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GO GIRL!

GO GIRL!

3.長男出産そして次男妊娠

なんだかんだで結婚し、小競り合いはあってもなんとか仲良くやっていた。
そして妊娠9ヶ月に入った9月、私は主人も一緒の通勤途中で交通事故に遭う。
信号無視の車に右折の途中でぶつけられたのだ。
はじめての交通事故、救急車、そして入院。
幸い大事にはいたらず、早産にもならずにすんだ。
乗っていた会社の車も保険に入っていたので問題なかった。
主人も半月板損傷、という重傷にもかかわらず手術などしないで済んだ。
何より私の出産間近という事で、あとで手術、という事になった。

そしてあのニューヨークのテロ事件。
病院のTVで見てびっくりした。主人も相当ショックだったようだ。

さらに、当時米海軍基地内でとある営業をしていた彼は、
テロ事件、交通事故のための欠勤と9月の営業成績が全くだめで、
しかもそれまでにも営業ノルマを達成できなければ解雇と警告されていたので、
なんと解雇されてしまのだ。

結局その後すぐに違う基地内での仕事が見つかったし、事故の保険で
3ヶ月分の給与もカバーされ、問題なかったんだけど、
今でも病院で度重なるショックを受けた事は忘れられない。

そんな中私は退院して仕事に戻り、産休前の仕事の整理などもして産休に入り、
無事出産。
帝王切開は死ぬほど痛くて産後はかなりキツかったが、
何もしてくれない私の両親に変わって、当時岩国の基地にいた主人のママが横須賀に
1ヶ月も滞在し面倒を見てくれたので本当に助かった。

でもそんな中、夫婦関係は最悪になっていく。
ママがいるのを良い事に、主人は遊びに行ったり、生意気な発言をして、
それでもママがいるから喧嘩できないだろうと、言わんばかりの態度。
産後のマタニティーブルーも手伝って私の精神状態も異常になっていく。

ママが帰ってしまってからも激しい喧嘩ばかりが続く。
理由は本当にくだらない事。
赤ん坊の世話を手伝わないとか、携帯に例の浮気相手から電話が入ってる、とか
そんな事だ。
それで事件は起こった。

長男が3ヶ月になったころ、いつものように激しい喧嘩の最中、
カッとなってわたしが主人に投げたインテリア用の木の器が、
長男にあたってしまったのだ。
それでキレた主人は私をボコボコにした。
本当に文字通りボコボコだ。
何をされたか覚えていないが、体中アザと切り傷だらけだった。

俺の息子に何するんだ、このキチガイBitch!!出て行けーと放り出された。

私は財布だけつかんで転がるように家を出た。
もうたくさんだった。こんな自分にも結婚生活にも耐えられなかった。
それで横田にいた友達に電話したら、なんと長男と同じ年の子供がいるにもかかわらず、
横須賀まで車で飛んできてくれた。
彼女は何も事情を聞かず、私をしばらく置いてくれた。
彼女の子供を見る度、思い出すのは長男の事。

”なんて事しちゃったんだろう。最低の母親だ”
それから勇気を出して彼のママに電話して事情を話すと、
主人も子供も岩国にいるとの事。
夫婦の事は良くわからないけれど、親として私たちは最低の事をした、
二人が落ち着くまで長男は預かるから、二人で話し合うようにと言われた。

主人の家は裕福だし、今回物を投げたのは私。
これは絶対子供を取られると思って毎日泣いていた。
友人達は色んな方法を勧めてくれたけど、
私にはもう何をする力もなかった。

携帯に主人から電話が入ったのはそれから2週間くらい経ってからだ。
離婚するにしても子供の事が有るから、話し合いたいと言う。
あんな事があった後なので二人での話し合いを拒否すると、
ママが来ると言う。
信用できないので、当日家の電話に電話してママが出たら行く、とだけ言った。

話し合いの場にはママが本当にいて、まず双方の言い分とどうしたいかを聞かれた。
驚いた事に主人は私とやり直したいと言う。
子供のために、そして私がこんなになったのは自分にも責任があるから、
なんとかもう一度やり直したいと、涙を浮かべてママに話す。
”俺たち愛し合っているんだ。どうしてこんな風になっちゃうんだ。”と。
私はフフーンとそれを聞きながら、”お前が浮気するからじゃねえか”と
主人の泣き落としにだまされないようにするのに必死だった。
でも主人が
”俺たちはファミリーなんだ。おれはそれがすごく幸せなんだ。
みんなは結婚して子供が出来たら人生終わりだって言うけど、俺はそれがすごく心地いいんだ”
と言ったとき、なぜかジーンとしてしまって、
あきれるママをよそ目にあっけなく仲直りしてしまった。
ママは私たちを信用できないので、とにかく夫婦二人でもう少し話しあって、
地盤を固めるようにと言い残して横須賀を去った。

