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白魔女の館

瓜谷先生、宮城先生

 私がスペイン語を大学で勉強したいと思ったときその大学を選んだ理由が、瓜谷先生、宮城先生に学べると言う事だった。

 私のスペイン語学習のきっかけになってくれた方が、「ぜひこの先生方に学ぶように」と勧めてくれたのだった。
 
 実際に先生方に学ぶことになったのは三年、四年の二年間だったが、学問そのもの以外にも様々な事を学んだと思う。両先生にお会いできて本当に良かったと思う。

 瓜谷先生は丸顔でにこやかだが、何かの拍子に本気の顔をする事があって、そういうときはなんとも言えない凄みがあった。
 学生の作文の明らかな間違いに対しても「私は今までそういうスペイン語の使い方には出会った事がありません」とおっしゃった。言葉は生き物だから、場合によってはあり得ないようなセンテンスになる事もあるので、と何かの時におっしゃっているのをなるほどな~と思ったのを覚えている。
 ナンデモその場でマル、バツと言うわけにはいかないのだ。

 宮木先生は長身で手が大きく、本当に怒らない先生だった。学生の私語があっても淡々と授業を進めてゆく。たまにダジャレを言うのだが、よく聞いていないとわからないので、宮城語録としてノートに書き留めている学生もいた。
 息子さんが元力士でちゃんこ屋を開いているそうで、そういう話を嬉しそうにされていた。

 お二人は大変仲がよく、学生時代から先生になっても、いつも同じ学校に勤めていたそうだ。お二人とも戦争で南方に行かれたそうだ。

 瓜谷先生はジャムパンがお好きで(というか偏食で召し上がるものが限られていたらしい)お昼時に研究室に行くと、お弁当のジャムパンを学生にもよくふるまってくれた。
 そして「宮城君お茶!」と言うとニコニコと宮木先生がお茶を入れてあげていた。

 男同士の友情というか、信頼関係と言うかなんとも言えない良いものをかもし出していた。

 私が卒業して間もなく瓜谷先生が、そして数年後に宮城先生がお亡くなりになった。

 もし天国があるとすれば、2人でスペイン語の研究をしているのだろうか?


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