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2006年01月25日
カテゴリ：世相･サブカル
「法は最低限の道徳」、これは大学などで「法学概論」を学ぶ際に、冒頭教えられる言葉である。もはや２０年も前に履修したことであるからうる覚えであるが、「法は強制力を伴うが、道徳は個人の内心の問題なので共生されない」とか「法は社会を存続させるための最小限の倫理」といった内容であったと思う。
何故こんなことを思い出したのかというと、ライブドアの株式分割などの問題でホリエモンが「法で認められている以上、どこがいけないことなのか」と自らへ向けた批判に居直る発言をしているとの報道があったからである。 ライブドアによる株の分割にしろ、株式の交換にしろ、政府の規制緩和路線によって法改正され、晴れて容認されたとほぼ同時期に実行されている。堀江容疑者にしてみれば、法改正で認められたことを行っただけなのに、何故悪者扱いされるのか、という思いなのだろう。 しかしながら、金が全ての資本主義社会においても、不文律や常識というものは厳然として存在する。法の目が働かなくても、そこには商取引を行うものの紳士規定のようなものがある。そうした常識から見れば、ライブドアが行った初め十分割、そして百分割という手法などは、異常そのものだ。 例えば、ゲームの世界で一人で楽しむ時に「裏技」を駆使して「無敵モード」や「残弾MAX」となってゲームをクリアしても、それはあくまでも個人の生活領域の問題だ。仮にそれと同じことをネット対戦で繰り広げ、「想定内の一人勝ち」を誇ったとしたらどうなるだろうか。誰からも相手にしてもらえず、陰口を叩かれるのが関の山であろう。 いやそれとても、コーク片手にホットドックを頬張り、人差し指でマウスをクリックしているディスプレー上の世界の話ならまだいい。電源を落とせば全てがリセットされる。だが堀江容疑者は、どこからか一線を越え、それに類することを実社会で、生きた企業相手に行ってしまった。 自らが一線を越えたことすらをも気づかせないのが、バーチャルな世界の恐ろしさだ。 ＩＴ界のリーディングカンパニーを自称するライブドアの経営陣が、本来ならば最も心して作り上げなければならなかったのが、ＩＴ空間での道徳規範の確立。しかし、自らその陥穽に転がり落ちた重みを、彼等は骨身に沁みるであろう極寒の独房の中で、果たして感じ取ることが出来るのだろうか。 予断だが、ライブドア問題では、いささか報道過剰のきらいがあり、各社特番を組んで番組編成を変えるほどのことかという気持ちにもなるこのごろ。時代の寵児としてもてはやしながら、水に落ちた犬は叩くというのがメディアの持つ体質だということは、分かっているのだが、さすがにうんざりする。 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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