今日は長崎に原爆が落とされた日。
ちょっと六本木の本屋に行ったので、『はだしのゲン』を買ってみた。
こないだ実家近くの本屋で文庫版の全巻セットが売っていたので、
「そういえば、ゲンって最後どうなったんだっけ」と気になり、
最終巻だけを買おうとしたが、そうするとやっぱその前も買うか、いや、その前も、、、
となってしまい、全部買うかー!と思ったが、やっぱりやめた。
しかしやっぱり欲しいなぁと思っていたので、
とりあえず文庫版(全7巻)の4~7巻を購入。
家に帰って明け方まで貪り読んだ。
しかし、面白い。
こんなにも面白いマンガだったのだ。
そういえば、俺が大学1年のときに、小林よしのりの『戦争論』が出た。
賛否両論をはげしく巻き起こす話題作となったが、
水木御大は、反対派として戦争マンガを画いたりしていた記憶がある。
水木御大は、もともと戦争マンガを画いていたが、とりあえず小林の『戦争論』には与しなかった。
俺はといえば、鬼太郎よりもおぼっちゃまくんよりも、ゲンに触れたのが早いので、
「そういえば、中沢先生、何してはるんやろ。『戦争論』みたいなものに真っ先に反応すると思うたのに」と不思議がっていた。
まぁ、話それたけど、
とにかく『はだしのゲン』はおもしろい。
最終巻の解説を我が師、呉夫子が書いていらっしゃったが、「はだしのゲン」を単なる反戦・反核マンガと捉えてはいけないのだ。
ゲンのどんな苦境でも力強く生き抜くたくましさ。
過酷な状況に置かれたその様をただ描写するところに、このマンガのすばらしさがある。
朝鮮人が第三国人となって横暴とある様などが、画かれているところに通常の左翼教条マンガとの差異がある。
とにかく表現のしようのないくらいの素晴らしいマンガである。
原爆という悲惨なテーマを取り扱っているのだが、
読んでいて、夜中に何度も声を上げてわらってしまうほどおかしさ。
軍歌や戦時歌謡の替え歌がすばらしい。
暴力を否定しきっていないというリアリティがある。
大傑作。
これは、作者が実際に見たこと経験したことを綴っているから素晴らしいのだ。
妹尾河童の『少年H』みたいに、後知恵的なごまかしがない。
本物なのだ。
後半に入ってゲンが大人になると、ややマンネリ化する上、
多少の政治的言論が混じってきて、ちょっと作品自体のパワーは落ちる。
ただし、あくまで後で勉強したことを画いているわけではないので、
政治的言論もはっきりいって短絡・陳腐であり、それ自体がまた好ましい。
やはり、冒頭から、母親・君江が死去するまであたりに、この作品の超絶的なパワーが宿っている。
なお、最近、ネット話題の「くやしいのう、くやしいのう」のセリフは、このように用いられているらしい。
なお、図らずながらのことなのだが、今週末、「はだしのゲン」のドラマがやるらしい。
通常であれば、こういったものを見る気にはならないのだが、
たまには、思いきって期待せずに見てみようと思う。
木曜日 乙亥
六輝=友引 九星=一白水星 中段十二直=平 二十八宿=井 旧暦六月二十七日