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2006年11月08日
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カテゴリ:読書日記

同じく、京都に行く道すがらで、橋爪大三郎『はじめての構造主義』(講談社現代新書)を読んだ。

どうでもいいけど、今講談社現代新書って前の薄いクリーム色で絵が書いてあるカバーから、なんかシンプルなのに変わってるよね。今の方がお洒落な感じはするけど、俺は昔の絵が書いてあるほうが好きだったなぁ、と。


で、構造主義
なんだけど。

俺いつも「この本は、構造主義を学ぶ入門書として最適。これ以上の本はない」と聞かされていて、ふーんと思って、よく読もうとしてたけど、なんか途中でおっぽり出してたのね。別に内容が難しいとかじゃなく。すごい平易だからこの本。

実存主義のブームが終わりを告げた頃、これからは構造主義だと吹聴された著者が、まず、レヴィ・ストロースという学者の名前を知る。してみると、町の中の看板にその学者の名前が書いてあって、驚く。が、よくよく考えると、リーバイ・ストラウスだった。。。という笑い話あたりまでしか読んでなかった(ちなみにこの2つの名前は同じもの。読み方が違うだけ)。


学生のときから、竹田青嗣とか別冊宝島の現代思想特集とか読んでたから、構造主義っていうのはなんとなく聞いたことがあった。それこそ、F・ソシュールの言語学とか、レヴィ・ストロースの研究、交叉イトコ婚とか、神話の構造を研究したとかね。


結局、構造主義って何かっていうと、おそろしく浅薄にかいつまんで言うと、社会には網の目のように張り巡らされた構造があるよ、って話。

そういっちゃうと実も蓋もないけど、まぁそういうことだ。

この本は、軽い感じの導入部分があって、その上でソシュールの言語学を説明して、あとは、途中までレヴィ・ストロースの話が展開される。この部分は構造主義の説明として非常によくまとまっているんだけれど、それ以降の部分が非常に面白かった。

構造主義のルーツを探るとして、西欧思想の根底に数学があることが語られる。やはり数学はあらゆる思想の源泉なのだ。
ギリシャで生まれた幾何学(代表者はユークリッド)、論理学(代表者はアリストテレス)。アラビアで生まれた代数。両者を結合させたデカルト。そして地上の運動を解明したガリレオと、天体の運動を解明したケプラー。まったくの別物と考えられていた両者を、万有引力の法則によって統合したニュートン。ニュートン力学と融和するカントの批判哲学。

さらに、ガウス、ロバチェフスキー、ボヤーイらによる非ユークリッド幾何学の発見。リーマン、ヒルベルトらによる形式主義の発展。アインシュタインによるユークリッド幾何学及びニュートン力学の破壊。そして、ボーア、プランク、ノイマンらによる量子力学。そして科学は、相対性理論と量子論の統合を目論み、大統一理論の発見を目指す・・・。

まさに、本書は、数学史、科学史を俯瞰する。そして、それらがいかなる目的の下に研究・発見され、思想に影響を与えてきたかについて、非常に簡潔に述べており、一行読むたびに驚かされた。

さらに、著者は、遠近法の発展、射影幾何学を論じることによって、クラインや、ブルバキ派の数学理論に触れながら、これが構造主義と密接に関連していること述べる。構造主義はいままでのどの思想よりも数学の足元にある。上手くここで説明するのは非常に困難で、俺の力量をはるかに凌駕しているのでやめておこう。


話は変わるが、構造主義は、よく反西欧中心主義だとかいわれてて、実際そのとおりなんだけれども、そう単純な話でもない。確かに未開とされた部族の中にも、先進的とされる西欧諸国の中にも同様の構造が見出されることによって、相対化を図ることができるし、それによって
真理を追究するという近代西欧的な知のシステムから逸脱することが可能になるように思われる。

けれど、俺が単純にすごいと思うのは、うした相対主義的発想が、西欧の中から生まれたという事実。ここにものすごい力を感じる。西欧を否定し、越える思想をも生み出す西欧の力の源泉に、畏怖を覚える。

思えば、ゴッホらに絶賛された浮世絵も、古伊万里を包む包装紙として扱われていた。浮世絵の美を発見したのは西欧の目だったのだ。

昨今、反西欧とか、反近代とかいう声が大きく聞こえる。俺もそのうちの一人なのだが、近代の超克とかいって、戦前に開かれた座談会もあったが、ある時期、日本は自らが西欧近代を超えることができると勘違いしたことがある。いや、今もしているのかもしれない。

俺は数年前、実家近くで旧友に会ったときに、旧友が言った言葉を覚えている。
「西欧の哲学は、西欧中心主義で駄目だから、俺は今、反西欧、非西欧の哲学を研究しているんだ」といったようなことを言っていた。今から思うと非常に浅薄な気がして成らない。この男は、昔から流行りものに飛びついては、何一つ真面目に極めようとしない輩だった。

簡単に近代を超えるとか言ったって、まだ日本は近代だって徹底していないじゃないか、というのが橋爪氏の主張である。そのとおりかもしれない。

やれ構造主義だ、やれポスト構造主義だ、と騒いだところで、この国はギリシャ哲学に互するような知の蓄積を微塵も持っていないのである。反西欧を主張する思想自体が西欧から発せられたものであるということは、翻って、いまだに西欧中心のパラダイムにあることを如実に物語っている。

 

六輝=友引 九星=五黄土星 中段十二直=満 二十八宿=軫 旧暦九月十八日





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最終更新日  2006年11月09日 10時41分24秒
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