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どれだけ遠くへ来てしまっただろうと振り返ることはしない。過去の栄光や後悔はどこへも導いてはくれないから。ぼくがどこへ向かおうとどこで歩みを止めようと誰も興味を持ちやしない。誰も他人にかまっていられるほど暇ではない。 箇条書きの忘れ物のメモ。ポエムのように並んでいるいくつもの忘れ物。その中にまぎれている何人かの懐かしき人物の名前。ぼくはその人たちの顔どころかそれぞれの初対面のシーンまでも思い出せてしまう。明るい未来に微笑んでいるアルバムフォトを見るかのように名前たちは頼もしい表情をしていて、遥か遠い日々が手を伸ばせば届くかのように身近に感じられてしまう。 大人になることと引き換えに手放してしまったものたち。夢、希望、情熱・・・、それら宝物たち。そんな何もかもすべてを日記という名のボストンバッグに詰め込んで新たな自分史を紡ぐための旅に出よう。ペンを持ち、ノートに落書きを綴りながら、放浪の詩人は自分の居場所を見つけることだけで人生を費やすと知りながら。幻の作品を売り、幻の報酬を手に入れ、幻の賞賛を浴びながら。 やがて幻の作品たちは時間の風化を乗り越えて未来の教室へと導かれる。そして感動に心震わせて学生たちは、遠い時代の旅人に思いを馳せながらポエムの感想文をしたためる。 ※備考 http://ameblo.jp/ginaki-05/ に創作小説掲載中 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.01.09 21:22:35
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