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こんばんは。
今、全国のバス路線が危機にさらされています。 バス路線の廃止が、一気に加速してきているのです。 廃止対象は、過疎地のバスだけではありません。都市部のバス、大都市間を結ぶ高速バスも、その例外ではありません。大阪府では、新興住宅地と最寄り駅を結ぶバス路線を持つ会社が、バス事業自体を完全に廃業してしまうことになりました。 道内でも、バス路線の廃止が急速に進んでいます。札幌夕張間、旧天北線代替バスの一部区間、積丹半島の一部区間などの廃止が伝えられます。さらに、影響の規模として桁違いに大きいのが、北海道中央バス札幌市内及び小樽市内の、12月1日冬ダイヤ改正に伴う路線廃止及び減便でしょう。 https://www.chuo-bus.co.jp/%E4%BB%A4%E5%92%8C5%E5%B9%B4%E5%86%AC%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E6%94%B9%E6%AD%A3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%28%E6%9C%AD%E5%B9%8C%E5%B8%82%E5%86%85%E3%81%AE%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84%E9%A7%85%E7%9F%AD%E7%B5%A1%E5%8C%96%01%E8%B7%AF%E7%B7%9A%E5%BB%83%E6%AD%A2/main_info/2018 私が注目したのは、旧標津線の転換バスの内、根室交通が受け持っていた厚床から中標津間の路線廃止と交通網の再編についてです。この区間は平日5往復、土曜休日2往復の運行がありましたが、中標津から別海間は阿寒バスに移管して、平日4往復、土曜休日2往復運行することとなりました。さらに、中標津空港から別海、厚床を経由して根室に至る空港連絡バス4往復を、別海厚床間の鉄道代替バス廃止区間の代替、という位置づけに整理したのです。 例えば網走バスの女満別空港から網走市内間の空港連絡バスのように、途中バス停乗降共に可として、地域輸送の役割を担わせている例はあります。しかし空港連絡バスの運行は、当然ながら航空機の運航状況に大きく影響されます。中標津空港根室間の空港連絡バスは、時刻表に「航空機の大幅な遅延には対応しておりません」の注釈が付きました。このことにより、中標津空港着の航空便に大幅な遅延が発生した場合、根室までその日のうちに到着できなくなる可能性が出てきたのです。中標津空港から根室市街までおおよそ80㎞ありますので、タクシーだと相当の金銭的負担になると思われます。 また、発着便の少ない空港の空港連絡バスの宿命ですが、航空便の発着時刻の変更に伴い、バス時刻の変更が頻繁に発生します。航空便の遅れに伴う遅延のことも含め、これらの課題への対応として、中標津空港根室間の空港連絡バスでは、バスの現在位置を知らせるアプリを用意し、利用を勧めています。 https://www.nemurokotsu.com/topics/2023%e5%b9%b410%e6%9c%881%e6%97%a5%e3%82%88%e3%82%8a%e3%80%90%e4%b8%ad%e6%a8%99%e6%b4%a5%e7%a9%ba%e6%b8%af%e7%b7%9a%e3%80%91%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%84%e3%81%a6%e3%83%90%e3%82%b9%e5%81%9c%e8%bf%bd/ 全国のバス事業者が直面している問題、それは利用客の減少だけではありません。バス運転士の高齢化に伴う退職者の増加、代る人材の確保の難しさ、さらに2024年問題といわれる営業ドライバーの勤務時間の厳格化、こういったことから運転士不足が顕著になり、事業者がバスを走らせたくても走らせられない状況が、全国各地で発生しています。 「赤字ローカル線はすべてバス転換一択」「高校生は歩くか自転車で通学しろ」こんな内容のネットニュース記事が、名の通った出版社から繰り出され、それに「何となく」皆が納得してしまう。つい最近まで、そんなことがありました。 運転手のなり手がいない。自動運転だって、期待されるようなレベルまで実用化(路線バスの運転を完全代替するレベル)に到達するのはいつになるか、見当がつかない状況です。(自動運転で事故を起こした場合の責任の所在も、議論が進んでいません。これが法的に整理されないと、本格的な自動運転は無理でしょう。) では、これからの地域の公共交通はどうなるのか。このままでは「選択と集中」といった心地よい表現を絡めながら、鉄道バスタクシーからライドシェアまで、すべての公共交通が縮小を余儀なくされます。そして「自分で自家用車を走らせるほうが便利。手間とカネがかかる公共交通は不要。むしろクルマ維持のために個人に補助を出せ」そのような、私から見れば究極の暴論が、最適解として議論されるようになるのではないか。そんな不安を抱いています。実際そのような言説が、統計を取ったわけではありませんが、ネットの世界では広まりつつあると私は感じています。 今、都市部地方部を問わず、私たちは「鉄道なき時代」を通り越して「バスなき時代」を生き抜かなければならない状況に差し掛かっています。それでも、自分さえクルマを動かせれば、自分の生活が成り立つのか。地域社会が成り立っていけるのか。すべての国民に突き付けられた課題ではないでしょうか。 ![]() 本年2月に撮影した、根室交通の奥行バス停です。この区間の旧標津線代替バスは廃止され、空港連絡バスのみが引き続き運行されています。
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2023/11/15 11:37:12 PM
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