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カテゴリ:肝っ玉ママ 綾子さんの巻 (完結済)
GOGO花園って何?って方は、第一回のコチラから
この章をはじめから読むにはココ ○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○● 肝っ玉ママ綾子さんの巻 (7)入院 後編 綾子が通訳の言葉とチン医師の表情のギャップに、納得がいかなくて口を開こうとした瞬間、通訳嬢は書類がどうのこうのといったことを言いながらとどこかに行ってしまった。綾子はアルカイックスマイルの医師を前になんと言ったものか言葉を捜す。 するとタン医師は、辺りを見回してから恥ずかしそうに、かなりたどたどしい日本語で話し出した。 「ワタシ 日本語 長イ前二習イマシタ。今、スデニ喋ルワスレタ。スゴクヘタネ。ソレデスカラ…」 そこまでいくともう、無理と悟ったように 「So if you speak English、 I can explain to you」 どうやら英語がわかるなら綾子に何か言いたいことがあるらしい。 「Yes, yes please. I understand you, If you speak slowly.」 綾子は実は英文科の卒業なのだが、まあよくあるというか、日本ではわりと当たり前というか英語がたいして喋れるわけではない。それでも、夫に海外駐在の可能性が出てきてから、通信講座とテレビの講座で熱心に勉強したので、日常会話ぐらいなら何とかなる。医師との会話などとても自信がなかったが、今はそんなこと言ってられない。 タン医師は、ゆっくりとしゃべりだした。オーストラリアの大学で勉強したとかで、とても上手な英語だった。いわく、日本語の勉強をしたことがあるので、良くはわからないが、自分の言ってる事が正しく訳されているような気がしない。少なくともあなたの顔を見ている限り、わたしの言いたいことがあなたに通じていない気がする。彼の顔に浮かんだ微笑は今はっきりとした笑顔に変わっていた。 人間、有事にいたってはいつもよりずっと能力が発揮できるというのはほんとのようだ。綾子は、タン医師のいってることをほとんど理解することができた。医師は淳の肺炎の原因があまりたちの悪いウイルスではないこと、淳がまだ小さいことと、主に点滴による抗生物質の投与が必要なのが入院の理由で、よほどのことがない限り命にかかわったりするような状況ではないと言ってくれた。食事が取れそうもないので、点滴で栄養補給も行い、体力が落ちないようにサポートもするつもりであることを説明し、家に兄弟、特にまだ1歳代のりりこがいるためここ数日は注意が必要なこともつけくわえた。タン先生は時折、例のイントネーションのかなり変な日本語になって、ダイジョウブ、心配ナイを織り交ぜたので、綾子の顔にも微笑がうかんだ。 まったく、あの通訳のお姉さん、失礼しちゃう。綾子はそのときはそう思ったのだが、後々になって落ち着いて考えてみれば通訳嬢の言ってることも完全な間違いではなかったのだ。彼女の言ったことは、「今は危険な状態ではないですが、肺炎というのは命取りになりかねない病気です。お宅には小さい赤ちゃんもいることですし、入院してしっかり直してから家に戻られたほうがいいでしょう。」との、あんまりうまくない日本語訳だったのではないか。意訳して違約して行くと、そう考えられなくもない。でも、そこにたどり着いたのはずっととあとのことで、 淳之介の入院中、綾子はぼそぼそと抑揚なくしゃべる死神のような通訳嬢に悩まされ続けた。 とりあえずは大丈夫、医者も看護婦もいる病院にいるのだから、家にいるよりはずっと安心。そう思うことにして綾子はソファーにどっかり座り込んだ。座ってみると、急に体が重くなって、自分がいかに疲れているのかがわかる。淳も寝ているのでとりあえずできることはないので、自分も横にって置いたほうがいいのかもしれない。綾子は靴を脱いで、病室に置かれるには大きなソファーに足を伸ばして横になった。 (続く…) 中国、じゃなかったC国関係のブログにパンダのテンプレが多くてかぶりまくりの為、変更いたしました。トップページも変更!どうにかこうにかタグが一つか二つかけるようになったの!自分的にはすげー。 …ということで、いつもの…押さないか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年02月06日 22時26分08秒
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