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2009.11.08
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以下の文は、「トヨタの敗北・・・。」を書いた日記に追記したのだけれど、何度かに分けて追記したので、この部分だけ分けてアップした方がよいかな?と思い、再度アップすることにしました。

トヨタが勝つ近道はラルフ・シューマッハーやキミ・ライコネンを高額な契約金で雇い入れるのではなく、ラルフ・シューマッハーに払った額の倍を払ってでもエイドリアン・ニューエイの様な勝れた才能を持つエンジニアを雇うことであったのだと思うのですが、ヘッドハンティング的な手法でカリスマエンジニアを迎え入れ、その才能に頼ると言うスタイルを嫌い、全て自前の力で挑戦し、勝った時の評価は「全てトヨタの技術力で成し遂げた」という形に拘り、成功の独り占めを目論んだトヨタ自動車にとっては選び得ないことであったのだという事でしょう。

私はそういう意味で、「思い上がっていたのだろうか?」と言った訳であるし・・・・、そしてそのことを思えば「トヨタのF1への挑戦は失敗であった」と言う結論で良いのだと思うのです。

参戦への準備期間とさらに実際に参戦した8年間を加え、足掛け10年という期間を考えれば、彼らには時間とお金は充分にあったと言って良いと思われ、5年で年間チャンピオンを奪取することはおろか、一勝すら挙げられなかった原因について言及するなら「トヨタの選んだ手法がF1では必ずしも最良ではなかった」と・・・私は言えると感じています。

もしトヨタのF1スタッフに聞くことが出来るなら、「勝てなかった真の原因は何であったのか、分析は出来ていますか?」と、尋ねてみたいものです・・・・。

もしかしたら、彼らはF1マシンは人間が操作するものであると言う、マン・マシンインターフェイスの部分での人間の感覚との親和性と、柔軟なセッティング巾を持つ車両設計と言う部分でやや問題を抱えていたのかもしれないと感じます。

路面とタイヤが引き起こす全てのダイナミックスを、絶えず変化する路面μと車速が変化すると大きく変わってしまうダウンフォース、さらにはタイヤの消耗に伴う能力の変化と言う変数ファクターのために、マシン挙動というものを数値で捉える試みに成功せず、常にその曖昧さの中で、マシン設計の理想形を描ききれずに苦しんでいたのではないかと、技術的に困難であった部分を思ったりしましたが、いずれにせよ、トヨタの首脳陣が、「トヨタ自動車の力で勝つ」という事に重きを置き、イタリアのメディアが今回のブラウンGPの勝利を評し、「真の勝者はロス・ブラウンである」と言うような扱われ方をされない為に、借り物の様なエンジニアの能力に依存するという選択を拒んだことが早期の目的達成を不可能にした主因では無かったか?と感じています。

実際の今年のトヨタの成績は「酷い」と言うほどではないので、全く見込みが無かったわけではないのだが、8勝を挙げたブラウンGPや6勝を挙げたレッドブルに対して非力であったことは結果がそれを良く示しているので、僅かな差であっても、勝てないと言う差は大きく、操縦する人間の能力を仮に一定のものとすると、戦闘機の空中戦に置き換えれば、片方は全機が撃墜され、片方は全て帰還するという極端な結果が待っているという事を意味することにもなるわけで、たったの1勝が出来なかったという現実の差は非常に僅かな差ではあるが、1:0の差は無限大に等しいと言わざるを得ない結果であったと言う結論に達するのです。

今年は車両規則が大きく変わったので、新興チームにも有る程度チャンスはあったわけで、今年の結果も、そのチャンスを生かしたブラウンGPとレッドブルがよい結果を示したことで、そのことが証明された格好だと言えるのですが、開幕戦からの数戦であれだけ圧倒的だったブラウンGPでさえ、シーズン半ば以降では中位に沈むこともあり、シーズン中の開発速度が勝利には欠かせない要素であったと理解できるわけですが、前半戦で絶不調だったマクラーレンの最終戦の予選などを見ても、改良を素早く行うことで劇的にマシンのポテンシャルを高められると言う事実も目にしたわけです。

そのことを考えれば、トヨタのリザルトも時間軸を考えて見れば、もう半年前を行けたなら、何戦かで勝利できたと言えそうです。
つまりはF1とは日々進化し続ける技術開発スピードレースでもあることが解るのです・・・。
開発の効率を良くするという事は、誤り無く一直線に最適化を進められることであり、無駄な努力をしないで肝心な部分を見極めて、その部分で時間を効率的に使って開発するしか無いわけで、プロの棋士が戦況を一目して数十手先の可能性を判断するがごとく、進むべき道を見極める眼力が求められるのでしょう。
その部分で、優れた能力と経験のあるデザイナーの存在が意味あるものになったのだと思うのです。

F1で「年間チャンピオンになる」と言う栄光と、借り物ではなく「全てトヨタの技術でその栄誉を独占する」と言う二兎を追うような欲張りと、やや思い上った傲慢さが有ったが為に得られなかった勝利と考えられはしませんか?・・・・と言うわけです。






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最終更新日  2009.11.08 23:49:19
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