最近よく読んでいる三津田信三の「禍家」(光文社)。ジャンルとしては、ホラーサスペンスに当たるだろう。

○「禍家」(三津田信三:光文社)



 主人公は、棟像貢太郎という12歳の少年。両親が事故で亡くなったため、祖母と一緒に東京郊外の家に引っ越してきた。ところが初めて来たはずのその場所に、貢太郎はデ・ジャ・ブ(既視感)を覚える。おまけに、初めて会うはずの近所の老人が「ぼうず、おかえり・・・・」と声をかけてくる。そして、貢太郎は、その街で、その家で、身も凍るような怪奇現象に出会う。

 三津田信三の「家もの」ホラーと言えば、先般紹介した「凶宅」もその一つだが、本作は、「凶宅」とは少し趣が異なる。「凶宅」は、最初から最後まで徹頭徹尾100%ホラーであるが、この作品は、途中までのホラーが、だんだんとサイコサスペンスに変化していく。

 もちろん、ミステリーらしく、いくつかの仕掛けが組み込まれている。怪異現象が、見かけとは全く別の意味を持っていたり、ヘンに見えた人が実は案外まともで、親切そうな人が、実はものすごくヤバい奴だったりするのだ。

 この家の秘密を、貢太郎といっしょになって探っていくのが、彼がこの町で友達になった礼奈という同級生の少女だ。そう、この物語は、小さな恋人たちの冒険物語と言う性格も多少は帯びているのだ。

 家の秘密やデ・ジャ・ブなど最終的に明らかになる謎もあるが、上総の森の怪異などは、結局謎のままである。この辺りは、若干欲求不満が残るものの、時間を忘れて、夢中になって読める作品である。

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最終更新日  2010.07.26 07:14:46
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2010.06.21


 「赤眼」を読んでから、ちょっと気になっている三津田信三のホラー「凶宅」(光文社)。一言で言えば「祟りモノ」である。

○「凶宅」(三津田信三:光文社)



 私は、「祟りモノ」には2通りあるのではないかと思う。まず第1のパターンは「因果応報型」。何か悪事やタブーを犯した報いとして、祟りを受けるというものだ。そして第2のパターンが、「巻き込まれ型」。まったくの偶然に、恐怖の事件に巻き込まれてしまうというものである。前者は、原因がその人間にあるため、話は、一種の教訓のようなものだと考えることができるだろう。しかし、後者は、本人には何の咎もないのに、祟られてしまうという、まったく理不尽なものだ。これは、予防のしようがなく、いつ自分の身に降りかかってくるかと思えば、前者よりはずっと怖いだろう。

 この作品は、典型的な「巻き込まれ型」と言えるだろう。主人公は、日比乃翔太という小学四年生の男の子。父親の栄転で、東京から奈良に引っ越してきた。ところが引っ越し先の家が、どこか変である。山の斜面を削って宅地用に開発した土地は4区画あるのだが、他の区画は、工事途中で、急に放置されたような状況になっており、彼らが引っ越した家だけが、ポツンと建っていたのだ。この家で、翔太は、信じられないような恐怖を体験することとなる。

 恐怖は、妹のところに得体のしれないものが訪れるようになったことから始まる。妹は、この山に住む「ヒヒノ」が来たという。翔太には、何か不思議な感覚があるようだ。この家は絶対にヘンだと、翔太は、友人となった少年幸平の助けを借りて、家の過去を調べ始めるのだが、そこには恐ろしい秘密があったのだ。

 幸平は母親と、翔太たちの家があるのと同じ山に建つアパートに住んでいる。ちなみに大屋も同じ人物だ。このアパートもかなり変だ。幸平母子の住む部屋の中には、いくつもの御守りで作った暖簾がぶら下がっている。「山から気色の悪いものが降りてくる」のを防いでいるとのことだ。ここだけを読むと、ちょっと危なそうな母子だが、実は、一番翔太を助けてくれることになるのは、少し面白い。

 周りに住んでいる人々も、どこかおかしい。翔太は、幸平たちと同じアパートに住む女子大生の香月希美に襲われるのだが、その動作がまるで蛇なのである。この辺りは、まるで、楳図かずおの「蛇女」シリーズを読んでいるような、古典的な怖さを感じる。

 大屋の老婆にしても、相当不気味である。普段は、普通の老婆なのだが、時々オン・オフが切り替わって、まるで山姥か鬼婆のようになる。こちらも、相当に恐い。

 そして、ラストは、かなり衝撃的な終わり方である。ここまでやるかという怖さだ。おまけにすべてが過ぎ去ったと思った時に、新たな恐怖を予感させて締めくくっている。この手のホラーでのお約束といえばお約束なのだが。

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最終更新日  2010.06.21 07:19:48
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2010.02.26

 「向日葵の咲かない夏」(道尾秀介:新潮社)、何とも不気味な作品だ。もっとも、この作品は、ホラーサスペンスだから、不気味というのは最高のほめ言葉となるのだが。

○「向日葵の咲かない夏」(道尾秀介:新潮社)



