設計自動化...
最近のコンピュータ技術、ハード、ソフトともにその発展のスピードには目覚しいものがあります。私が社会に出た15年ほど前は、3D-CADでの設計といえば、いかにデータを軽くして効率よく作業できるようにするか、というところが主眼でした。このころはCAEとの連携もなかなか難しく、あくまで設計におけるヒューマンエラーの大幅削減が目的でした。でも今は、ハードでいえば当時はワークステーションでさえクロック数が255MHzとか500MHzでメモリも256MBとか512MBだったのが、今はクアッドコアで2GHz以上、メモリも12GBぐらいつんでるのがざらです。そのため、3D-CADの使用目的も変わってきました。当然、ソフトの発展も大きく寄与していますが。ヒューマンエラー削減以上に、今(といってももう7,8年ぐらい前から)CAEとの連動による設計精度の向上が焦点になってきました。すでに設計最適化ツールによって生み出された製品が世の中にも出回っており、その有効性が示されてきています。また、以前のCAEは構造解析がメインだったのが、今は流体解析も一般的になりつつあります。3D-CADの活用方法が一気に広がっている丁度過渡期にいるのではないか、と思います。これらのツールを使いこなせるようになれば、設計精度の向上は相当期待できるものと思います。ただ、少し気がかりなところもあります。3D-CADには設計データが膨大に含まれているため、これまで面倒だったチェック作業や解析作業などを一気に自動化できるようになります。また、パラメトリックなモデル作成によって、部品等のテンプレート化が進めば、MISUMIさんやMonotaroさんのようにカタログから簡単に部品を引っ張ってきて製品を組み立てるのと同じような作業で、製品が出来上がるようになります。確かに、これまでと大差ないシステムであれば飛躍的な効率アップが見込まれると思います。でも、それのような設計って人件費の高い日本でやらなくても、誰でもできるんじゃないの?と思う次第です。設計自動化システムを作ること自体に反対しているのではなく、作った自動化システムをどのような目的で使うのか?ここを履き違えると、もしかしたら「ものづくり大国日本」という称号は、あっというまに跡形もなく消え去るかもしれません。一番重要なのは、自動化システムを作るそのプロセスにある、と思います。あとは、基礎科学がやっぱり一番大事だと思うので、そこをおろそかにしないで設計をしていくには、自動化と手動の部分をうまく組み合わせるのがいいのではないか、つまり振りすぎはよくない、と思います。こちらのサイトもご覧ください。http://gijyutsu-keisan.com/