銀河はるかに

2012/03/12(月)21:00

EPSON PX-7000 ノズル詰り完全修理

デジタルツール(68)

先日、オークションでEPSONの大判インクジェットプロッターPX-7000を落札した・・・・。 ここ10年ほどは機械装置の依頼主からも紙の完成時ドキュメントを要求されなくなってきたことで、A1サイズの図面の出力など殆ど必要がなくなってきて、持っていたHP製のA1プロッターは4年ほど前に、友人の工場主にあげてしまったから、私は大きな図面を印刷することが出来なくなっていたのです。 いざ、あげてしまってから、偶に大きい図面を出力したいことが起きても出来ないので、やはりA1のプロッターはあったほうが良いな~・・・などと思っていたのですが、購入するには20万円~30万円の出費を伴うので、簡単に買うことは躊躇われていたのです。 先日、ふとオークションで手ごろなものが手に入らないかな?と思ってオークションサイトをウオッチしてみると、5万円程度出せば使える状態のものが結構出ていることが解たのですが、何しろ大型のプリンタなので輸送費が1万5千円ほどもかかってしまうし、インクを全部用意すれば、さらに2万5千円ほど掛かるので、引き取りに出向ける人の出品を待ち、インクがついているものを探したのだが、そういう条件ではなかなか出てこなかったので、とりあえずインクはそろっていなくても引き取りに行ける場所からの出品物を落札してみたのです。 「インク切れ状態です。それまで正常に動作していました」と言う趣旨のコメントだったのでまあ。ちょっと怪しいかな?とも感じつつも、まあ、自分の修理対処能力にもかなり自信があったので、4万円で落札して引き取ってきました。 このEPSON PX-7000と言う大判のA1カラーインクジェットプロッターは、たとえ一色でもインクが切れてしまうと、残っている色だけでは印刷が出来ない仕組みになっていて、インク切れでは引取りの現地で動かしてテストすることも出来ないのです。 従ってテストもせずに、出品主の「正常に動いていました」という言葉を信じて購入したわけです。 家に帰ってから、各部を点検し清掃も行って、丁度到着した格安のリサイクルインクも装着してテストプリントをしてみたところ、マゼンタが全く印刷されないので、何度もヘッドクリーニングを試みましたが、効果は無く、これはやはり、とんでもないものをつかまされたかな~・・・と思って、やや落ち込みましたが、ここから普通ではないと自負するエンジニアのチャレンジが始まるわけです・・・・笑。 インクジェットプリンターのヘッドの不具合をご存じの方なら、このヘッドをメーカーの指定する方法以外でクリーニングすることや分解掃除することの困難さやリスクが判るかと思いますが、メーカーに修理を依頼すれば部品代、修理基本料、技術料、往復の輸送費、若しくは出張費の合計は軽く6万円~10万円程度に達するのがこの大判インクジェットプロッターと言う代物なのですから、私はそのリスクを承知で分解修理に挑むわけです・・・・・笑。 分解を始めてみて、このインクジェットプロッターがどれくらいインク切れの状態で放置されていたかがすぐに判りましたし、インクチューブの中間とバッファチャンバーにもエアーが入っていて、この状態でマゼンタ色はプリントすることは不可能だし、エアーが入ってしまった状態で放置され、その部分でインクがドロリと固りはじめていたのです。 このプロッターの出品主は誠実な人間ではなかったと言うことでもあります・・・。実際に会っているし、雰囲気からも、うすうす感じてはいたのですけれどね・・・。 このプロッターの状態を解決し使えるようにするために私はしばし考えました。 先ず、インクタンクからチューブの中を通ってバッファタンクまでのインクラインの中のエアーを抜くにはどうすればよいか?バッファタンクにもエアーが入っているのが判ったのでそこのエアーをなくさなくては決して印刷できるようにはならないことが確実であるから、どうすればそれが可能かを考えたわけです。 メーカーの専門の人なら如何するか聞いて見たい気もしますが、この症状ではメーカーの修理では先ず間違いなくインクジェットヘッドアッセンブリの交換をしてしまうでしょうから、メーカーでもこの状態から修理する方法をアドバイスいただける訳も無いと感じるし、第一そういう風に修理のアドバイスそのものが行われないものなのです。 はじめて見るPX-7000をその場で故障の原因を特定し、修理の方法を考え、そして修理すると言うことがどれくらい困難なことか判りますでしょうか?しかもその相手は超微細な加工技術で成立しているインクジェットノズルヘッドなのです・・・・・。 修理の可否を決定付ける要素は2つあると考えられました。インクラインの空気を追い出すことが出来るか?そして、インクジェットノズルに詰って固まってしまったインクをどういう方法で除去できるかの2点です。 EPSONのPXインクというインクは特殊なインクで印刷後は水に流れず、私の実験でもアルコールやシンナーでも溶けなかったので、何で洗浄できるか?如何すれば極細いノズルに固まって詰っているインクを溶かすことが出来るか・・・・難題だったのです。 先ず私はこのEPSONのインクジェット技術がどのような技術でインクを紙に飛ばしているかを考え、インクタンクからジェットノズルまでの構造をよく観察し、考え、見えない細部の構造を想像したのです。 そして、その想像が正しいとして、ではどうすれば解決できるかを自分の脳を使って導き出した訳なのです。 結論として、私の行った修理はものの見事に成功し、PX-7000は完全に機能を取り戻したのですから、私の想像はおおむね正しかったと言うことではないでしょうか・・・。(画像のフォーミュラはこのPX-7000で印刷しました) ↓画像は修復前のノズルチェックパターンと修復後のノズルチェックパターンです。 誰に教わったわけでもなく、自分で考えた方法でこの難関をクリア出来たことは本当に快感でした。 おそらくこうした状況のPX-7000を自力で1日もかからずに完全に復旧させられる人は私のほかには殆ど居ないと思うし、それより先ずプロッタを分解してノズルの詰りを除去しようなどと考える人は千人に一人も居ない可能性があるでしょう・・・・。 EPSONのPXシリーズであれば同様な手法でこのようなノズルトラブルは克服できると考えられますが、もし、どなたかのPXプロッターが長期間使用せずに居て、ノズルの詰まりなどが起きてしまっている時の復旧がヘッドクリーニングを何度やっても上手くいかないときは私に一報ください。 この記事を読んで自分でチャレンジしたいと思っ他方は、コメントを残してください。そしてその中にロボット検索などで拾われないように平仮名などを使って、メールアドレスを書き込んでください。 例 (abcdefgあっとyahoo.co.jp) できれば放棄しても良いフリーメールアドレスが良いと思います。 後ほど参考になるかもしれない私の行った手法をまとめた資料をお送りいたします。

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