これって恋?!



初めて会った時・・・ただのちょいテニスができる奴って思ってた。




第一印象。
小さい。




俺はまた青学に偵察に来た。
この前は・・・女の子に夢中になって・・・じゃなくって、アクシデントがあってまともに偵察できなかったからだ。
「この前の奴だ!!」
コート近くで彼を見つけた時は腹が立った。
でこにボールをぶつけたあげく、そのまま放って置いてくれたやな奴!!
一言文句を言ってやらねばと俺はコートに入る前の彼の前に立ちふさがった。
「やあ。この前はありがとう。」
「・・・誰アンタ。」
全く眼中に無しですか?この俺が!!
「でこにボールぶつけてそのままにしてくれただろ。」
「そう言えば・・・。」
彼は何か考えた。
「それで?何か用?」
「君もここのテニス部員だったんだ。ねぇ。ここの一年で越後屋って言う一年レギュラーがいるって聞いたんだけど・・・。」
「偵察?」
「まぁね。」
彼は帽子を被りなおした。
「まだまだだね。」
そう言って彼は俺を置いてコートに入っていった。
ムムムッ!!またこの俺を無視したな!!何て無礼な奴なんだ!!
俺は仕方なくコートを見回した・・・が、見るような奴がいない。
手塚さんはテニス・・・何でかしないし、不二はダブルスだって聞いたし、大石・菊丸もダブルス・・・。
桃城・・・何とか君は二年だし、マムシ君も二年で問題外・・・ということは・・・偵察になんて来ても意味無いじゃん!!
「あれ?」
俺は目を疑った。
さっきの彼が・・・コートで打ってる!!
どう見ても小さい彼は一年生に見える・・・と言う事は・・・彼が噂の越後屋!!
亜久津が倒したいとか言って、テニスしてるきっかけの奴・・・それは偵察しなければ!!
「ヤベ・・・だから『まだまだだね』ってことか・・・。」
やっと納得!!・・・って一年に嘗められちゃったよ俺。
「くっそ越後屋!!」
越後屋を研究してやろうと思ったが、時間が無くなったのでまた今度にした・・・。




第二印象。
生意気。




翌日。
俺はまた青学に行った。
南たちに休む言い訳を考えるのは大変だったが、このまま引き下がるわけには行かずどうにか誤魔化してきた。
「えっと、越後屋は・・・。」
また越後屋は遅れてきた。
そういや、昨日も遅れてきてたぞ!!
一年生にして遅刻魔・・・許せん!!
「おい!!越後屋!!」
越後屋はキョロキョロと辺りを見回した。
そんな誤魔化しは俺には聞かないぞ!!
「お前だろ越後屋って!!」
「はぁ?・・・あっ昨日の変な奴・・・。」
変な奴だと!!
「お前だったんだな!!」
「何が?」
「越後屋。」
越後屋はプッと噴出した。
「俺、越後屋じゃないけど。」
「お前しかいないだろ!!一年なのにラケットで打ってる奴は!!」
「・・・越前。」
「?」
「俺の名前は越前。越後屋じゃないんだけど。」
ヤッヤバ・・・。
そういうことだったのね・・・。
「メンゴ!!だって亜久津が越後屋って言ってたからそうだと思って・・・。」
「亜久津・・・。」
越前は怪訝そうな顔をした。
「そういや・・・アイツも青学に行ったとか聞いたような・・・。」
「アンタ、アイツの仲間?」
「へっ?・・・仲間って言ったら仲間かな?」
越前はそれを聞くと俺を置いてまた行ってしまった。
「おっおい!!越前!!」
「リョーマ君に何か用かな?」
「ふっ不二周助!!」
俺としたことが後ろを取られてしまった!!
天才不二周助。
「えっ・・・そういや今『リョーマ君』って言ったよねアンタ・・・。」
不二周助はバツの悪そうな顔をした。
「そっか!!アイツの下の名前がリョーマなんだな!!」
「それが・・・何だって言うのかい・・・。」
不二周助の笑みが引きつっていた。
「いや~・・・。ルーキーで凄いのがいるって聞いたからちょっくら偵察に・・・。」
「そうなんだ。」
不二周助の顔がほんのすっこしだけ和んだ。
「確か君は、山吹中の・・・。」
「千石清純で~す。」
「そう。君が千石君・・・。」
不二周助は俺を下から上までまじまじと見つめた。
「何か良い収穫はあったかい?」
「えっ・・・なっ無かったような、あったような・・・。」
ホントにコエ~~~よ不二周助。
前見た時とはえらい違いだ。
「そっそんじゃお邪魔しました~~~~。」
俺としたことが・・・恐かった。
あんな女の子の見たいな顔の奴が・・・一瞬にして鬼のようになった。
青学恐るべし!!
しかし・・・越前リョーマ。
まだちゃんとよく見て無い。
これは調べる価値アリアリだよな!!
よ~~~し、明日も南を出し抜いて偵察にこよっと!!