 物語の主人公はミチオという小学校4年の少年。父母と妹のミカの4人で暮らしているが、母親はミチオに対して、異常ともいえる位冷たい態度を取っている。夏休みを控えた終業式の日に、ミチオは、先生から、欠席したクラスメートのS君の家に、宿題とプリントを届けるように頼まれる。S君の家でミチオが見たものは、首を吊って死んでいたS君の姿だった。そして、S君は、ミチオの前に蜘蛛となって現れ、自分は殺されたと告げるのである。

 S君はある人物を名指し、ミチオは妹のミカと、犯行の証拠を手に入れようと動き出す。名指しされた人物は、確かに変態的な性癖を持っていたのだが、実はこんなものはほんの序の口。ここからどんどんと、異常で不気味な作品世界が広がっていく。

 仏教の世界観では、命あるものは、天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の六道を輪廻するという。クラスメートが蜘蛛に生まれ変わるというのは、明らかに、仏教の影響だろうが、実は生まれ変わってくるのはS君だけではなく、この後続々と登場してくる。それが、ことごとく畜生道というのも不気味さに色を添えている。

 主な登場人物は、いずれも、どこか心が壊れた人たち。それぞれに理由はあるようだが、トラウマと言うだけでは片づけられないような異常さである。読み進んでいくうちに、この異常さがどんどんと拡大して、まるでブラックホールのように読者を飲み込んでくるのだ。

 ホラーとしては、すごい作品だと思う。しかし、そうそう出会いたくない作品だ。

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最終更新日  2010.10.17 09:49:04
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2010.02.09


 三津田信三のホラー作品「赫眼」(光文社)。「あかまなこ」と読む。三津田氏の作品は初めて読んだが、恐怖の描き方がうまい作家だと思った。

○「赫眼」(三津田信三:光文社)


 収録されているのは、表題作の「赫眼」を初め計7編の短編と、怪談奇談四題と名付けられた4編のショートショート。いずれも闇の向こうから訪れる恐怖が腹の底までずしんと響いてくるような怖さがある。ホラー調のミステリーというのもよくあるのだが、これは掛け値なしのホラーである。読んだら最後、恐怖の世界に引きずり込まれていきそうだ。

 この作品の怖さを更に引き立てているのは、表紙のイラストだろう。ネット書店の小さい画像で見るとそうでもないのだが、実物の表紙を見るとぞくぞくっとしてくる。まさに、帯に日下三蔵氏が書いているように、「問答無用で恐ろしい」。


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最終更新日  2010.02.09 18:31:53
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2010.01.30


 上田秋成により、江戸時代末期に書かれた怪異物語の傑作である「雨月物語」(上田秋成/雨月洋:角川学芸出版 )。

○「雨月物語」(上田秋成/雨月洋:角川学芸出版 )



 この物語を構成する怪異話は次の9編。

○白峯(しらみね)
・西行法師が、讃岐の白峯稜で崇徳院の怨霊と出会った話。

○菊花の約(ちぎり)
・義兄弟との約束を霊魂になって果たした男の話。

○浅茅が宿
・戦乱のため家に帰れなかった夫が7年ぶりに帰ってみると、妻は・・・

○夢応の鯉魚
・夢の中で鯉になって、散々な目にあった僧の話

○仏法僧
・高野山で豊臣秀次一行の亡霊に出会った父子の話。

○吉備津の釜
・不誠実なため、ついには妻に呪い殺された男の話。

○蛇性の婬
・蛇神に付きまとわれた男の話。

○青頭巾
・禅の高僧が、寵愛していた美童の死が原因で鬼となった住職を教下した話。

○貧福論
・金を大事にしていた男が、金の精と金談義で盛り上がる話。

 読んで感じたのは、まず、人の心と言うものは、時代が変わってもあまり変わらないものだということ。怨念を抱いたり、約束を守ることを何よりも大切だと考えたり、愛する者の死を悲しむあまり鬼となったり。前述したように、江戸時代に書かれた物語であるが、古臭さは感じない。もっとも、言葉自体は、現在とだいぶ変わっており、本の構成としては、まず前半に現代語訳が掲載され、後半に原文が載っているという形となっている。古文の素養のある人は、原文で読むのもいいだろうが、普通の人は現代語訳で楽しめば十分だと思う。もちろん私も、現代語訳で読んだ口である。

 それほど怖くはないので、怪談と言うよりは怪異譚といったところだ。異色なのは最後の「貧福論」。「武士は食わねど高楊枝」と言う言葉もあるように、何かと武家社会では、金は卑しいものとされていたようだ。しかし、本来金は倫理とは無関係で大事にする人のところに集まってくるものだと、金の精と話が盛り上がっているのが何とも面白い。ちゃんと大事にするから、私のところにも集まって欲しいものだ(笑)。

 表紙のイラストは、鏑木清方による「雨月物語 8.蛇身」。これがまた、すばらしく、読書心をくすぐる。

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最終更新日  2010.01.30 08:40:33
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