弟と2人、難波のまちを路面電車に揺られながら旅をしている。
ひどく暑くて喉が渇くので買ったばかりのペットボトルの減りがとても早い。
そういえば、行きに路面に乗る際に、阿倍野神社、晴明神社という表示を観た。
この近くに安倍倍清明にかかわる神社があるのかもしれない。
このあたりは、阿倍野区という地名だ。
晴明神社とはまったく予期していなかったが、ここに何かあるのだろうか。
宛てもなく、弟と2人で路面を降りた。
照りつける太陽は、本気で容赦がない。
その辺をぶらぶら歩いてみたものの、特に神社らしきものはない。
もう少し探したら戻ろうか、そんなことを云っていたとき、自転車に乗った老翁が近くに来た。
知ってるかもしれないと思って、話しかけてみる。
そうすると老翁も阿倍野神社を探しているのだという。
今日はお祭りがあるらしい。
阿倍野神社は明治に入ってからの新しいお宮で、晴明神社からはちょっと遠いという。
あまりに暑いので、明治以降の阿倍野神社は断念した。
路面電車通りを渡って、公番でさらに神社への道を聞く。
路面通りから、斜めに切り込んだ道をはいっていく。
ここは熊野詣でのための道だという。
はるか熊野に詣でるため、京の都から続く道なのだ。
由緒正しい古道を踏みしめて、僕ら兄弟は進んだ。
そうすると見えてきた阿倍王子神社。
熊野の分身である九十九王子の一つとされている。
祭神は、熊野権現(伊弊諾尊・伊弊持尊・素盞嗚尊)である。
仁徳天皇が夢に熊野三山の使いである三本足の烏(八咫烏大神)を見て、それと同じものが当地にいたのが始まりといわれる
当時のこの地域は島であり、阿倍島という島があったらしい。
続いてあったのが、晴明神社。
今昔物語などで有名で、数年前に大ブームを巻き起こした、史上もっとも有名な陰陽師である。
その晴明はこの地で生まれたといわれ、境内にはその産湯の井戸がある。
信太妻伝説で有名な晴明の母の稲荷神社もあった。
僕は、思わぬ収穫に心躍った。
晴明は、日本人のあこがれであり、スーパースターである。
神社で、晴明関連の本を買って、満足気に引き上げた。
そこから天王子まで歩いた。
歩いた道のりはかなり遠く、弟は、「もう少し」を繰り替えすが、本当に暑い。
弟の家の近くで、おいしいという評判のたこ焼きを食べた。
そばめしを頼んで、たこ焼きを食べたのだが、あまりの美味しさに次々と追加注文し、
結局それぞれ15,6個以上食べてしまった。
なんだかよくわからないが、「ヤング」と呼ばれる味付けが至高であった。