第三印象
愛想無し。




俺は恐る恐る青学のコートを見に行った。
不二周助・・・なかなか侮れない相手だ。
俺はすぐにリョーマの姿を探したが・・・まだ来ていないようだった。
「あれ?リョーマ君は?」
「越前なら図書委員だから遅れるぜ。」
リョーマと同じ一年らしき男の子集団がそう言っているのを聞いた。
そうか・・・リョーマは図書委員か・・・。
俺は迷うことなく図書室に向かった。
校舎とは別になっていて大きかった。
外で待っていると・・・遠くから何冊も本を抱えたリョーマが歩いてきた。
「リョーマ!!」
「あっ・・・。」
リョーマは嫌な顔をした。
「帽子被って無いんだ。」
「・・・。」
俺はリョーマを上から下まで見た。
その時・・・ズギュンと俺の中で音がした。
(かっ・・・カワイイ!!)
サラサラした髪。
クリクリしたカワイイ目。
プックリしてつやつやした唇。
ちょっとまだ細めの腕や脚。
何処をとっても・・・今まで見てきた女の子よりもカワイイ!!
「・・・何ずっと見てんの。」
リョーマは怪しいと思ったらしい。
「いや・・・君強いんだって?」
「まぁね。」
この強気。
ますますカワイイじゃん!!
「リョーマって好きな奴いんの?」
「はぁ・・・。」
リョーマは呆気に取られた顔をした。
「あっ!メンゴ。ついカワイイ子見ると癖で聞いちゃうんだよな。」
「カワイイ・・・。」
リョーマとしてはその言葉は不満らしい。
「俺は千石清純。君は越前リョーマって言うんだろ。」
「・・・何で下の名前まで知ってんの。」
「君の先輩がそう呼んでいたからね。俺さ、君が気に入った・・・いや、好きなんだ!!」
「はぁ・・・。」
リョーマは本を落としてしまった。
「何言ってんの・・・。」
「本気・・・俺本当に本気で言ってんだけど・・・何かヘン?」
「変人。」
「冷たい~~。」
俺はリョーマの本を拾ってあげて頭を撫でた。
「ガンバ図書委員!!」
リョーマは何で知ってるのって言う顔をした。
「早くその本持って行かないといけないんじゃない?」
「あっ・・・。」
俺はリョーマの頬にキスした。
「また来るなリョーマ!!」
リョーマはまたも本を落とした。
しかし今度はリョーマが急いで拾って図書室に走っていった。




第四印象。
めっちゃカワイイ!!




それから俺はちょくちょく青学に行くことになった。
絶対リョーマをモノにしたい!!
そう心で決めて・・・。




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*あとがき*
副題は『千石のリョーマ日記』かな・・・と思ってます。設定として千石→リョーマ←不二です。不二も片思いで。
不二のガードでなかなか千石はリョーマと接触出来ないでしょうね。
それにしても、青学って他校にとっては入りやすい学校ですよね。ちょっと疑問。
                                             BYノエ




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