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銀影あゆの釣りライフ 鮎釣り行脚2013

『釣りと自分』遠い記憶・・・ 4

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『そうそう。鮎を初めて釣った時はどうだったの』

 

少しの沈黙の後に話を戻すように、僕は言った。

 

『そうだね。釣ったと言ったら怒られるかな? 友釣りででしょ?

 あれは親父に竿を持っていろと言われた時だったね。』

 

『良くは覚えていないんだけど、オトリを移していたのか、何か後ろでゴソゴソやっていたよ。でも、随分と長いと感じたんだ。それは覚えている。』

 

オトリとは鮎釣りに使う大事なモノ。いや、モノでは無いか。

鮎釣りとは大きく分けて4種類の方法があると思う。

渓太が話していた、えさで釣る方法。他にも渓流で使うような

4~5メートル位の竿で釣る方法もある。

えさ釣りはやって良い川と時期があるので注意が必要だ。

もしかしたら、渓太がやっていたのも、鮎を釣るのには、

禁止された川や時期だったのかも知れない。

しかし、子供だから許されたのか、やって良かったのかは今では調べる事も出来ない。

 

他には、えさの替わりに毛ばりで釣るドブ釣りもある。

友釣りしかやらない僕は、小田原の早川という川で、すぐ近くでドブ釣りをやっているお爺さんを見たときに、あまりにも釣れるのでびっくりした経験がある。

おそらく、100~200匹が釣っていたであろう。

 

あとは、コロガシという、簡単に言えばハリを沢山つけて、

川の中をひっぱり廻し、引っ掛けてしまうという荒っぽい釣りだ。

僕は最初に、お客さんに誘われてこの釣り方から鮎を始めた。

しかし、彼に言わせるとこれは釣りでは無いと言う。

いつもコロガシの話題になると嫌な顔をするので、きっと何か訳が

あるんだろうと思う。

 

僕も今に思えば、ふとした事から友釣りを始めてからは、もうコロガシを

したいとは思わない。それだけ友釣りというのは、奥が深く楽しいのだ。

そう、この友釣りの友というのが、オトリなのだ。

では、オトリとはつまり鮎そのものなのです。

鮎で鮎を釣る。すなわち友釣り。

なんだかおかしな話ですが、鮎の習性を利用した、唯一の釣りなのだ。

だからこそ難しく、沢山の人が嵌るのであろうと思っている。



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