「おかあさんへの手紙」通常号第60号(5月23日付け発行)の編集後記
◆編集後記「千鳥足」◆ 実を言いますと、このメールマガジンを書き始める直前まで、ダンボールの山と谷 の間に入り込み、格闘していました。既にお知らせしましたように、4月末に引っ越 しました。現在連載中の「おかあさんへの手紙」作品のうち、エッセイ類の原本はす ぐに見つかったのです。が、俳句の原本だけが出て来ていませんでした。発見したの は、発行当日の午前2時過ぎ。場所は、我が家の図書室(予定地)としている洋間 の、奥の方の、しかも下の方のダンボールの中からでした。期日どおり発行できない かと思って、ちょっと焦りました。 今回掲載の俳句のうち、個人的に思い出深いのは、96年五月の大和路の各句です。 父と母が、私の当時の勤務地・奈良に来た時のことです。急に来ると言い出して、 しかも、ゴールデンウイーク。当時、私が住んでいた部屋は非常に狭かったので、宿 を探しました。しかし、なかなか見つからず、取材先の公務員の方のつてで、ようや く小さくて、暗くて、汚い(ように見えた)部屋を探し当てました。普段は両親に反 発していた私ですが、この時ばかりは、「こんなところに親を泊めなきゃならないの か」「なんでもっと早く言わないんだ。奈良の老舗旅館だって、知っていたのに」な どと思うと、涙が出てきました。 98年五月の餅3句のうち、「草餅や 父 健やかな日々しのぶ」は、父が、菓子職 人だった祖父を思って作った句だと感じました。 五月。ここ広島では時折、夏が姿を現します。でも、父が過ごした北海道は、よう やく春の盛り。句からも、その様子が見て取れると思います。 (発行者・山口一朗) ===================================★【発行者より】本文は、メールマガジン「おかあさんへの手紙」通常号の講読申し込み窓口http://www.honya.co.jp/contents/letter2mom/index.html で、講読をお申し込みになり、お読み下さい。登録、講読とも無料です。バックナンバーは、http://www.honya.co.jp/contents/letter2mom/ で読めます。