小説ブログ 「GO!GO!花園」

2010/04/03(土)08:33

(1)ゴールデンゲットー

はじめに-「行け!行け!花園!」-(3)

  はじめに-「行け!行け!花園!」 (1)ゴールデンゲットー   これは、日本からさほど遠くないアジアの国、C国の大都市Q市に住む、主に日本人駐在員の妻たちの物語である。 まだまだ発展途上といって良いC国では、外国人が現地の平均的な人たちと生活の場を完全に共有することは少ない。日本の会社員からすれば結構な資産のあるお金持ち、さらには超ド級のお金持ちが次々に誕生しているC国ではあるが、まだごく一般的な住居施設は外国人にとって住みやすいものではなく、食べ物から子供の教育にいたるまでの生活環境が先進国とは異なるため、多くの外国人はは外国人向けの物件を賃貸して、外国人用のスーパーで買い物をして、現地の人たちとは違った環境で暮らしている。そんな居住環境を英語圏の人はGOLDEN GHETTO と呼びならわす。 もちろん外国人の中にも、C国に留学生としてやってきた人や、C国文化に魅せられてたれてやってきた人で進んで現地の人たちの生活に溶け込もうとする人も多い。しかし、現時点でこの国の外国人人口の多くを占める、先進国企業からの派遣人材は自分と家族の生活のレベルと安全を守るため、セキュリティの管理された、ガードマンや門番が人の出入りをチェックするマンションや、一戸建ての並んだ別荘地にまとまって住まう。 日本人の場合、日本よりはずっと広い家住むことが多い。生活の質も「ある意味」向上する。家政婦さんも雇える。家賃は会社持ち、子供たちはスクールバスで学校に通い、妻たちは連れ立ってタクシーでホテルのランチに出かけ、習い事に性をだす。これらがゲットーのゴールデンたるゆえんである。 しかし、優雅なだけの生活であるはずもなく、買い物に出かければ街は白い服が数時間で灰色になるほど埃っぽく、タクシーに乗ればドアが壊れていることがしばしば。昨今においては、公害とともに食品や生活用品の安全性が問題になることも多い。自分と家族の生活を守るため、快適で便利な生活を手に入れるためには情報が命なので、夫たちが仕事に精出す間、妻たちは理由をつけては集い、助け合い、友情を育み、時には敵対して…。Q市のはずれのとある集合住宅では今日もそんな一日が繰り返されている…。

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