ママの予想通り、その後2週間後くらいにまた大きい喧嘩をして、
今度は主人が出て行った。
市役所で怒鳴り合いの喧嘩をして離婚係の人がビックリしていた。
そんなこんなあっても最後には元のさやに戻り、
離婚なんだでもめていた時は主人も例の浮気相手と会っていたようだが、
結局は私の夫という立場に戻ってきた。

そしていよいよ主人が長男を迎えにいった。
その時の事は絶対に忘れない。
1ヶ月以上会っていなかった長男はすっかり大きくなって、
あちらで買ってもらったプーさんのオーバーオールを着ていた。
抱きしめた時のあの香り。
ああ、もう2度と離さないと心に誓った。
そして良い母親になるよう、人生かけて頑張ろうと。

息子が戻ってきてからは平穏な日々。
でも相変わらず例の浮気相手と主人が連絡を取り合っているのは知っていた。

5ヶ月になった長男を保育園に預けての職場復帰。
そこで伝えられた不当な賃金カット。
これからは小さい子供の育児をしながらの勤務だからって、
営業手当とか歩合を一切切られて、毎月定額の月給制に。
これで年収はザッと120万円マイナス。
でも初めての育児と仕事の両立、今更新しい仕事を探す事も困難なので
会社の提示をのむ事に。

そんなこんなで忙しいある日。体調の異変に気づく。
そう、あの体調の変化。
胸の張り、吐き気...まさか。
予想は的中。自分で買った薬局の妊娠判定で陽性。
避妊用ピルを飲んでいるのに...まただ。
長男の時もピルを飲んでて妊娠した。飲み間違いもないのに、だ。
医者言わく、ほんのわずかな可能性でそういう事ってあるらしい。

全くうまく言っていない結婚生活、減ってしまった収入、
子供を抱えてとても働いてはいけない職場の環境。
二人目出産はとても無理だ。

主人には正直に妊娠の事も中絶したい事も告げた。
ちょうどその前に主人が浮気相手に電話したのがバレたばっかりなので、
主人は何も言えなかった。

結局4ヶ月を過ぎてしまったので、産婦人科でも前の日に子宮を開く器具を挿入し、
手術は翌日になった。
でも当日、私はどうしても産婦人科のドアを開ける事が出来なかった。
長男を見る。産まれてくればこんなに可愛い自分の子供。
胎児だからってこれは殺人だ。
この子供の可能性を、私がなくすんだ。
主人とうまくいかなくて一人で2人の子供育てるなんて大変だし、無理かも。
でもいざとなったら、主人の家族に見てもらったっていい。
どんな結果であれ、殺してしまうより悪い結果なんてない。

それで私は寸前で病院にキャンセルの電話をし、病院を後にした。
家に帰って主人に訳を話す。
主人は飛び上がって喜び、私を抱きしめる。
事情のわからない長男もニコニコしている。
私は自分にこれで良かったんだ、と言い聞かせた。

そして次男妊娠6ヶ月のある日、私にはどうしてもやっておきたい事があった。
そのチャンスは日曜日、家族で平和に団らんする夜にやってきた。

主人の携帯が鳴り響く。
1回目、2回目、主人は出ない。
マナーモードにする。
3回目、4回目、5回目...電話は狂ったように鳴り続ける。

私は主人を睨みつける。
誰からかは十分承知でしょ。
こんな日曜の家族でいるような時間に電話しないように言いなさいよ。

主人は”彼女しつこいんだ。本当に今はなんでもないんだよ”と言い訳する。
”やましくない証拠に最近はいつもお前の前に携帯出しっ放しだろ?”

いったん電話は鳴り止んだが、主人は先にベッドへ行ってしまい、
子供と添い寝していた私の耳元でバイブレータ音が鳴り響く。
”うるさい!”私はキレた。”誰?こんな時簡に電話済んじゃねえ!”
電話は無言で切れる。

私はすかさずその番号にかけ直した。今まで何度も見たその番号。
暗記してるくらいだ。

すみません、主人になんの用ですか?
どうでもいいけど私たちは日本で婚姻したので、彼が既婚者な事を承知で
今後も肉体関係を続けるのなら、私にはあなたを法的に訴える権利があるって
知ってますか?
主人があなたを愛しているならどうして私が今2人目妊娠中なの?
あなた達が何をするのも勝手だけど、
家族がいるような時間に電話するってことは、妻の私に対する侮辱でしょ。
不倫するなら浮気相手の自分の立場をもっとわきまえたら?
あなたは私と主人が別れるのが望みなの?
本当に彼を愛しているのに、彼がこの家族と離ればなれになるのを望むわけ?
とにかく、私が主人のそばにいる時にまた電話してきたら、
必ず訴えるから!”

浮気はひとりではできない。だから彼女だけが悪い訳じゃない。
男を責めて浮気相手は責めないのが正しいんだろうけど、
遠慮がない彼女にはマジきれた。
だから言う事言ってすっきりした。
主人は何も知らずグーグーいびきをかいて寝ている。
はあー、いつになったらこういうの終わるんだろう。

おなかの次男にも最悪な胎教になってしまった。
幸せな妊婦への道は遠い。


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